ということで、11月ごろからこの話題はぼちぼち書いてきたけど、実際はどんなでしょうね。
行ってみよう。
http://www.aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html#000486
2017年01月01日 土地とともにあるパブリック・ドメイン
幾たびもの危機を乗り越えて、再び無事にこの日、2017年のパブリック・ドメイン・デイと20回目の新年がやってきたことを、喜びとともに迎えたいと思います。
青空文庫からは、今日から社会での共有が許されるものとして、以下に掲げる19人の作家の19作品を公開いたします。安倍 能成「初旅の残像」
新井 紀一「怒れる高村軍曹」
上田 広「指導物語 或る国鉄機関士の述懐」
大下 宇陀児「擬似新年」
亀井 勝一郎「馬鈴薯の花」
河井 寛次郎「社日桜」
川田 順「枕物狂」
楠田 匡介「雪」
小泉 信三「この頃の皇太子殿下」
小宮 豊隆「知られざる漱石」
佐佐木 茂索「ある死、次の死」
柴田 宵曲「古句を観る」
鈴木 大拙「時の流れ」
中島 哀浪「かき・みかん・かに」
中野 秀人「第四階級の文学」
野間 清六「百済観音と夢殿観音と中宮寺弥勒」
番匠谷 英一(訳)「ユダヤ人のブナの木」
深瀬 基寛「悦しき知識 ――停年講義(昭和三十三年九月十六日)」
山中 峯太郎「小指一本の大試合」(※リンク先からは、直接作品に飛ぶリンクも張られています)
このパブリック・ドメイン・デイにいちどきに公開する数としても、19作品は、年始公開を始めて以来これまででも最大となります。
青空文庫が新年元旦に公有作品を公開し始めたのが1999年、Happy Public Domain Day! と謳いだしたのが2010年で、時を経て年始にPDを考えることはそれなりに定着してきたものと思われます。
(略)
パブリック・ドメイン・デイは、かつて存在した様々な作家をあらためて見つめる機会でもあります。
有名・無名を問わず、過去に数多くの作家がおり、そして多彩な作品が書かれたことに、誰もが自由に向き合い、想いを馳せることができるようになるのです。本日ここに揃えられた19作品は、かつてなされた創作という人の営みに再び光を……(略)
自分的には「亜細亜の曙」「敵中横断三百里」の山中峯太郎に注目していたけど(初の青空文庫登場は、柔道vsボクシングの異種格闘技戦を描く掌編小説!!!)、
図書カード:小指一本の大試合 http://www.aozora.gr.jp/cards/001889/card58030.html #青空文庫
(略)
「ホウ、すると、どうだろう? きみとブルと試合したら、どっちが勝つと思うね? 内村君うちむらくん」
「それあ、やってみないとわからないさ。しかし、まず負けることはあるまいね」
「エッ、きみ、すると、勝てるつもりかい、ほんとうに?」
「そうさ、日本人は勝つといったら勝つよ」
「フウム、やはり、拳闘けんとうでやるかい? 試合となったら」
「なあに、拳闘なんか、いらないだろう。ブルが相手なら。そうだね、まず、小指一本さ」
「エエッ? 小、小指、一本? きみ、それあ、まったくかい? 小指一本?」
と、うっかり「小指一本」とぼくがいったのを、倶楽部長くらぶちょうのフランクは、びっくりしてしまって……
だけど、
小泉信三や小宮豊隆の文章が掲載されればやっぱり興味をひく。
こういう時代の人の文章は、作家ごとの知名度も注目度にとうぜん関係しているけど、たとえば無名作家Cは同時代の超有名人Aと交流があるとか、Bという大事件を目撃していて、AやBについての貴重な逸話を書き残している…というパターンもあります。
小宮や小泉は別に無名人とはまったく呼べないけど、そういう意味での貴重さもあり、最初のフリードメイン作品が、小宮は「漱石を語った」文章、小泉は「皇太子(いまの今上)を語った」文章とはさもありなんです。
再度報告
— gryphonjapan (@gryphonjapan) 2017年1月2日
2017年元日、著作権が終了し青空文庫に収録始まった作家が多数。https://t.co/MXF1PIXjUl
そのなかに、夏目漱石の弟子として、その後漱石の逸話を語り続け「漱石神社の神主」ともよばれた小宮豊隆も。
香日ゆら@kouhiyura 先生の画像拝借し紹介。 pic.twitter.com/gX72YdqHUA
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図書カード:この頃の皇太子殿下 http://www.aozora.gr.jp/cards/001846/card57339.html #青空文庫
……読む本で一番長く続いているのは、英人サア・ハロルド・ニコルソンの「ジョージ五世伝」だが、福沢諭吉の「帝室論」を読むために、殿下も私も、それぞれ福沢全集の一冊をこの一隅に持ち込んだこともある。露伴の「運命」を、岩波文庫本で読んだこともある。近頃は、新聞の日曜版に出る週間サムマリイをテキストにして、前週の時事についてお話しし合うことになり、私は定日である毎火曜日の午後、自宅から、必要な新聞紙一枚を携えて行くことにしているが、殿下は、御自分で常侍官候所に往き、そこの新聞掛けから必要の綴じ込みを片手に提げてお出でになるのが、常になった。さて、各々明るい窓ぎわに座を占めて膝の上に本を開くのであるが、何時か私は、殿下がサックごと読書眼鏡を取り出して前の小卓に置き…
図書カード:知られざる漱石 http://www.aozora.gr.jp/cards/001884/card58010.html #青空文庫
…漱石先生の面會日は毎週木曜日だときまつてゐた。木曜の晩には、きまつて大勢の弟子が集まつた。我我はこれを木曜會と名づけて、その常連をもつて任じてゐた。その木曜會の歴史のやうなものを、ここに書いて見ようと思ふ。
鈴木三重吉によると、先生に面會日をきめさせたのは、三重吉だつたのださうである。先生が訪問客が多くて困ると言つてゐたので、それなら面會日をおきめなさい、就いては土曜・日曜は自分の爲にとつて置いた方がいい、ウィーク・デーで先生の割にひまな日はいつだと訊いたら、木曜日だといふことだつたので…
さあ、人類共通の財産へようこそ!!