INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

AIに何ができるか、何をしてほしいか?…とりあえずの感想や期待(2016年版)

なんどかすでに紹介しているけど、あらためてヨッピー氏の記事を

「モノがどのぐらい売れるか」が事前に正確にAIで予測できたら、どうなっちゃうの?(ヨッピー記事)

http://getnews.jp/archives/1530370
(略)
「そうやって発展してきたAIを、ビジネスにどう使うか、つまりはどう実用化するか、なんですが、例えば弊社には商品の需要を予測する専門家がいるんですね。いわゆるバイヤーと呼ばれる人たちなんですが、そういう人たちが『この商品はこれくらい売れそうだからこれくらい在庫置いておくぞ』みたいなことを考えて仕入れを立てるんです。

で、それに対してAIを利用した商品の需要を予測するシステムを作りまして、社内のコンペでその専門家達とAI、どちらの予測が正確か勝負させたんですよ。そしたら20回やって20回AIが勝ちました

「えー!そんなに!?」

「そうなんですよ。音楽CDとか映画のDVDとか、ああいうものの需要予測の精度は本当に高いんです。システムを作ったのは全員弊社の外国人のチームで、深夜ドラマの音楽のことなんかわかるわけがないのに、それでも勝っちゃった。(略)……需要予測も正確で、ミスもしないってなったらそれだけでものすごい利益を生むわけです」

「Oh……!AIが既にそんなレベルなら、マジで人間の仕事がなくなっちゃうんじゃ……!」

「でもね、そんなに精度が高いAIでも、需要予測が難しいCDがあったんですよ。なんだと思います?」

これ、ほんとはおかしい話で…何がおかしいかというと、ヨッピーさんのスクープ記事というのも確かに目立つけど、
本題は
「アルファ碁VS韓国名人」
アメリカのクイズ王VSワトソン」
「電王戦」
みたいなレベルで大騒ぎして……「対決!!!音楽業界のベテラン営業マンvs楽天AI!! 売り上げを正確に予測するのはどっちだ!!!」
とかやるべきだったのですよ。まあ、ベテラン営業マンをどう権威づけするかはわからんけど。

NHKでスペシャル番組をやるべきだと思うよ


2012年にオバマ再選されたときの米国大統領選で、ビッグデータの数学的予測が、政治評論家の経験的予測より正確だった時に、自分はこう見立てた。

わたくしはこのテーマを「文系の分野だと思ったら理系の分野だよシリーズ」と名づけているが、その中の新シリーズとしても話題作だな。でももともと、選挙結果の予測は数学、統計にかかわりがある分野・・・だが、「最後は選挙のプロの経験と勘がものをいう」ともずっと言われてきた。
だから、英伝でたとえると(またかよ)「データ帝国」と「自由経験同盟」の長い、大きな戦争をイメージしてほしい
そしてデータ帝国は近年、「オセロ星」「野球の若手スカウト・トレード実績星」「将棋星」「ワインのテイスティング星」などの要衝を次々に攻略、あるいは猛攻でいま陥落寸前・・・その中で今回の大統領選で上のような結果が出たことは、自由経験同盟としてはウランフ提督が討ち取られたぐらいのダメージをこうむったと思う。

今読み直してみても、「ウランフ提督が討ち取られたぐらいのダメージ」って、喩えがわかりにくいよ!

ま、それはともかく、その一文にもあるようにすでにワインのテイスティングも、人間よりAI(ビッグデータ)が上をいっているそうですよね。
「売り上げの予想」もそうなったか…と。


「売り上げが(完璧に)予想できてしまう」というのは、それだけであらゆるものの前提をひっくり返してしまう。
選挙予想もそうだろうけど。

ドラマ「重版出来!」営業話から思う「需要予測/部数決定」という”ゲームのルール”と、その大変動(電子出版)の話 - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160420/p1

また、リンク先の記事でも書いたように「ほしい人はそのほしい人の数だけサーバーからダウンロードする。過剰在庫なし、品切れなし」という「電子書籍」は、それだけで「ゲームのルール」を完全にひっくり返してしまうのだろう。

ま、これはAIとは関係なので略す。
その前に、もう一度AIとは直接関係ない話を再度。

売れている「グーグル秘録」に関するゴシップ - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100630/p8
 
(俺の記憶している話)
創業間もないグーグルに、伝説的とも言われる大物投資家が興味を持った。
広告業界の中ではカリスマと呼ばれ、代理店を経営して巨万の富を築いた男。
この男が、グーグルに投資しようと思ったのだ。
だが、創業者のエンジニアの説明にだんだん、この「広告のカリスマ」の顔色が変わっていく。
特にグーグルが掲載広告について「僕らの開発したこのシステムだと、何人が掲載した広告を見たか、そのうち何人がその商品を買ったか、それがすべて一桁まで分かるんです!そして、その成果に応じて広告を出した人たちが報酬を支払う。とっても合理的で、画期的っしょ?
ぶっ、ぶわっかもーーーん!!それはタブー中のタブーじゃ!!!お、お前たちはな、100年200年続いた広告と言うビジネスを根底から覆そうとしてるんだぞ!!!」

グーグル秘録

グーグル秘録

「自動翻訳」、ついにブレイクスルー? 「日本語を一度『絵』にして、それを英語にするんです」なるほど…

この記事が、体操面白かった。

AIが高度に発達することが確定した今、高校生が英語を学ぶ意味はあるのか? - shi3zの長文日記 http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20161011/1476129642

何が面白いかというと、たしかに「翻訳機が発達したら英語を学ぶ意味はなくなるよね」というテーマもおもしろなのだが、自分は碁のAIや将棋のAIと比較して「将棋や碁はすでに名人に勝利するぐらいに進歩しているのに、グーグルやexcite翻訳をみるとまだまだ訳がポンコツ過ぎる。将棋たちはできがいいのに、なんで翻訳はこんなに進歩が遅いのかねえ…」と以前から愚痴っていたのですわ。

碁もAIが棋士を凌駕?…けど「自動翻訳」はそれほど発展してない不思議 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160311/p2


いつもAI将棋、囲碁、チェスを見るたびに思うんだが…これだけ複雑なゲームに勝利するコンピュータも、まだ普通の英文小説を自然な日本語に自動翻訳するのって不可能。…言葉ってそれほど複雑なんだなあ…と。

シャーロック・ホームズ「まだらの紐」を翻訳させてみる。

原文
『ON GLANCING over my notes of the seventy odd cases in which I have during the last eight years studied the methods of my friend Sherlock Holmes, I find many tragic, some comic, a large number merely strange, but none commonplace;』
 
天下のグーグルの機械翻訳
『私は最後の8年の間に私の友人シャーロック・ホームズの方法を検討してきた70奇妙な例私のノートを眺めたON、私は多くの悲劇的な、いくつかの漫画、単に奇妙な多数が、どれも当たり前を見つけます。』
 
翻訳家の翻訳
http://www.221b.jp/h/spec.html
『友人シャーロックホームズの捜査手法を詳細に観察し、記録に残した奇妙な事件は、過去八年間で七十件に及んでいる。この事件記録に目を通してみると、その多くは悲惨な事件だが、中には笑いたくなる事件も見つかる。単に奇妙なだけの事件も数多いが、ただの一件もありたきりな事件はない。』

霊長類ヒト科の圧勝というか、相手にもなりゃしない。
言葉というのはそれほど微妙絶妙であるともいえるし、数学的ロジックが通じないいい加減なものだともいえる(笑)。


それに対してこの記事は
「なぜ、機械翻訳はなかなか進歩しなかったのか。それをいま、どう克服しようとしているのか」が解説されていて、それが最高におもしろかったわけ

たとえば英語→日本語という程度の内容であっても、これだけ人間を悩ませ、文章の奥に隠れた真意を汲み取らなければならないわけで、その上、ある意味で確信犯的にウソを入れないといけないとなると、我らがコンピュータちゃんたちがそんな器用なことができるようになるんかいな、という疑問を持つのはある意味で当然と言えるでしょう。

 しかし人間にできることは当然、コンピュータにもできるようになるだろう、というのが今の最先端のAI研究者たちの考えていることです。

 例えば、ひとつの例として、画像を言葉で説明するAIがあります
https://i.gyazo.com/49df56d2e57aa805d8600440b295429c.png

 つい数年前まで、こんなことができるかもしれないとは誰も考えていませんでした。
(略)
画像と説明文のセットをただひたすら学習させるだけです。
 そんな単純なことだけで、こんなAIが出来てしまうのです。これは控え目に言っても驚異としか言えません。

 そして今のAIには奇妙な性質があります。
 A→Bができるとき、それを逆流させてB→A'もできるのです。

 つまり、画像を言葉にできるとき、言葉を画像に変換することも・・・・

世界中の誰とでもメールやチャットで会話することができ、音声でごく自然に諸外国の人とやりとりすることができるようになるでしょう。

 むしろ今の世の中、海外で言葉が通じない最後の世代なのかもしれません。
 僕はその昔、まだ携帯にGPSが付いてなかった頃に自動車でヨーロッパ横断をしたのですが、各国ごとに地図が違ったり、言葉がわからなかったりして、フランスの田舎町で道に迷って、地図を片手に老婆に話しかけると身振り手振りで正しいルートを教えてもらったりしました。

 「そういう混乱が楽しめるのは、もしかしたら今だけかもしれません。
 何年かあとにバルセロナからパリを目指したときは、とっくにGPSがあって、スマートフォンがあって、そういう、紙の地図を見ながら不便さに汗するという楽しみがなくなってしまいましたよ」

少し前の「ちゃんとした自動翻訳はやっぱり無理じゃね?」という懐疑論も面白かった。

じつは今から10年前、リアルタイム自動翻訳は「あと5年で実現できる」はずだった / AIが翻訳の不可能性に気付く日 http://d.hatena.ne.jp/nakaii/20160427/1461730964

自動翻訳機が実現しない理由、エッセンスのナンセンス、物語に拮抗する文体 http://d.hatena.ne.jp/nakaii/20100204/1265453605


東浩紀氏なんかは、完璧な自動翻訳ができればゲンロンカフェのトークが、世界の思想空間で重要な位置を占めるようになる…と夢想されているが、さてどうだろう(笑)

話し言葉が自動的にテキストになる」技術、完璧な日本語で一般化するのはいつ?それが人文学を変える?【全文革命】 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160207/p3

東 時期は予測できませんが、もう時間の問題でしょう。それは、さっきの動画の字幕の話とあいまって、僕のやっている事業を変えるきっかけになると思います。
加藤 おお。ゲンロンの事業がワールドワイドに認知されるのか。
東 はい。ゲンロンカフェで話されていることには、外国の人は知らないけど、重要なことが多くあります。政治的にもね。だから飜訳されればインパクトを持つと思います。たとえば、小林よしのりさんと宮台真司さんがしゃべっている動画に、リアルタイムで英語や韓国語の字幕がつくようになる技術が生まれれば、トークイベントの意味が大きく変わる

ではAIに、何をしてほしいか。

過去には

プールや海で「溺れてる人」を発見する、AI付き監視カメラってできないだろうか - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160712/p3

なんてのも書いた。これはこれで、ぜひ開発してほしいが…



<AI技術者・開発者に挑戦する!!毎日の時事トピックに対して、「新聞の社説」や「テレビのワイドショーコメンテーター」レベルで、感想や批評を自動的に生成できる「AI社説」や「AIコメンテーター」は作れるかい??>


よく、ああいうところでは
「国会は決して結論を急いではならない。徹底的な情報公開の上で、じっくりと熟議する必要がある」
とか
「わたしたち庶民から見たらかけ離れた感覚ですよね。まずね、えらい人は襟をただして、庶民の目線に立った政治をしてほしいですよね」


とか、そういうふうに時事を鋭く切っているではないか。人文学の最高の精華である。
からくりポンコツ人形に、毎日あれらと同じ水準で、するどく日常の問題を語ることは可能だろうか。司会者に政治から芸能から科学から犯罪まで、森羅万象の話を振られて、20秒でずばりと本質を切ることができるだろうか?もちろん、保守的とか革新(リベラル)的かを、場面場面に応じて動かせるダイヤル機能もほしい。


もしAIがそういうことが可能になったら、わたしも兜を脱ぐのだが。まあ50年、100年はかかるかな…(こんなアホな研究をやるやつはいないだろうから、進むはずがない)

つか、これ書評にしたら「ショヒョックス」だな。

http://higashinokeigo.net/detail/045.html

超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)

超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)

【超読書機械殺人事件】
書評の依頼に忙殺されていた書評家に届けられた『ショヒョックス』という奇妙な機械。どんな小説でもたちどころに書評を作成するという驚くべき機械だった。やがて、この『ショヒョックス』が出回ったことで、出版業界は大変なことに・・・。

「もっとこのへんシュッとして」「これとこれは足すけど、これは計算せんといて」みたいに、ホームページ制作ソフトやエクセルが「曖昧な要望」に従うようにはできないか?

エクセル、便利だが関数を覚えにくい。
ホームページもタグを覚えにくい。

AIを駆使すれば、要はこういうのをぜんぶ「言葉」や「指さし」でできるのではないだろうか。

「ちょっと、全体的にこのホームページサイト、まじめくさいわね。もっと遊び心入れて」
とか
「エクセルはん、これとこれとこれだけ足して平均出して。で、こっちは特別の予算だから、1/3だけ計上して。そんで、きのうのやつと足しといて」

こういうのがぜんぶ音声とか指さしで指示できるエクセルとか、たいへん便利だと思うけど、いかがでしょうか?