INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

私の提言、渋谷区で実現…同性カップルに「結婚に相当」と証明書を発行。そこから生まれる課題や論点は?

渋谷区、同性パートナーに証明書 全国初の条例案提出へ - 47NEWS(よんななニュース) http://www.47news.jp/CN/201502/CN2015021101001379.html

同性カップルを「結婚に相当する関係」と認め、証明書を発行する条例案を3月区議会に提出することを決めた。区によると、自治体が同性同士をパートナーとして証明する制度は全国で例がない…(略)

 少々自慢させてもらいますか。
 自分は2012年「区など自治体が、何の権限もない『ごっこ』でいいから同性婚を”名目上”認めたら?」という話を提言していたのだ。
3年後、ようやく追いついたね(笑)

同性婚(結婚)制試論…愛と家族と「私」と、法と制度と「公」。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120512/p4

ちなみに、上の記事で「世田谷区の保坂展人区長よ、やってみろ」と書いてたのは、当選以来「世田谷解放区と、そこに武力介入するイシハラドクトリン」とか、そういうネタが盛り上がっていたからで(笑)、実のところ彼の人はそんなに深い思想があるとも、実務的な有能性があるとも思っていないので、できないのはしゃーない。
渋谷区の区長さんのほうがより深い、「真のリベラル」あるいは「思いやり深き保守主義」だったってことだろう。
もちろんテキトーに言ってる(笑)。
渋谷区の区長なんて顔もわからんし、政策…というか渋谷区自体が「ハチ公のあるところ」というイメージしかない(あとはうなぎ屋、焼き鳥屋、くじら屋)。

世田谷区の話としては、上のリンクでも引用した区議さんが「検討中」「あとに続く」
https://twitter.com/KamikawaAya
https://twitter.com/KamikawaAya/status/565638623840985090
https://twitter.com/KamikawaAya/status/565839630109392897
とかかいてるけど…願望もコミっぽい。はっきり世田谷区長、渋谷区長に「遅れをとった」ね(笑)

あっ、後で思い出したけど、俺はLGBT問題に関心の深い世田谷区議に2013年、この上無く、はっきり伝えているよ!!!

自治体単独で(実際は無効力でも)同性婚を認める公文書は出せないか?」への世田谷区議・上川氏の意見 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/541239 @togetter_jpさんから

これだけ具体的に提言した上で世田谷区はやらず、渋谷区はやったのだから、これは議員や首長の差と判定せざるを得ないかも、だ。
ふふふ、これだけ時代を先取りしていたという証拠があるのだから、おいらのドヤ顔を抑えられる人はいないぞ(笑)

んで


究極的に、結婚とは「法的権利の組み合わせ+理念、感覚、気分、見なし」のキメラだよね

自分が、自治体レベルで「結婚(の認可)ごっこ」をすればいい、というのは、上の小見出しを逆の方向から証明する作業であるから、です。けっこうアナーキーな話なんですよ(笑)。


渋谷区の今回の事業は

同性カップルがアパート入居や病院での面会を家族でないとして断られるケースが問題になっていることを踏まえ、区は区民や事業者に、証明書を持つ同性カップルを夫婦と同等に扱うよう協力を求める方針だ。

というのもセットになっているから、実益的なものにも踏み込んでいる。
ただ、そもそも結婚とは公、国家、権力的には何かといえば

 ●配偶者相続権(一)●税制・社会保障における優遇(二)●病気療養時などにおける権利・利益(三)●夫婦財産制(四)●パートナーシップ解消時の法的保護(五)●不法行為や犯罪による死亡時の損害賠償請求権など(六)●刑事法上の権利・利益(七)●性同一性障害特例法の非婚要件(八)●外国人パートナーの在留資格帰化(九)●子を育てる権利(十)●その他家族法上の権利義務(十一)●住宅の確保(一)●勤務先からの手当支給,休暇取得など(二)●生命保険金の受取人指定など(三)●銀行取引など(四)●その他身近なサービス(五)

というものの体系である。
それは渋谷区的な「証明」ていどでは突破できないので、結局のところ国家的な法整備が必要となる。自分は、どんどんそれを進めるべしという意見だ。


ただ、逆にいえば、これらの諸権利を認めることと、それが「結婚」であるかどうかは、不可分ということではない、ということなのだ。
それが既にフランスにあるようなシビルユニオン、市民連帯とかいう制度ですね。

そもそも、この問題は宗教的見解もからむし、言葉の定義的に「結婚」になるのか、という論点もある。こちら参照

■日本の辞書における「結婚」の定義・・・いつ、どの辞書が「男女」の限定をはずすんだろうね。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121102/p2
三省堂辞書の「結婚」項目は、既に同性婚を視野に入れた語釈をしている。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140504/p2

従来の男女間の「結婚」だって、結局こういう法的権限の話なのか、それを超えた宗教的、道徳的な何かのアレなのか、それは「内縁関係」というものを考えれば分かるだろう。


何度も繰り返すが、最初のリンク記事でも紹介しているように、インドネシアでは「結婚? ウラマーイスラム教導師)の前でとっくにやったわよ。国に登録が必要?なにそれ意味わかんない」という人もたっくさんいる。キリスト教だって、「国の制度とは別にして」離婚なんて認めない、とか同性婚は認めないとか…結婚はそもそも「国が認める」「法が認める」ことが必要なのか、もっと別の権威や由来によって成立する何者かではないのか?という話も張り付いているのだ。



てなわけで、渋谷区のこの証明書が「法的には結婚関係を結べないが、当人が結婚に準ずる関係を希望してる人」には、すべて与えてしかるべきだろうし、というかそうじゃないと「平等」じゃないですよね。


あたしは何度も描いてるが、ぶっちゃけ同性婚の問題は、論理的に突き詰めれば近親婚の問題と相似形だ。ほかにも「1人が、複数の異性を同時に愛する。その複数の異性と、同じようにパートナーシップを結びたい(※イスラム教の伝統的な教えでは全く合法です)」というのもしかりです。
一番分かりやすく、総合的なまとめにしてるのは
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140628/p3
だけれども、関連では
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120503/p5
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080410#p3
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110730/p7
http://cgi2.nhk.or.jp/navi/detail/index.cgi?id=12s12120120531
などがあります。

もっと言うと、一番多いパターンってむしろ「離婚訴訟が不調で、以前の婚姻関係を解消できていないが、既にその人は別の異性とパートナーシップを結んでいる」という例…つまり”殉あい”、ですね。いや違う。


まだ条例案も提出されていないのに、またそれ自体は確かに有益な一歩であるというのに、こういう「百歩先(あるいは斜め上)」のことを書くのは恐縮だが、一種の「SF的想像力」としてご寛恕いただきたい…というか許されなくても想像するのだが(笑)、


こういう人たち(近親カップル、1対多のカップル、片方または両方離婚係争)が渋谷区役所に行って「我々にも同じように『結婚に相当する関係』であると証明する書類を出せ!それが平等だ」と要求した場合、さてどうなるか。


このへんの話はちょいと何度も繰り返し(最近多いなあ)なのだが、実例のほうがこっちのテリトリーにやってきたのである。なもので、またも再論したのでした。