酔ってるので爺語り。わしの祖父は陸軍人だった。南方に行った。そこで部下を亡くした。遺体は土葬にするしかなかった、規則で。遺族に帰ってくるのは空っぽの骨壷。この世界の片隅にのすずさんの鬼いちゃんみたく。だけど祖父はその部下の小指を切って焼いて骨にして、瓶に詰めて持ち帰った。
— こたる (@cotal_kota) 2016年12月2日
帰還した祖父は、骨を部下の家族宛てに送った。差出人の住所は書かなかった。部下を守れなかったから。そうして20数年経って、商用でその土地を訪れた祖父、駅前でタクシーを拾って、行き先を告げた。
— こたる (@cotal_kota) 2016年12月2日
祖父の訛りに気づいた運転手が話し掛けてきた。
— こたる (@cotal_kota) 2016年12月2日
運「東北からですか」爺「F県です」運「ならば〇野△郎という人をご存知ないですか?」
それは祖父の名前そのものだった。
タクシーの運転手は、かつて亡くした部下の息子だった。顔も覚えていない父親の、仏壇に供えられた手紙。記された名前と消印を頼りに、東北訛りの客を乗せたら必ず、祖父の名を尋ねていたらしい。その車に、本人が乗った。
— こたる (@cotal_kota) 2016年12月2日
それから夏になると彼から素麺が贈られるようになった。彼の父親、祖父の元部下が戦死した島に因んで、我が家では「ハルマヘラの素麺」と呼ばれてた。2006年に祖父が鬼籍に入るまで毎夏続いた。孫の私は物心つくまで揖保乃糸のことをハルマヘラと覚えていた。
— こたる (@cotal_kota) 2016年12月2日
生命が簡単に失われた時代。だけどそのひとつひとつは誰かにとってとても大切な生命であって、その想いはひょっとした縁で結ばれることもある。
— こたる (@cotal_kota) 2016年12月2日
すずさんの物語を、祖父にも見せてあげたかったと、ふと思った。
最後のツイートから見るに、この方もまた
に触発され、この想い出をツイートしたとおぼしい。