先ほど授賞式で発表いたしました!マンガ大賞2019大賞作品は、篠原健太先生の『彼方のアストラ』に決定しました!ノミネート順位やコメント集はこちらからご覧いただけます。https://t.co/jN2nAZZGTj
— マンガ大賞 (@mangataisho) 2019年3月19日
第1巻無料公開中だって。
【祝!マンガ大賞2019受賞❗️】
— 少年ジャンプ+ (@shonenjump_plus) 2019年3月19日
『彼方のアストラ』マンガ大賞受賞を記念して、今から4月1日まで1巻分を無料配信します❗️
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「彼方のアストラ」アニメ化に次いで、マンガ大賞を受賞した。
おめでとうございます。
この作品が面白い、という話は過去記事がいくつかあるので略すが、それより受賞を受けて作者の篠原健太氏が語った、創作の経緯がめっちゃ面白かった。
natalie.mu
この話に、各自がいちいち感想を述べれば、それだけでまとまった漫画論になろう。
それをやってみる
…学園コメディの「SKET DANCE」から打って変わりSF作品を発表した理由について篠原は「『SKET DANCE』は自分の意志で終わらせた作品なんです。編集部は次回作でも『SKET DANCE』のような作品を欲していたと思うんですけど、同じようなものをやるなら『SKET DANCE』を自分から終わらせる必要はないですし、(ジャンルの)違う作品をやらなければいけないと思っていました」と回想。
まず、ジャンプ連載で、なにしろ本宮ひろ志「男一匹ガキ大将」からのDNAでもある(笑)「作者は人気のうちに終わらせたい。編集部は続けさせたい。」の話がこの作品にもあったのだね。しかし編集部も認めてくれたのだのう。だから爽やかな終わりになったのか。師匠の「銀魂」が例を見たことも無いようなグダグダの、さらにその先に行ったというのに。
一方で作品を立ち上げるにあたり「大分悩みました」とこぼし、「最初はバトルものの企画を進めていて1年くらい考えていたんですが、『この作品には勝算がない』とセルフボツにしたんです。その数時間後ぐらいに『もう宇宙に行くか』と、『彼方のアストラ』の骨格が出来上がって。
そして、あのオールラウンド風の才人でも「次はバトルものにするか、やっぱり…」とか思うのだなあ。
作品を5冊でまとめることになった経緯については、「最初は週刊少年ジャンプ編集部に企画を提出したんです。『ここを直そう』と言われることはあるかなと思っていたんですが、直しのチャンスもなく(企画自体が駄目という)全ボツになってしまって(笑)。僕も担当も『えっ?』てなって、一度『アストラ』の企画を諦めたんです。でもどうしてもやりたいと思って、ちょうどジャンプ+が立ち上がっていたので、『そこで描くのはどうだろう』という提案をさせてもらいました。ただ一度全ボツになった作品なので、これを長々やるのは潔くないかなとも思い、長くならない5冊でまとめたんです。
そしてこれ。スケットダンスって、なんだかんだとアニメもなったし…ワンピやNARUTOとかと同時代だから絶対的エースじゃなかっただろうけど、ふつうにクリーンナップとか、先発ローテに入った主力でしょ。それが2作目は、ネームから没、そして本誌でなくネット公開の「ジャンプ+」とはね……
まあ、2打席連続ホームランのほうがまれで、初打席が場外ホームラン、2作目で惨敗……な人だって枚挙にいとまがない。リストを読み上げろといわれたら、「バルジ大作戦」みたいに途中で休憩を挟まなきゃいけないゼ(ブラックラグーン風)。
逆に2打席連続ホームランの典型であろう鳥山明も、ドラゴンボールは天下一武道会前は、途中打ち切りの流れだった、ともいうしね。というか、結果的に世に出たものでいえば、篠原先生はまさにその「2打席連続ホームラン」を放ったことになるわけで、すごい話ですよ、やっぱり。
「ジャンプ編集部の名誉のために言っておくと、当時提出した『アストラ』は(実際の主人公の)カナタが主人公ではなく、うじうじしている暗い感じのキャラが主役で、彼の成長物語にする予定だったんです。ほとんどの編集者が連載に反対していたらしいので、多分その1話目が面白くなかったんじゃないかなと思っていますし、今なら僕も打ち切られていただろうなと…
やっぱり読んで「主人公の色は一作目と似ているね」と思った。うじうじ暗い主人公は、某シンジ君の呪いなのかな(笑)そして編集部のフォローでもあるな、たしかに。
ジャンプの会議でボツった話が報道されて心苦しいのですが😓
— 篠原健太 (@kentashinohara_) 2019年3月19日
会場でも言った通りこの判断は極めて正しく、仮に今のバージョンが本誌で連載されたとしてもアンケートは取れなかったと思います。編集部は冷静に判断を下し、掲載誌や長さなど変更した部分が結果的に評価に至ったので逆にラッキーでした。
最初の構想では人気取れそうも無かった→売れそうもないからこそ、アイデアを凝縮して5巻サイズにした→クオリティ挙がって売れた
こういうことも、あるんだよなあ。
「Webで連載してみて、初めて紙のジャンプのパワーがわかりました。雑誌であれば普段は読んでいなくても、絵に魅力を感じてもらえたらページを止めて読んでもらえる可能性があるんですが、Webマンガは情報がバナーとかアイコンくらいなので自分から積極的に宣伝しないと読んでくれない。どうすればいいのかわからないので、Twitterを始めたりしたんですが読んでもらうことがこんなに大変だとは思いませんでした」
前もかいたけど、まず最初はこの連載に気づかず「篠原健太氏は、1作目の成功で充分満足しておそらく引退ししたんじゃないか。さみしいが、それもまた人生。あれだけのヒットだから一生分稼いだのだろう」という推測デマを少し流したりしたからな、俺(笑)。
そもそも、やっぱり「本誌はキビシイ、だからジャンプ+に行ってみる」という、二軍テイストは当時も今もあるんだろう。しかし、時の流れははっきりネット漫画の存在感の上昇、紙雑誌との格差縮小に向かっている。
逆に言えば、
「天下の『少年ジャンプ』であるがゆえに、この雑誌だけはかろうじてまだクリエイターに『WEB連載と比べると、紙の雑誌はパワーがあるなあ…』と思わせる力がある。だが他の雑誌は…」というのが、現実じゃないかしら。
今後は「WEB連載じゃないから知名度が無いんだよ。紙の雑誌だとどうしてもマイナーだね」と言われたりするようになるかも…いや、すでにそうなっていて、自分も結局雑誌世代だからそれに気づかないのかもしれない。
まあ、とにもかくにもそんな感想を持ちました。
おめでとうございます。

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