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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

【「お前が行け」論まとめ】ネパール余震で再論…「現地を救援せよ」と机上で言う我々は、大なり小なり「災害版トリューニヒト」(銀英伝)なのだ、と自認しよう。

ネパール余震、今後も活発な地震が続く可能性 | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/news/1505/051300117/

ネパール東部で12日、マグニチュード7.3の地震が起こった。多数の死者が出ているほか、地すべりも発生しており、この地域が世界有数の地震発生地域であることを知らしめた。

 米国地質調査所(USGS)では今後も余震が続く可能性があるとみており、ここ数週間のものより強い揺れになることもあり得る…(略)…この余震で少なくとも68人が亡くなり、数千人が負傷した。


この状況下でも、世界中の官民が救援活動をしている。本当に頭がさがる。
いささかの寄付は日赤にさせていただいたが、額は自分の中では奮発したつもりとはいえ、客観的にはお恥かしい限りだ。


そして、ネパールのわが国(自衛隊)の救援活動に関して、その規模や速度に対してさまざまな批判があったりもしました。今でもtwitter内を「救援 遅い 少ない」などのキーワードで検索すればでてくるでしょう。
このへんあたりも参考にしつつ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150513-00000004-wordleaf-pol

で、その批判の妥当性うんぬんは関係ない。
自分がいいたいのは、妥当であってもなくても…今回のネパール救援隊や、過去の救援活動に自ら参加した(している)、あるいは肉親が行った、行かせたという人間はもちろん例外として除外するとして、
それ以外で「もっと迅速に救援隊を送れ」「もっと大規模な救援活動をしろ」と言っている方は、こういわれることを免れない、ということです(再確認)

あるいは、これでもいい。「総理」を、あなたの名前に、「前線」を「被災地」に変えてみよう。

「(危険地域での)災害救援」だと、構図は同じなのにあっさり盲点になるんだよなぁ。

ジェシカ論法、あるいは「ジェシカ・百田論法」と私は呼んでいるが(理由はググれ)、ここのキモは「戦争」や「軍隊」だけじゃなくて「政策として、自分でなく他人に対して危険、リスクを負わせる」ということだからね。相手が余震や噴火などの自然災害なら「死んで帰れと励まされ」とはならない…はずだが、そのシチュだとスタンスがあっさり変わるということも多い。
てか、銀英伝ジェシカの台詞を書いた作者ですら、別作品(創竜伝)では、実際に日本人の開発支援者が、現地でテロリストに殺されるという悲劇を前に「そういうところに行く日本人こそ、まさに誉れだ。素晴らしいことだ(ひるまずやるべきだ)」という意味のことを論じていました。

堂兄弟の年代では想像するのもむずかしいが、日本にも貧しい時代があったのだ。外国からの援助を必要とした時代。国内によい職場がなく、人々が外国へ出稼ぎに行った時代。二〇世紀末の日本人に、「南アメリカのペルーとはどんな国か」と問えば、「左翼ゲリラが跳梁し、日本人技術者を殺す、おそろしくて貧しい国」という答えが返るだろう。だが第二次大戦の直後には、そのペルーが日本に食糧援助をしてくれて、おかげで何万人もの人たちが餓死から救われたのだ。今度は日本が多くの国に力を貸し、自立を助ける立場になった。けっこうなことだ。できるだけのことをさせていただこうではないか。そう祖父の司は始に語ったことがある。

「タナウツ」革命軍に旗揚げ直後から銃を持って参加した古参兵(現在は満期(ネタ切れ)除隊)である小生がその矛盾をパロディにしたこれは、今でも自分のお気に入りの一本です。

ヨシ=タナーニヒトの演説
http://www.tanautsu.net/kousatsu01_20.html
 

「お集まりの市民諸君、ボランティア諸君!今日、我々がこの場にはせ参じた目的は何か。ペルーにおいて散華した農業指導の人々の英霊を慰めるためである。彼らは貴い命を発展途上国の福利向上を進めんがためにささげたのだ。
貴い生命と、いま私は言った。まことに生命は貴ぶべきものである。しかし、諸君、彼らが散華したのは個人の生命よりもさらに貴重なものが存在するということを、後に残された吾々に教えるためなのだ。それは何か。すなわち国際人道援助である!
彼らの死は美しい。小我を殺して大義に殉じたからこそだ…(後略)


まぁこの話、マイケル・ムーア映画、東日本大震災原発事故)、百田尚樹氏、フィリピン巨大台風……などの話題が出るたびにこのブログでは手をかえ品をかえ語っていたことで、読む人も食傷かもしれない。自分も、いまここまで書いてきてちょっと飽きた(笑)。

いい足りないところは、過去に書いている記事でもテキトーに見てください。「ジェシカ」で検索すると発見率高し。
あるいは、ここなんかもちょっとした関連テーマのリンク集になっています。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131115/p5


もう一回だけ、結論を…2段階に分けていう。
【第一段階】
・たとえばこれだけ余震が続く、危険なネパールに「大規模な救援隊を派遣せよ」と主張する、そう主張する人は、その救援隊所属者・経験者・彼らが身内にいる人…を除いて、本質的には「自分はいかずに人を危険な場所に送る”トリューニヒト”(銀英伝)」である。


【第二段階】
・しかし、それはしょうがない。逆に、災害救援をするべきだ、と考えているのに「自分がその危険地域で活動できるわけでもないのに…」と、政治家なり有権者なりがそれを呑み込んでしまうなら、そちらのほうが民主政治にとって問題である。



と、思う次第です。

あと、今付け加える蛇足のひとこと。
 
「自分は危険地に行った経験がある、危険地域で援助活動をしたことがある」という基準で語るなら、国会部門では”ヒゲの隊長”佐藤正久に、作家部門では曽野綾子に、大方の同業者、あるいは一般市民はかなわない」


でしょ?(笑)

追記

糸井重里氏「まず、総理から前線へ。」の反戦コピーの出来を後悔。「今なら戻してって言う」 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150221/p4


追記2 その後、これらをおおまとめにしたリンク集を作成。いまのところこれが一番充実してるかも
m-dojo.hatenadiary.com