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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「足による投票」はあるか?大家が同性カップルに「渋谷区に行かないでしょうね?」と心配する(「きのう何食べた?」より)

上の記事から続きます。お、明日は最新号が出てしまうのでギリ間に合ったか。

(中略)

f:id:gryphon:20190925104454j:plain
きのう何食べた?同性カップルは優良入居者。渋谷区に行かないか心配

先行して紹介したtwitterではこう書いた。

モーニングから。よしながふみ氏の「きのう何食べた?」のエピソード。
 
これ、正にこの過去記事の話です→某チェーン店の「人手不足で閉鎖」報道を見て『足で投票する』という言葉を思い出した。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140424/p2


「足で投票する」を論じた過去記事から。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140424/p2

東京で国際ペン大会が開かれたときだった。私は学芸部記者で、イギリスの作家アラン・シリトー氏(※「長距離ランナーの孤独」などが有名)をホテルの部屋に訪ねた。
(略)一通りのインタビューが終わったあと、何のことからか、どんな自由が最も基本的か、どんな自由を制限されるのが一番つらいか、という話になった。
彼は即座に明快に答えた。
「それは移動の自由だ。だがコミュニストたちはそれを奪っている」
私はあっけにとられた。シリトー氏は義務教育を受けただけで職工になり、働きながら詩や小説を書き始めた人だ……「言論の自由だ」という反応を期待していたのに、意外な返事だった。
「なぜコミュニストは移動の自由を制限するんでしょう?」
「制限しなければ倒れるからだ」
去年(※1989年)の11月にベルリンの壁が倒れたときでさえ、私はシリトー氏のこの言葉がまだピンとこなかった。いま東独が倒れて初めて、彼を理解した。移動し始めた民は実に速かに国を倒すのである。

これは派生的な意味で、もともとは「行政サービスのいいところを企業や住民が選ぶ」という意味だから、同性カップルの優良顧客が、うちのマンションを引き払って渋谷区に行くんじゃないか?と心配する大家さんの意味のほうが本来に近いか。
wikipedia:足による投票


「渋谷区条例の思想的な父」を自認している私としては、何とも感慨深い(笑)
いや、自慢するわけじゃないけどね、いや自慢だけどね。

まだこんな議論がされていない2012年に、ブログで構想を発表し、世田谷区長を名指しして「やってみたら?」と提言した。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120512/p4

2013年には区長に近しいともあれる世田谷区議に直接建白もした。
http://togetter.com/li/541239


まあ、先行するアイデアは探せばどこかにある(我こそは、という人は教えてください)だろうが、自分は徒手空拳でこの案にたどり着いたのだ。(タネを明かすと、これは実は「国に自治体が独自政策を制定しケンカを売る」という石原慎太郎の姿にインスパイアされていたりする。)


その結果、世田谷で動かず、渋谷で実現したのは時の運か、議員や首長の器や能力の違いか、それは分からんが、私も策を授ける相手を間違えてしまったようだ。軍師・陳宮の悲劇ふたたび。
枳棘(ききょく)は鸞鳳(らんぽう)の棲(す)む所にあらず。



閑話休題
しかしこの大家さんの、道徳的問題をまったく一考だにせず、カネ勘定だけで判断する「新自由主義者」っぷりはみごとだ(言いがかり)。

お子さんのいる家庭のほうが滞納が多いんですわ
独身の人なら何を置いても家賃払わなきゃ、ってなるけど、子供のいるところは子供にカネを使っちゃうから

…ってねえ、大家といえば親同然、店子といえば子も同然。子供がいて苦しいなら何も言わずに家賃なんか待ってあげて、逆にみそ醤油やら「作りすぎちゃった煮物」を持ってちょっとそこの様子を見るぐらいの人情がなきゃあいけねえや、この丸太ン棒め、てめえなんか血も涙もねえから丸太ん棒ってんだ…
と、どんどん落語的なネタに続けてしまうが、もちろんこの「大家といえば親も同然」というドグマや「格子を開ければ顔なじみ」な隣組体制こそが、旧世界の息苦しいホーケン主義を生んだのであります。こういうのが一掃されたことこそ進歩だ。古い上着よさようなら。


でも本当に
同性カップルでも弁護士さんで、家賃の心配ないし心強いし大歓迎!渋谷に行かないでね!」
と言う、LGBTに理解のある大家さんが
「子供のいる世帯のほうが家賃滞納が多くてねえ…」と警戒してるというのが、何とも象徴的でいい。「人情家」ではないという計算づくの演出だろうか。

渋谷区も「LGBTには理解ある政策をしている」一方で「ホームレスに不寛容だ」と言われているが、カネカネカネの世の中では、ある意味で”合理的”というのはへんだが、思考のルート的にはそうなってもおかしくないわなあ、とは思う。

関連記事。

SF小説】一番効果的な自治体のホームレス対策って…「隣の自治体に行って貰うこと」なんじゃないかな(禁じ手だろうけど)〜というシミュレーション小説 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150422/p4


すでにアメリカでは、前から州制度の違いによる「制度競争」はさかんだったから「ゲイマリッジが認められる州に、LGBTが”移民”してきて豊かになる」という議論は、政策論争のひとつとしても言われてきた。


企業…たとえば直接的には結婚式場もそうだろうけど、LGBTの権利を後押しする世論の変化にもよって「そういう制度を持っていると企業のイメージアップになる」という流れもある…

今回の「きのう何食べた?」そういえば、一応その企業オチなんだよな。

オチを紹介するのはちょっと申し訳なくもあるが、別にこのオチ自体が重要でもないしお許しいただきたい。


最後のコレなんだけどさ、これって別に渋谷区の証明っているのかね?
企業の話なんだから、渋谷区の証明書があっても無くても、自己申告でカップルには認めたらいいんじゃないか、とも思う。


ソフトバンクグループの総帥ってさ、本心かどうかに関係なく(笑)、こういう風潮に乗ろうっていう感覚があるじゃない。もうすでに日米をまたぐ企業なんだから、鈍感ではいられないでしょうし。聞いてみるかな??…と思ったが、まず最初に調べてみたら…ほほー。

これをまた、独立した記事にしたいと思います。下の記事に続く