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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「普通の人間の体を、変身ヒーローが借りている」はウルトラが元祖?その「意識」はどう描写?【創作系譜論】

※【創作系譜論】は準タグです。この言葉でブログ内を検索すると関連記事が読めますです

ウルトラマン屈指の異色作 沖縄出身脚本家・上原正三さんが挑んだタブー | 沖縄タイムス+プラス http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=160369

ぼくのブクマ

http://b.hatena.ne.jp/entry/283364044/comment/gryphon
「武器のない琉球に、鉄砲で武装した薩摩軍が攻めてくる」というのは江戸しぐさ的伝説らしいhttp://obiekt.seesaa.net/article/108750166.htmlんだけど、上原先生だからよし(ダブスタ)。/帰りマンと郷の意識の設定は興味深い

字数の制限ゆえにこちらは紹介できなかったのですが、

武器のない国琉球?(1) http://okinawa-rekishi.cocolog-nifty.com/tora/2007/11/post_08c5.html
武器のない国琉球?(2) http://okinawa-rekishi.cocolog-nifty.com/tora/2007/11/post_99eb.html

まー、こっちはどうでもよくて、その後の「帰りマンと郷の意識の設定は興味深い」の話。

―それでは、上原さんのウルトラマンは。

 「金城のウルトラマンは一つの完成形。そのコピーでは、やる意味がない。仰ぎ見る主人公ではなく、町工場で働く兄ちゃんが困難にぶつかりながら成長していく物語にした。近未来ではなく、公害が深刻だった70年代の東京を舞台に、リアリティーの追求に腐心した。例えば怪獣がビルを壊すと、僕は人々ががれきの下敷きになる場面を作る。これは金城にはない発想。でも僕はやる」

 「初代ウルトラマンと変身するハヤタは一心同体だけど、意思はどちらにあるのかはぼんやりした設定になっている。それで僕のウルトラマンは、変身する郷秀樹の意思を持つ設定にした。また、初代は仰ぎ見るイメージだけど、僕のウルトラマンは子どもの目線に下げようとした」

 「だから『帰ってきたウルトラマン』は僕をはじめ、いろいろなライターがやりたい放題にやっているよね。初代『ウルトラマン』のような透明感はなく、斜(はす)に見た感じの物語が主流になっていった」

はいここ重要。
そもそも「月光仮面」とかあるわいな。バットマンやスーパーマンあるわいな。
ふつうの人が、あるいは超能力のある人が、覆面をかぶったりコスチュームを身に着けた状態で正義の味方として戦う。わかる。
「ヴァンパイヤ」みたいに、狼男に変身……これもまぁわかる。そういう伝説があるわけだし。


しかし、「宇宙人」などの別の生命体が、ふつうの人間の中に「入り込み」、そいつに変身して活躍する…って、かなり突飛で、なかなかに思いつくようなものではない、という気がする。
自分の乏しい脳内SF情報サーチでは「一番ふるい検索結果:ウルトラマン(1966年)」と、なるのですよ。


さて、この前にこのアイデアってあったのでしょうか。


そして、上原氏の、この回想。
たしかに、初代ウルトラマンではハヤタ隊員は最終回で、初代マンが帰っていく火の玉を見て「あれですよ。ぼくは(第1話で)あの火の玉とぶつかって…そのあとどうなったのかなあ…」と、ウルトラマンと合体していたときの意識や記憶がないと示唆している。
てか、ナウシカと同じくハヤタもゾンビー?


ウルトラセブンは、「変身」してたのでノーカン。てかモデルは生きたまま、そっくり同じ顔で、同じ日本で暮らしているというズサンさ。
モデルの父親が、奥さんから隠し子疑惑を追及されるレベル。


郷と新マンだが…心の中で対話とかしてたっけ?それとも基本的に郷の意識だったんだっけ?



ま、何がいいたいかというと、
この「変身ヒーロー(未知の生物)が人の体に入り込む。そして人間の主人公とそいつが、『対話』する」というこのパターンが、非常に面白い文明的な対立、異文化ギャップ、哲学論、葛藤…などを描いて面白くなった、ということですう。

そしてこれらを表す言葉として?
二心一体」(グーグル検索約 777,000 件) 「二心同体」(約 364,000 件)という言葉が使われたりした…が、まだネット・サブカル的な造語にとどまっていて、まだ辞書とかで収録してるところはないよね(笑)




あれ?でもそれでパッと思いつくのは、90年代、ゼロ年代に入っての漫画だな…王道的な特撮SFでは、いまちょっと思いつかないや。

つまり「鉄腕バーディー

引用画像は、作者本人のパロディ的番外編「ゆうきまさみ年代記」で申し訳ないが(笑)

そして「寄生獣」。

基本的に、声に出して対話しないとだめなので、独り言の多いあぶない人っぽくなるが(笑)

さらには、パロディなのに本質を衝いちゃうという美質か欠点かがある椎名高志氏は、GS美神の中で変身ヒーローのパロを描いている。「変身中に意識がない」という設定も、その後、「二人が対話する」という設定もやって、それをギャグにしてたな…



自分は当然、生まれたときからふつうに「ウルトラマン」があった世代なので、こんなアイデアがどう生み出され、どうブラッシュアップされていったのかは、今回の上原正三氏のコメントを聞くまで気にもしていませんでした。
しかし、こういうほんとに細かい設定やアイデアも、こうやって積み重なり、系譜を連ねてできていくんだねえ、と思いましたデス。

しかしまあ、変身ヒーローと体を借りている人間が対話するとなると、ウルトラマンエースは大変だよね。
北斗と南、それぞれと対話して、例えばお互いの、お互いについての愚痴を聞いてとりなす、仲人を務めた大家さんみたいな仕事もしなきゃならない(笑)


【追記】



その後、こんな情報も

cinefuk @cinefuk 19時間前
ハル・クレメント『20億の針』は馴染み深い『ウルトラマン』の元ネタ。宇宙犯罪者を追ってきた捜査官が、取り逃がした犯人を捕まえるために地球人と合体する。映画『ヒドゥン』や漫画『寄生獣』の元ネタでもある。「もしウルトラマンの方が犯人で、僕を偽っているとしたら?」というサスペンスもゾクゾクする(古いけどオススメ) http://manuke.seesaa.net/article/10744346.html

これは、以下のtogetterのコメント欄にて。

アシモフハインライン…漫画家さんらがあらためて語った「古典SF」の魅力やあれこれ - Togetterまとめ http://togetter.com/li/965303

ついでに余談。上原氏は「残酷シーンが多すぎてけしからん!」と「北斗の拳」脚本を降板したそうだ。

これ、リアルタイムで降板を語ったインタビューを読んだ記憶がある。
「宇宙船」かなあ…それぐらいしか当時、特撮番組の脚本家にインタビューする雑誌なんてないだろうからほぼ間違いないだろう。


当時は「カ、カテエ…まるで溶岩石のように凝り固まった上原のアタマ!」と思ったもんだが、今の規制を思うと、上原氏の感覚の方がまともだったかも(笑)。
どこかでそんな記述がないかな、と検索すると

http://www.cna.ne.jp/~kuroneko/newpage566.html

上原正三は「北斗の拳」メインライターを極めて短期間で降板している。上原正三はその回想録の中で「北斗の拳」に言及して「悪人とはいえああいう殺し方をする主人公(ケンシロウ)は好きになれない」と語っており、残忍に悪人を殺す「北斗の拳」の作風に異議を申し立てていたようである。