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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

【SF小説】一番効果的な自治体のホームレス対策って…「隣の自治体に行って貰うこと」なんじゃないかな(禁じ手だろうけど)〜というシミュレーション小説

―某年某月某日、まだ寒い冬の日。ホームレスのAさんは、S区の公園に作った段ボールハウスで、寒さに震えながら夜をすごしていた。
この国の貧弱な福祉、貧困対策のせいで救いの手はわずかなボランティア団体からしか差し伸べられなかった。
「夜分におじゃまします」
1人の男が声を掛けてきた。こざっぱりしたジャンパーを着込んだ、一見地味そうな男だった。だいたいこういう人は、どこかのボランティア団体だと相場は決まっている。一食ぐらい、弁当でも手に入るかな…Aさんは思った。

「今日は冷えますね。あったかいもの…牛肉入りのなべでもたべませんか?そしてカップ酒も一杯ほど」

「鍋に酒??」
Aさんは驚いた。食事ならくれる団体はあるが、当然ながら、さまざまな悪影響のある酒をつけてくれるようなところはほとんどない。だからこそ、時には飲みたくてたまらなくなる。想像するだけでのどが鳴った。
「それはありがたい。ぜひ行くよ。どこで配ってるんだい?」
「M区のXXX公園です」
「えっ?そんな遠くなのかい? そりゃ困るよ」
「大丈夫です、私たちがワゴン車を用意していますので、それにお乗せします。」
「へっ??サービスいいねえ、じゃあ、乗せてもらうけどさ…」
 車の中の暖房の暖かさも、魅力的だった。


数十分ほど揺られてついた、S区のとなりのM区の公園。そこではたしかに、鍋の炊き出しが行われていた。普通のボランティアの炊き出しからは、一回りもふた周りも豪華な肉や野菜入りの鍋。そしてワンカップに、缶ビールまで配られ、ちょっとした宴会になっていた。

「ここの公園で、酒とかも飲めるって許可もらえたの?」
Aさんが尋ねると、鍋の火加減を見ている若い女性スタッフが、いたずらっぽく笑って「しーっ」というゼスチャーをしながら、「正直、無許可ゲリラの炊き出しです」と答えた。
まあ、そうだろうな……無許可でこの準備するほうも大変だろうけど、それでこんなにうまいものがくえるんだから、ありがてえ話だ。自然と頭が下がった。

そして十分に飲み食いをして、疲れも出てきた。
「俺、もうそろそろ…」
「ああ、準備してありますよ、こちらに」
「えっ?」
なんとその公園には、自分がS区に作ったものより一回り大きく、材質も立派な段ボールハウスができていたのだ?
「な、なんだいこれ」
「今日から、ここで寝泊りしてください。Aさんの私物も別のスタッフがここに運んでおきました!」

「いや、困るよ!!俺はあそこにずっと住んでたんだから、いろいろと動けるし、ホームレスにも縄張りとか仁義とかあるんで、ハイ今日から引っ越しますとはいえないんだよ!!」
抗議するAさんの手に、すっと折りたたんだ紙が渡された。1000円札だ!!
「お、おいこれは?」
「いろいろそういうのが大変でしょうから、1日の雑費です。少なくて申し訳ないですが…これでお弁当なりパンなりどうぞ」
「いいのかい?これもボランティアのやつ?」
「ええ、そうです。あ、この公園の先客のホームレスの方には、”皆さん”の移住を了承してもらうための『協力金』も少しお渡ししています。了承いただいてますよ」
「そういうわけよ、よろしくな兄ちゃん」
ずっとここに住んでいたらしい別のホームレスが、計2000円の紙幣をひらひらさせて笑った。


「そしてここで、今後も週一回ほど、こっそりゲリラ炊き出ししますから。次は、缶のハイボールとかをお付けしますよ」
ここにAさんを連れてきたジャンパーの男が、そんな魅力的なことを言ってきた。
「ただし、ここにお住まいの方だけですけどね。ここからまた動いたら、Aさんにはお出しできませんよ」
「あ、ああわかったよ。しかし金あるねえ。それも正直、おれとかに現ナマ配るなんてやり方、ふつうの団体はしねえぜ。あんたら、どういうところなんだい?何が目的なんだい??」

「ふふふ、ただのしがないボランティアですよ。たんに困ってる人を見過ごせないだけです…」



すべての作業を終えた夜明け、地味なジャンパーから地味な背広に着替えた男は、裏口からS区の市役所に入り、こちらもこっそり登庁していたS区の区長と、区長室で対面した。
「秘密特命課、オペレーション完了しました。!!S区に常駐していたホームレスXXX人、ほぼすべての拠点を引き払い、隣接M区に住居を移転しています。今後数ヶ月、引き続きその公園でのゲリラ炊き出しと、小遣いの支給を行うことになりますが、そこに定着することはほぼ確実だと思われます」


「ご苦労様でした。身分についてはばれていませんね?」
「はい、もしメディアなどが注目したら、あくまで偽装団体のNPO法人であると主張する予定です」
「今後の予定は?」
「移転したそこを住所として、移動させた人たちに福祉が正式に手を差し伸べるよう、M区に各種の手続きを行う予定です。それは別のスタッフが『運動家』をよそおい、彼らを応援する形で行います。断られたら、裁判なども起こす予定です」
「たいへんにご苦労様でした。それらの予算をすべて合わせても、わが区に段ボールハウスが立ち並び、医療や福祉などの面倒を見るより安上がりになる。引き続きよろしく頼みます」
「ハッ」
男は以前の慣習だったか、無意識に挙手の敬礼を行い、そのまま再び夜明けの街へ消えていった。

(完)

とまぁ、これはあくまでも、一種のシミュレーション小説である。
ただし、どこで読んだ話だったか、これも事実なのか創作なのか分からないが、これに似た話というのは聞いたのである。たぶんそれは「州」という言葉が出てきたので、アメリカの話だったと思う。その時は、たしかイデオロギー絡みの闘争だったと思う。急進的な市民団体(右か左かわすれたが)が、その州の知事だったか市長だったかを目の敵にしていて、で、かっこいいことを言ったそのリーダーに「じゃあ有言実行してもおうよ」と、意図的にホームレスをそこに住まわせた、みたいな話だったような(笑)。

ほかの人々ならともかく、「ホームレス」のかたがたは人口移動はしやすいから、こういうこともありえるのだろうけど。また、州相互での面倒の押し付け合いはけっこうなアメリカの特徴ではある。


さすがに行政組織が自ら「さぁさぁ、隣の区に行ってください」などとやるのはたぶん禁じ手だろうし、明るみに出たら批判は必至だろうからさすがにやらないとは思うけど、公園や通路のアーキテクチャをあれしたりこれしたりして、宿泊、野宿のしやすさを下げて「どうか宿泊はよそでどうぞ」とやる取り組みはやっぱり増えているみたいだね。

ホームレスを排除するための“排除アート”がファンシーに進化 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/768045
 
公園のベンチが人を排除する? 不便に進化するホームレス排除の仕掛け http://brianandco.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-4ddf.html

…そういえば、ある”篤志家”が、貧しい人のためにこういう感じの炊き出し会場だったか福祉施設を設置したが、それはそこの地価を下げて、住民を追い出すためのもので、そこの土地を安く買収したら、すぐに施設を閉鎖した、という一口話を読んだこともあった。

「うちの区の公園に集まるのは、意図的な政治運動だ!」と自治体のトップがこの前、記者会見で語ってたっていう話があったな

http://www.bengo4.com/topics/2853/
そうしたホームレスを排除するような対応は「思いやり、人権の尊重に矛盾しないのか」と問われると、桑原区長は「(年末年始の炊き出しなどは)政治運動だ」と切り捨てた。

また、「区長がいう多様性に、ホームレスの人たちは含まれないのか?」という質問に対して、桑原区長は「私どもの職員に聞いてもらえれば分かる。路上生活者については、自分たちが責任を持って保護し、適切に指導をしている」と回答した。

さらに、「あそこ(宮下公園)にはそういう(ホームレスの)人はいない。専門的にどこかから来る。そういう人たちが組織を持って、あそこにいらっしゃるのであって、これは、何かの政治運動に寄与するためにやっているのではないか。我々がやるのは、苦しんでいる人、助けを求める人、そのことについてはやぶさかではない。そうでない人にまで、わけのわからない主義主張のために譲歩することはない」と話した。

湯浅誠さん(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長)に聞く(上)   
http://www.jrcl.net/frame090101c.html
――宮下公園にホームレスの人がテント張って生活していますが、そうした人たちの支援をやっていたのですか。

 宮下公園にテントが張られるようになったのは九八年から九九年です。あれは運動が意図的にやった側面があります。ブルーシートとか単管とか機材を持っていきみんなで建てたんです。その前に、九八年まではほとんどテントってなかったんです。ポツンポツンと建っていると行政につぶされてしまう。われわれは関わっていないのですが、代々木公園のところにあっという間に二十軒くらい建ってしまった。そうすると行政も排除できなかった。建てられるとなってワーと増えていった。

こういうことが地域間の紛争に発展しないためには、さらに上の機関が、一律でどこへ行っても差の無い保護制度を定めればいいのかもしれないけど…なかなか難しいか。


追記 ブクマから情報

id:ROYGB 役所の窓口で交通費を渡されるという話は前にあったような。 あった。

『切符代渡して「名古屋に行きゃあ」 周辺自治体がホームレス「たらい回し」 J-CASTニュース』 http://www.j-cast.com/2008/12/10031835.html

32人のうち4人は、「地元市町村から交通費を支給された上で、名古屋市に行くように案内された」のだという。つまり、一部の自治体は「自分のところでは対応できないので、名古屋に行け」という対応を行っているということだ。受け入れ施設の運営費は名古屋市と国が折半する形でまかなわれているため、名古屋市の納税者からは「不公平だ」という声も上がりそうだ。

名古屋市の保護課では、このような状況に対して、「従来から県に改善の要望をしている」と話す。
(略)
愛知県の地域福祉課では、
「(名古屋市からの要望は)過去にも何回かあった。(名古屋市周辺の)自治体には、ホームレスの方がお見えになった窓口で対応してほしい、ということでお願いしている。『名古屋に行きゃあ(行け)』はルール違反…(後略)。

id:REV いつもの 
http://d.hatena.ne.jp/REV/20090730/p3

我が国でも、福祉の運用実態は自治体によって結構差がある、らしい。革新派首長の自治体は甘く、そうでないところは辛いらしい。で、保守系自治体でホームレスだの行き倒れだのが見つかると、「○○区に行けばよくしてくれるよ」とか言い含めて送り込んだり、そういう区の病院に送ったりするらしい(※もちろん、ソースは無い)

そこから経由

http://blogs.yahoo.co.jp/doctormartin1964/30084628.html
ニューヨーク市当局がホームレスを減らすため
国外を含む他都市への「移住」を決めたホームレスに対し
目的地までの片道航空券などを無料で支給していたことが分かった。

目的地に住む親類らがホームレス受け入れに同意することが条件で
これさえ満たせば世界のどこであろうと片道の航空券や列車乗車券などを給付する。
2007年以降、550家族以上がこの制度を利用した。

ひさきっち @hisakichee
https://twitter.com/hisakichee/status/595884951549059072
大阪市内で何で19〜20人に1人が生活保護制度を利用しているのか?よく考えて欲しい。大阪市民がサボりやからとかアマエてるって事でなく、周辺の市町村だけでなく県からも頼ってくるからやろ。。。或る意味、260万都市の懐の深さやんか。其れだけビンボー人が暮らしやすいんよね

コメント欄よりの情報

guestroom 2015/05/16 14:14
大阪市 生活保護行政に関するよくある質問より
http://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000091680.html#6

ほかの自治体に送り込むというという手法は、相当前から当たり前の問題?攻防?になってて、ローカル記事などにも取り上げりとか。。。
ホームレス関する様々な調査分析は、公共やnpoなどが対策検討のためにも行っている訳で、そのうち実態調査には出身地別なんかもありますよ(webでは見つけられませんでしたが)

 ↓

Q6 他都市から大阪市に入ってきて生活保護を申請する人が多いって聞くけど、本当なの?
A6
・調査の結果、大阪市生活保護を申請した方の約1割が、6ヶ月以内に、他都市から大阪市に来られていました。
・安定した住まいがない方の場合、要保護状態になった場所を管轄する自治体で対応することが原則(現在地保護)ですが、一部には、他の自治体が大阪市までの片道キップを渡しているとの話があり、このようなことが事実であれば、決して許すことはできません。そうした事案が発生すれば、即座にその自治体に抗議を行うとともに、当該自治体を監督する都道府県に報告し、実施責任の所在を明らかにしています。
・こうしたことが起こらないよう、大阪市では、現在地保護に基づいた自治体対応の徹底と、少なくとも、住居のない方にかかる生活保護費は全額国が負担するように求めています

2021年追記

スイスが、国家規模で、他の国ではできねーようなことを平然とやってのけるっ
karapaia.com