図書館でこういう本を見かけた。退陣となると、こういう本も出なくなるんだろうなあ、と思い、ちょっと感傷的になって借りた。
政治記者のかく本について、こういう事をこの前述べましたね
政治記者の書いた本は、下手すると「政界裏話」のゴシップ本でしかないものも多く、それはそれで、うんざりしつつも有用な情報だけを抜き取ればいいと割り切って読んでみればおもしろい。
それでも、一部は理論もしっかりしている、と書く中での記述だが、岸井氏の本は基本「裏話」寄り。この対談本もだった。何しろ相手が大学同窓の佐高信氏、理論とかハナから期待しちゃいない(笑)
しかしそれでも、なんかぶっちゃけてるなあ、と思うことがあった。
「私は安倍のおやじさんの晋太郎には非常にかわいがってもらって、ある意味で逆指名的に私が彼を担当しているようなところがあったんだ。唯一、私が新聞記者としてやってはならないことに手を染めたのは、さまざまな著名人が自ら執筆する『若い日の私』という連載を『毎日新聞』でやっていたのだけれど、安倍晋太郎の回を私が描いたんだ。」
えっ、いいんかそれ。
特定政治家のゴーストライター、今も噂の話としてはよく聞くけど。あと、それ自体は作者というか、政治家と著者の間で了承・合意してその名義で出すことを合意すればその部分では問題は生まれないのだが、それを載せる器としての「新聞」が、それを是とするかはえらい違いだ。今でも縮刷版というかたちで、安倍晋太郎名義で実質岸井成格氏が執筆した記事が読めるわけだし。
というか、それを「無料」で書いたのかなあ、ということも疑うに足るんじゃないか。
「原稿料」は出たのか、出たとしたらいくらか……
ちなみに何度も一緒に安倍パパと岸井氏は、ご飯も食べてたそうで、田崎史郎が会食を首相としてるから云々どころじゃない。
そして、ちょっと気づいた
『あー、若殿様に「先代当主に重用されていた重臣」が、若殿とむしろ一番対立する、って話はよくあることで、その流れなんだなー、こういう本まで出すのは』
となっとく。
菅義偉氏が出席したという「勉強会」、そもそも岸井氏と「企業幹部」の集まりだったらしい…
佐高信が広めて、リテラが引用してた、こんな一件があったらしいが
……「岸井が私的にやってる勉強会に、突如菅がやって来たことがあるそうです。出席するメンバーの誰かから聞いたんでしょう。一方で、菅は「忙しくて翁長(雄志)さんにも会えない」と言っている頃ですよ」
なんと菅官房長官は私的勉強会にまで探りを入れ、岸井氏に直接会いに行っていた、と言うのだ。しかも、岸井氏は菅官房長官から、このようなアプローチも受けていたらしい。
「勉強会の最初から最後までいて「いいお話を聞かせていただきました」と言って帰っていったそうです。そして、菅から「あらためてお話を伺いたい」と連絡がきたと岸井が言うから、私が「岸井、応じろ。そのとき友だち一人連れていくと言え」と」
佐高氏がこっそり「俺SUGEE」を紛れ込ませていることはともかくとして(笑)、今回呼んだ新書ではこれについてもやや詳しく書いている。
そして、アルコール…ラサール石井氏も、彼に迷惑被る??
これもまた例によって佐高氏が、うかつさを発揮してぽろぽろ証言し、それを「おいおい」と小生が拾う、というアレだったが、4年前にもピックアップしている。
m-dojo.hatenadiary.com
(略)……さかのぼって探してみたら、こんな記事があるの。
「News23」のアンカー、岸井成格との50年 |佐高 信の「一人一話」|ダイヤモンド・オンライン http://diamond.jp/articles/-/61808
現在は癌の手術をして、かなり自粛しているようだが、それ以前の岸井の酒乱ぶりはひどかった。
日本IBMが伊豆の山奥に識者を集めて議論をする「天城会議」で岸井がスピーチを行い、その後で飲んだら、酔っ払って、「こんな所にいられない。すぐに山を降りる」と叫び出したことがあったという。
困ったIBMの人間が、やはり、そこに来ていたエッセイストの吉永みち子に、
「何とかなだめてください」
と頼んだ。それで吉永が、
「まあ、まあ、今晩は泊まって、明日帰りましょう」
と声をかけたら、岸井に
「貴様の出る幕じゃない!」
と一蹴された。
ところが翌朝、前夜の醜態はどこ吹く風で、吉永と顔を合わせた岸井が、
「みっちゃん、おはよう」
と言ったので、吉永が頭に来た。
「岸井さんて、何なのよ」
と紹介した私に怒りの電話がかかってきたのである。毎日新聞の、特に後輩記者たちが岸井の被害に遭っているらしい。それで私は、毎日の記者が取材に来たりすると、「岸井が迷惑をかけています」と頭を下げる。
酔うと人格が変わる岸井は、酔った時の言動はまったく憶えていないという。あまりに変化が激しいので、そうなのだろうな、と私も思っている。
アルコールで人格が変わるのはやばい……。
にしても、これを書いた佐高氏の意図は何なんだろうな…。ある意味、貴重な情報であることは間違いないが。
実は先月末、あるジャーナリストが泥酔した結果イベント出演をキャンセルするという一幕があった。、
※そのキャンセル騒動は脱線するのでここでは書かないが、興味ある人は https://twitter.com/fuyu3710/status/1298564685000658945 を。
その話題から、ラサール石井氏がこんな発言をしている。
配信を見た。相澤氏は酷すぎた。なぜ仕事の前に酒を飲むのか。理解不能。芸人とラッパーを下に見て舐め腐っていたのか。4時間喋りきったお2人に拍手。
— ラサール石井 (@lasar141) 2020年8月26日
酒や麻雀の豪傑記者伝説など知らん。皆がその死を悼む毎日新聞出身のKさんは私の早朝情報番組に居酒屋から直行。酒臭い息で喋った。大嫌いであった。 https://t.co/e2LUc1ZIXn
『皆がその死を悼む毎日新聞出身のKさんは私の早朝情報番組に居酒屋から直行。酒臭い息で喋った。大嫌いであった。』
ハッキリと書いていないが、推測する限りは、これは岸井氏のことではないか、と言っていいのではないか。
ラサール石井が大嫌いだったと語る元毎日新聞の故人Kは岸井成格のことでしょうね。石井が司会してたTBSの早朝番組「ウォッチ!」で木曜日コメンテーターが岸井だった。 pic.twitter.com/yxJpK9WYcr
— 徳本 (@tokumoto0) 2020年8月27日
筑紫哲也氏も酒が残った状態で番組に出ていたという周囲の回想は聞くので、NEws23の伝統とも言えるかもだ。
調べてみると、出るわ出るわ……
彼は酒が大好きだった。幾分、酒乱気味だったが、みんな、それを許した。人徳だった。
www.maki-taro.net
関口宏さんは、岸井さんを「無類の酒好きで、しかもお酒に強かった」と語ります
www.e-sogi.com
…付き合うほどに分かってきたのですが、しゃがれた声は「酒」から来るものでした。
本当に無類の酒好きで、ゴクリとやる時、あのゴツい顔が、突如子供に戻ったかのような可愛い顔になるのです。それが飲むほどに酔うほどに、持論の主張に力が入り出し、声が大きくなり、あの握力の強い手を握り拳にして、ドンドン、ドンドンとテーブルを叩き出すのです。
岸井さんがテーブルを叩き出したら「お開き!」、というルールがいつの間にか出来上がりました。
previous.mediajuku.com
「みんなそれを許した」…「人徳だった」じゃねえよ、たぶん権力だよ。
ちなみにその岸井氏が「中川昭一の”酒乱会見”」を論じた文章なんぞもあるんで、世はおもしろ。
www.the-journal.jp
安倍は三世議員だが、岸井氏は二世記者。入社試験で「ぼっちゃん」と呼ばれる特別な立場
ニュース番組のコメンテーターで人気の岸井成格は1967年に毎日新聞に入社した同期。初めて会ったのは中央大学の講堂で行われた入社試験だった。
近くの席で、受験した岸井に、毎日新聞社員と思き男が「おぼっちゃま!」と呼んで、やって来た。
「アイツ、何者だ?」
後で、分かったことだが、岸井の親父さんは毎日新聞の副社長で、衆院議員を務めた人物。
「こいつは、黙っていても合格だな」と嫉妬した記憶がある。
安倍首相の退任記念に、さしたる興味もなく手に取った対談本も、読みこめばいろいろ出てくるものです(笑)
ほかにも岸井氏本人以外で面白い情報もあるんだけど、それはあとで。
- 作者:岸井 成格
- 発売日: 2016/06/21
- メディア: 新書