ジャポニズム、日露戦争、大衆消費社会を背景とした20世紀初頭の柔術・柔道の世界的な流行。嘉納治五郎に期待され米大統領に柔道指南する柔道家もいれば、レスラーと異種格闘技試合をする柔術家もいた。熱狂の時代を豊富な図版資料とともに描く。
その書評が、日経新聞に掲載された。
今朝(2月12日)の日経新聞に書評書きました。一応、柔術、柔道双方経験がありますので、その歴史の背景がわかり、興味深かったです。
— 澤宮優 (@hat71520) February 12, 2022
柔術狂時代 藪耕太郎著: 日本経済新聞 https://t.co/xSOkmY6P44 #柔術 #柔道
www.nikkei.com
…20世紀初頭、日本の帝国主義化を示す日露戦争を背景に、日米間の政治的関係は変化してきた。こうした情勢下で柔術や柔道が米国にどう伝播(でんぱ)し、受容されたのかを明らかにするのが本書の目的だ。小柄な日本人が大柄のボクシング選手を投げ、関節を決めると、米国で大きな関心を呼び、やがて柔術ブームに…(略)…長崎で柔術を習ったジョン・オブライエンは、師の井上鬼喰(きしょく)と帰国した。2人は1900年にハーバード体育館で柔術を紹介し、マスコミに注目される。井上はヘビー級ボクサーと異種格闘技試合を行い、手首を捻(ひね)り倒して……
この著者の名前を記録していました。
「ファミリーヒストリー」神田伯山の回でコメントしていたんです。
m-dojo.hatenadiary.com
神田伯山36歳。明治末期、曽祖父は徳冨蘆花に憧れ佐賀から上京し、早稲田で英文学を学ぶ。その後、立ち上げた出版社で、トルストイ全集の発行に携わった。そして、5代前の先祖は南米に渡り“柔術”を広め、パラグアイの英雄となっていた
メモとか、しとくもんだね。
【メモ この福岡庄太郎を専門的に調べているのが「仙台大学の藪耕太郎准教授」】と書いていた。
准教授
藪 耕太郎
Yabu Kotaro
研究領域
スポーツ史主な著書・論文
【学術論文】
Did the Japanese dream of a muscular body? : Western style of physical training in the Meiji era(単著), 『仙台大学紀要』第50巻1号,1-9頁. 2018年9月
Diffusion of Judo in the United States during the Russo-Japanese War: Aiming to overcome the ‘match-based historical view’(単著),Martial Arts Studies, Issue6, pp.41-51. 2018年7月
スポーツの「力」の文化的意味と所在に関する一試論―丸山富雄のスポーツ論を補助線として―(単著), 『仙台大学紀要』第49巻2号, 89-102頁. 2018年3月
明治期に出版された柔術教本の所在と解釈を巡る両価性 ―柔術を巡る諸要素が織り成す複層性に着目して(単著), 『仙台大学紀要』第49巻1号,1-15頁. 2017年9月
【著書・学術論文以外】
書名で検索したら、もう既に主だった面々が(笑)
大晦日から正月にかけて藪耕太郎『柔術狂時代 20世紀初頭アメリカにおける柔術ブームとその周辺』を読んでいました。20世紀頭の欧米の異種格闘、軍隊格闘技、文化等の柔術、柔道受容の様々な面を紐解いた本です。そうした分野に興味がある人には必読の内容と言っていいでしょう。 pic.twitter.com/uNTrMp2He4
— 町田@火薬と鋼・システマ杉並 (@machida_77) January 1, 2022
浪漫がすごい。。。。 #jiujitsu #柔術狂時代 pic.twitter.com/6kIbsg3FT2
— 斉藤ギガバイト (@kokono516) January 28, 2022
「柔術狂時代 20世紀初頭アメリカにおける柔術ブームとその周辺」キンドル版も一緒に出たのね。慌てなくて済むから良かった。とりあえず目次を見たけど大体は押さえてる人物事柄ぽい。所々面白そうな項がある。近いうちに買おう
— ちていのき (@baritsu) December 9, 2021
自分はまだ未読だけど「米国ではどうやって、一時ブームだった柔術が衰退したのか?」という視点は面白い…が、排日運動で柔術もすたれた、となると事実としてもひねりがなくてあんまりおもしろくないな(笑)
ただ、その後の変容や、名残がいろいろ追われるべきだろう。けっこうパチもの柔術家がレスラーやボクサーに敗れてなーんだと火が消えたりしたところもあったらしいし(笑)
著作権が終了した2018年以降、すぐに青空文庫に著作の「姿三四郎」が掲載されると思いきや、まだ未収録にて残念なのが富田常雄だが(いや、それなら自分でやればいいんだけどね)、青空文庫に、戦前日本のボクシングvs柔道(そして猪木アリ状態!)が描かれた作品があることは、このブログ周辺のみで有名(笑)。再度リンクを張っておく。
www.aozora.gr.jp
「日本人の柔道じゅうどうなんて、あれは小人の蹴合けあいみたいなものさ。ほんとに人がぽんぽん投げられるものか。まして、われわれアメリカ人のこの堂々たる重いからだが、ちッぽけな腕うでで投げられるはずがないよ。」
「ところが、モンクス。あの柔道の教師トミタの道場には、アメリカ人の弟子でしも相当あるぜ。」
「ふん、そりゃものずきだな。一つおれの鉄腕てつわんでのばしてやろうか。いったい日本人の柔道じゅうどうなんぞを、このサンフランシスコにのさばらしとくのがけしからん。」
「そんならモンクス。おまえひとつ試合を申しこんでみろ。」
「向こうが逃にげるよ。」
「よし、そんなら、おれが申しこんでみてやろう。」
アメリカサンフランシスコの場末の食堂で、しきりにこんな話をしているのはサンフランシスコでもきらわれ者の拳闘家けんとうかトビイ・モンクスと、その後見人の…(後略)
そしてこのまとめも関連でつながるでー