今月ついに単行本発売のトマトスープ「ダンピアのおいしい冒険」。
僕は知りたい、世界の全てを。17世紀。英国公認の海賊船に、博識かつ好奇心旺盛な探検家・ダンピアも乗船した──。
未知の世界を食べて調べる、実在の人物と史実をもとにした海洋冒険飯漫画!作品世界をより深く楽しめるコラムやスピンオフ4コマ他、
単行本用の特別描き下ろしを多数収録!
【目次】
CHAP.1 道なき未知へ
CHAP.2 無人島大学
CHAP.3 満ち足りた置き去り
CHAP.4 イグアナ・コレクション
CHAP.5 カウリーの素敵な島
CHAP.6 ジャングルの歩き方
CHAP.7 人生は船の上
CHAP.8 ブランコ岬の虜 (1)
- 作者:ダンピア
- 発売日: 2007/05/16
- メディア: 文庫
- 作者:ダンピア
- 発売日: 2007/07/18
- メディア: 文庫
最新回は、前回15回のときに「職場にはいないと思っていた、共通の趣味を持つ友人」と知り合って、‥それ以降の話が描かれている。
彼が、博物学者ダンピアの誕生に大きな影響を与えていたようなのだ。
matogrosso.jp
そのなかで、非常に重要な意味を持つお話がある。
17世紀にして、…英国人の一部(バッカニア)は「新大陸の真の主権者、支配者はインディオと呼ばれる現地人ではないか」と気づいていた。
そして、それを口実に「我々は彼らの同盟者。スペイン船を略奪して何が悪い?」と正当化した。
いい話すぎんだろ。
てか、イギリス人がどの口で言うんだ(笑)
・・・・・・・と同時に、ヒャッハーな海賊団(それも最低レベル)ですら、本当の北斗の拳のヒャッハーのように、悪に居直りはできず(いや、ブラックベレーとかは正当化の理論を持っていたか。本当に悪を謳歌しているのはピッコロ大魔王とかだ)、なにがしかの「正当化の理論」を持たないと、それを続けることができない、ということなのかもしれない。
欺瞞と偽善だけど、それを掲げるというのは何かしらの善への希求があるのだ。
海賊団の「不信任投票」も描かれる。負けた側は置き去りにされる(笑)
ちなみにバッカニアの対スペイン船略奪はかなり危ない橋もわたってるみたいで、反乱がおきた。
反乱と言っても「投票」で決めるのだ(笑)
自分は未読だが、当時の海賊は非常に民主的かつ、経済的な合理的システムを持っていたらしく、それを書いた本が近年話題になっていた。
不信任投票も、保険制度もあったとか。
- 作者:ピーター・T・リーソン
- 発売日: 2011/03/22
- メディア: 単行本
ときに、山本七平が、「中国には孟子の時代から権力者の正統性は民衆の支持にしかない、という発想はあったのに、その民衆の支持を「投票」で決めようという発想がなかった。投票は西洋などでは、古代から重要なものとしてみられていたのに、文化の型とはまったくおもしろいものだ」とかつて語っていた。
無法の象徴たる海賊ですら「投票」がここまで重みをもつのだから、不思議なものですね。
なにはともあれ、ダンピア単行本にも期待。
追記 作者さんから補足の資料を教えてもらった
twitter.com紹介ありがとうございます…!
— トマトスープ (@Tsoup2) 2020年8月5日
リングローズの航海記の中で、当時海賊達の総司令官となっていたソーキンズ船長が、パナマ総督から目的を尋ねられ、ダリエン王の支援だと答えていました
(ソーキンズ船長はその後戦死してしまい、シャープが指揮を引き継ぎました) pic.twitter.com/VrULb2vgDr