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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ニュースで誰かのコメントをプロの声優に読ませる際、口調や声質で「印象操作」できるし、してるんじゃないか?…という話。

この話、以前から書こうと思っていたし、類似の過去記事もいくつかあるけど、きのう匿名ダイアリーにこれを指摘する記事を先に書かれちゃった。

■【ニュース】外国人の吹替声優で善悪を演出するのやめろ

ニュースを見てると、ゼレンスキーは良い声の声優を使って、プーチンはドスの効いた声の声優を使ってるように感じる。

邪魔なんだよな。余計な事すんなよ。

つーか、何言ってるか分かんねーから吹き替えするな!字幕にしろよ。
anond.hatelabo.jp

2日午前3時現在、それなりの数のブクマがついている
[B! 声優] 【ニュース】外国人の吹替声優で善悪を演出するのやめろ
当方のコメント

あー、いつか書こうと思っていた話だが先に書かれたね。日本人の犯罪・逮捕ニュースも各声優が逮捕者の発言は悪そうに、被害者などの発言は気の毒そうに語らせてます。『●●党関係者』もそうで印象付けが自由自在


まず、過去記事リンクを。

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……『風と共に去りぬ』の中で黒人奴隷はこんな風に話す。

「こまりますだ! ビートリス奥さまに叱られるのは、おいら、おまえさまがたがこわがるより、もっとこわいですだよ」

 原文ではどうなっているんだろう。黒人は十分な教育が受けられなかったこともあり、文法的におかしい黒人英語を話す人もいる。二重否定が変だったりするのだ。でも黒人が東北弁は話さないだろう。そもそも南部の物語だし。

 正確には、この訳文は東北弁でさえない。明治前後に、落語や講談などで語られた疑似田舎弁、まさしく役割語である…
※この箇所は孫引き。もとは 
黒人が「こまりますだ!」 翻訳文に見える日本人の差別意識|NEWSポストセブン

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フロイド氏の弟のスピーチ、「私の兄」と訳すものも、「兄貴」と訳すものも

www.nhk.or.jp
①オレがナンバー1だ
②記録を出す秘訣なんてないわ
北京オリンピックを伝えるNHKの放送に出た翻訳テロップである。

このテロップを見ただけで、日本語を母語とする私たちは、話者について何らかのイメージを思い浮かべることができる。

①は力強さと自信をもっている男性、②は華やかさ、または上品さをそなえた女性、というように。

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(略)…かつて人気を博したテレビドラマに「刑事コジャック」「刑事コロンボ」のふたつがある。この両ドラマ、額田やえ子さんが共に翻訳した…のだが、コワモテのコジャックと人懐こいコロンボではもちろん語り口、口調が違う。
翻訳者は、同じひとことでも、こう翻訳を使い分けた、のだという。

一覧表にしよう。

英語原文 コジャック コロンボ
Come On! 「早く来い」 「こっちこっち」
That makes sense. 「筋は通ってる」 「ごもっともです」
Let me see that. 「見せてみな」 「ちょっと拝見」
Hold it! 「待て!」 「あ、そのまま」
You gotta be kidding. 「なめるんじゃねえよ」 「ホントですか、それ」


名人の技、ここに至る。


ただ、役割語の問題や、海外の問題のニュース報道で、その翻訳がつかわれるという現象は問題点がはっきりわかるけど、ただ翻訳の場合、「実際にそういうニュアンスなんです。単純に『です・ます』で訳すとそれが伝わらないんです」という主張もあろう。

……ただ、たとえばトランプ大統領の発言なんて、声優にたっぷり演技させて、まさに「役割語」満載で報道する番組もある。
こういうとき、実際に、『トランプの英語は(粗野で傲慢な)ああいうニュアンスなんです。むしろ、このほうが「正確」に伝わっている』みたいな議論も出てくるからややこしい(そしてその真偽は当方、判断できない)
https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/2019/01/07/052326


しかし、自分がニュースを見ていると、そのコメントが日本語だった時も、声優を使って情感たっぷりの”演技”をさせているニュースが見られるようになった。
事件・事故のニュースで、容疑者とされる人物などのコメント(コメント自体はたしかに取材されているだろう、いくらなんでも)をプロの声優・俳優が、いかにも特定の傾向…「傲慢、粗野、狡猾」などを感じさせる口調で語る。
また、以前はあくまで背景資料だった、政界の動きを、氏名オフレコ(発言内容は報じていいが、誰が言ったかは伏せる)での発言メモを紹介する…というコンテンツが、最近はニュースに登場するようになった。
その「政界関係者」「〇〇党幹部」の言葉を、だいたい俳優・声優が演じている。


声優俳優ってのは声としゃべりのプロであり…たぶん、同じ文章を「大多数が反感を持ち、言ってる内容に疑いを持つような、胡散臭い嫌な奴として演じて、読んでください」も「誰もが信頼するような正義で実直なヒーロー風に読んでください」も朝飯前だろう。
そして、ニュース報道のそのニュアンスは声優ではなく、その口調を指示するディレクターの思いのままであるな。
そんな操作が、いま現在されている……のは、間違いない話だ。



ついでに、
この件をパロディ的にしてみた画像をいまつくったので、貼っておきます。

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声や口調での印象操作を、テレビ局のニュースは吹き替えでやっているのでは?