南スーダン派遣の自衛隊部隊に駆け付け警護の任務付与 閣議決定 | NHKニュース http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161115/k10010769301000.html
政府は15日の閣議で、南スーダンに派遣される自衛隊の部隊に、安全保障関連法に基づいて「駆け付け警護」の任務を新たに付与する実施計画を決定しました。去年成立した安全保障関連法は、部隊による運用の段階に入ることになります。
これについては
安保法制成立1年だが『「駆け付け警護」が議論の南スーダンなど見捨てちまえ。今後、本格内戦になろうと難民が苦しもうと日本人の命が優先だ」…という思いも、正直少しある。 -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160921/p1
ですでに論じています。
で、そこでも触れているけど、「駆け付け警護はしない」ということは、「すぐ近くで国連職員や民間人、NGOが襲われていても、見捨てる」ということにかなり類似しているだろう…、というかそのまま、ですね
朝日新聞記者・三浦英之(@miura_hideyuki)アフリカ特派員が語る、記事に書けない南スーダンの真実(2016.11.06)と所感(11.15更新版) - Togetterまとめ http://togetter.com/li/1046149
というまとめがあるのですけど、そこから印象に残ったツイート
⑯政府の言う通り、ジュバは今は安定している。自衛隊も危険な場所にはいない。宿営地で他国部隊に守られている。いつだってそう。最も危険な場所にいるのは国境なき医師団と一部の国連職員、そして決してテレビには出てこない「本物」の戦場カメラマンたちだ pic.twitter.com/qe4VRX4yoG
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑰でもいつ戦闘が起こるかわからない。さらに駆け付け警護が始まれば状況は激変する。人を殺し、殺される可能性がある。相手はテロリストだけでなく、十分に武装された政府軍兵士かもしれない。7月の戦闘ではまさに政府軍の兵士が国連施設のすぐ側でNGOスタッフを集団でレイプしている pic.twitter.com/vVxvUL9Gsw
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
そしてこれ。リプライも文面をコピーしよう
⑱例えば再度ジュバで戦闘が起き、JICAで活動していた日本人女性が今回のように国連施設の近くで政府軍兵士に襲われた場合、自衛隊はどうするだろう。救助に乗り出すのか、あるいは中国軍のように出動を拒否するか。私は自衛隊は救出に向かうのではないかと思う。それが日本人だから pic.twitter.com/LiuQ9mjekB
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
@miura_hideyuki ではその時に朝日新聞は批判しない、住民を救う行動を称えるという事ですね。
— JSF (@obiekt_JP) 2016年11月6日
上で出てくる中国軍の「出動拒否」はこの話。
【南スーダン】:政府軍が宿泊施設襲撃 PKO部隊は救助出動せず
http://blog.goo.ne.jp/adragonisflying12345/e/4da362b3b6f8e8ed5a7d2dad7e51861f【ヨハネスブルク=共同】南スーダンの首都ジュバの民間宿泊施設が七月に襲撃された際、出動命令が下されたにもかかわらず、国連平和維持活動(PKO)の南スーダン派遣団(UNMISS)が出動しなかったことが分かった。部隊の一部が危険な現場の状況を懸念したとみられる。国際社会で非難の声が上がり、国連の潘基文(バンキムン)事務総長は経緯を調査する考えを表明した。
市民保護を最重要任務とするUNMISSには陸上自衛隊も参加しており、新任務「駆け付け警護」が付与された場合、対象となり得る案件。新任務に高い危険が伴う可能性を物語るとともに、出動の判断も国際社会の厳しい目にさらされることになりそうだ。
襲撃されたのはUNMISS司令部から約一キロの宿泊施設。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチによると、国際機関の職員ら約五十人が滞在していた。
政府軍兵士らが地元記者を殺害し、外国人の女性らを暴行。数時間にわたり略奪を続けた。現場から電話で国連に救助要請があったが、UNMISSは部隊を派遣しなかった。
米国の非政府組織(NGO)「紛争市民センター」は報告書で「UNMISS内部で出動命令が下されたが、中国とエチオピアの部隊が出動を拒んだ」と指摘。中国部隊は準備が整っていないことを理由に挙げたが、施設に向かう途中にも戦車や数百人の政府軍兵士がいたため、出動は危険と判断したもようだ。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは二十五日「市民が殺されるのを傍観した」とUNMISSの失態を非難した。
まさにこれで、要は、駆け付け警護に関しては、やらないなら「市民が殺されるのを傍観した」というアムネスティその他の批判に耐える、そういう批判を受けても仕方ない、という…或る意味で冷徹なコンセンサスが必要かと思うのだ。
別のエントリーでは、
銀英伝のとある文章に、オリジナルキャラが質問するという二次創作を書いた。
銀英伝5巻のユリアンとシェーンコップの議論を、「不作為」の問題を混ぜて拡大してみる。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160921/p2
シェーンコップの口もとが皮肉にゆがんだ。
「それでは聞くがな、もし政府が無抵抗の民衆を虐殺するように命令したら、軍人はそれに従わねばならんのかね」
ユリアンは、はげしく亜麻色の頭を振った。
「そんなことは、むろん許されません。そんな非人道的な、軍人という以前に人間としての尊厳さを問われるようなときには、まず人間であらねばならないと思います。その時は、政府の命令であっても、そむかなくてはならないでしょう」
という、正典に掲載されている会話に、オリジナルキャラクター「セイ・ローン」が乱入してこう問いかける、という流れだ。
…「お話を整理しますと、こういうことになりますな。
1:軍司令官が自分自身の判断をよりどころにして、政府の命令を無視することは許されない。
2:しかし「非人道的」「軍人という以前に人間としての尊厳さを問われるようなとき」は、政府の命令であっても、そむかなくてはならないなるほど…では「2」のバリエーションとして、こういう事例を想定してみましょう。
「政府が無抵抗の民衆を虐殺するように命令した」というのは積極的な行為、作為の罪、とも定義できますね。
ですが、消極的行為、不作為の罪…の場合はどうでしょうか。
わが軍が、武力不行使、中立維持、武器不使用…などを政府から厳命されている。
しかし、その目と鼻の先で、たとえば民間人や難民が、武装集団や海賊盗賊に襲撃され、虐殺、略奪、凌辱をほしいままにされている。わが軍の武力をもって排除に当たれば(多少の犠牲はあるが)、間違いなくその武装集団らは撃滅、排除可能だ。
これを「人道」や「軍人以前の、人間としての尊厳」の面から見たとき、政府の命令にそむいてでも、武力で襲撃者の排除にあたるべきでしょうか?」
もともとは北岡伸一氏が、TBSの金平茂紀記者のインタビューを受けて、彼を木っ端みじんに返り討ちしたインタビューで、こう述べたのに由来する。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150406/p3 から孫引き
金平キャスター
いや例えば、自衛隊員に死者が出るとか、血を流すみたいなことがあり得ますよね。少なくとも日本の戦後の歴史の中で、これまでの歴史の中で自衛隊が海外へ出かけていって血を流したり、相手を殺傷したりということはないですよね。そういう意味では質的に物凄く変わるんじゃないですか?
北岡氏
これはですね、勿論そういうことはあって欲しくないし、ないようにできるだけの努力はすべきですよ、だけども今の法制度でもありえないことはないですよ。今のPKOでもあり得る話ですね。
金平キャスター
しかし今までなかったことが、これによってなお可能性が増すという、もっと大きくなるということはありませんか?
北岡氏
それはどうでしょうか。それはそうかもしれないし、そうでないかもしれません。というのはですね、"何々の恐れ"ということを皆さんよくいうんだけれど、"恐れ"の中には、"不作為の恐れ"というものもあるんですよね。
今の例えばPKOに限って言えば、南スーダンで絶対、死者を出さないようにしようと思えば、これは引き上げるのが一番でしょう。するとそこで、結果的に、かつてのルワンダの虐殺のようなことがあっていいのかということを、日本が"不作為"によって引き起こされる。日本人の自衛隊はセーフだったけども、そこでより多くの現地の人が傷ついたり怪我したり死んだりしたということが起こっていのかと。両方考えなくちゃいけないということでしょうね。
これに対して、個人的には「不作為によって南スーダンで多数の現地の死者が出ても、まあしょうがないかな?」という、そういう「冷たい判断」を下しているということです。
それは
・距離的、文化的、政治的に遠く、親しみというか相互の影響はあまりないから(石油の問題はあるが)
・当事者同士(権力者たち)が、和平を望んでいないから
を理由とする。
だから南スーダンからさっさと切り上げるのもひとつの選択だし、続けるにしても宿営地でずっと守りに入って、たとえば目と鼻の先で国連職員でも宣教師でもNGOでも民間人でも難民でも…殺されようと略奪狼藉されようと、それはそれで、彼ら自身で何とかすることを祈るか、別のどこかのPKO部隊が救出してくれるのを待つか…ぐらいが精いっぱいじゃないか、とは思う。
難民が保護を求めてキャンプに押し寄せてきて、そレを武装勢力が追いかけて基地の前で虐殺が始まったら?
その時も……国際非難は承知で「ゲート」は閉じたままにするしかないだろう。それも、南スーダンの武装勢力や政府の責任である
あとは、その地の幸運と安全をねがうしかない。
1992年、またく違う決断をした自衛隊もあるが……その参考資料
【自衛隊カンボジア派遣】ジャングルに現れた「幻の邦人救出部隊」 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/873123
@nekoguruma @fussoo_moe 駆けつけ警護が認められてなかったカンボジアPKOでは、『情報収集』名目で邦人選挙監視員を護衛し、銃撃を受けた場合には自衛隊員は射線に身をさらして自分が撃たれてから、正当防衛射撃するという滅茶苦茶な手筈だったので、リスクは減ると思う。
— うみ@インフル予防接種済み (@umi_tweet) 2015年7月20日
たしか「特別救護班」みたいな名前で編成されてて、事態が発生したらトラックで敵前に突っ込んで要件を満たす予定だったんだっけ…>RT
— sakimori9941 (@sakimori8821) 2015年7月20日
- 作者: 別冊宝島編集部
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