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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

フランスの政教分離を具体化した「ライシテ憲章」とは?その日本語訳。これが「シャルリー事件」の犯人の人生を変えた…(uni氏のtwitterとnote)

まず、この一連のツイートをお読みください。
本当だったらこの分量とクオリティだったら、まよわずtogetterにするところなんだが、ツイート数の関係で、1月16日まで遡ることができなかった。

■フランスでのテロ事件、犯人の生い立ちが哀しい

https://twitter.com/echinodermes/status/558942666298499072

uni (ジャスミン男) ‏@echinodermes 1月16日
テロリスト兄弟の生い立ちが想像以上だった…。父親不明、五人の子供をかかえた母親は手当などを申請せず売春婦となり、六人目の子供を妊娠したまま自殺。まだ10-12歳ぐらいだった兄弟は学校から帰って自殺した母親の死体を見てます。
 
貧民ゲットーの子供たちを映画やディズニーランドに連れてく福祉関係者として、テロリスト兄弟の子供時代を知っている女性が語る彼らの生い立ち元記事
http://www.reporterre.net/L-enfance-miserable-des-freres
 
この女性はクアシ兄弟が普通にディズニーランドで喜ぶ子供達だったことを語ると同時に「私が間違っていた。子だもたちをディズニーランドなんかに連れてくお金であの母親を助けてあげるべきだった。そうすればこんなことには」と悔やんでいます。
 
この女性はクアシ兄弟の住んでいた地区そのものが暴力に席巻されていたと言っています。親にアイロンで三度の火傷を負わされて逃げ込んでくる子、父親がアル中で子供達が学校から帰って来る前に鍵をしめて寝てしまい階段のしたで寝なければいけない子供達…
 
uni (ジャスミン男) ‏@echinodermes 1月16日
彼女が言うには90年代初めにはまだイスラム原理主義的な思想はそれほどでもなかったのに、徐々にそれがこの貧困地区で増え始めヴェールをかぶった女性も増えてきたとのこと。
 
クリスチャンの彼女は、やはり社会から疎外されて貧困のうちに見捨てられいるのが、彼らが非行やイスラム原理主義に走る原因だと見ています。
 
なお、別記事によると兄弟の一人サイードの方は二年間パリ市の「ゴミ分別大使」としてゴミの分別を説明して回る仕事で雇われていたそうですが、お祈り用の絨毯を持ち込み仕事中もお祈りの時間になると仕事を中断したり女性とは握手を拒否したりと

http://m.leparisien.fr/faits-divers/attentat-a-charlie-hebdo-said-kouachi-a-ete-employe-deux-ans-a-la-mairie-de-paris-10-01-2015-4434879.php
   
主には宗教が原因の「問題行動」が多かったので、「ライシテ(宗教を持ち込まないこと)憲章」を職場に貼って研修したりしたそうですけど改まらずついに解雇。

さて、上の最後のツイートから話が続きます。小生のリプ。

gryphonjapan ‏@gryphonjapan 1月18日
へー、フランスに厳格なライシテがあることは以前から知ってたけど、それを文章にした「ライシテ憲章」ちゅうのもあるのか。日本語訳ないかな、読んでみたい。 
 ↓
uni (ジャスミン男)‏@echinodermes
全訳しときましたのでどうぞ。

フランスにおけるライシテとは何か?学校におけるライシテ(laïcité)憲章|uni (ジャスミン男)|note(ノート) https://note.mu/echinodermes/n/nbdb9b511cf07

うわっ!すごい!!!
自分はあのツイート書いたあと、探してみたけど見つからなかったんだよ!!!

第1条
フランスは、一にして不可分であり、そして、ライックで民主主義的で社会的な共和国です。共和国は、全領土の全ての市民に対し、法の下に平等を保証し、あらゆる信仰を尊重します。

第2条
ライックな共和国は政教分離をうちたてて…(略)


また、運用としては

フランスの幼稚園・小学校・コレージュ・リセなどの教育現場では、教育法により、共和国のシンボルである
    フランス三色旗
    自由・平等・博愛の標語
    1978年8月26日の人権および市民権宣言
に加え、このライシテ憲章のポスターを「よく見えるところに」に貼っておくように義務づけられ、指導されています。新学期の親への説明会の時も親に対してライシテ憲章を紹介・説明するようにとのことです。

(※↑上のライシテ憲章日本語訳、閲覧、読むだけは無料、引用は有料とのこと。自分は支払い済み)

のだという。
西尾幹二氏は、1980年代後半からこのフランスの政教分離を紹介し―実は「学校へのムスリムのスカーフ着用問題」に、ミッテラン夫人なども絡んで大問題になったのがこの頃― 、で、隣国ドイツがいまだにカソリック教会の十分の一税が徴収されていたり、学校に「宗教の時間」があることと対比して、フランスの状況を「自由を求めて不自由になる例」と語っていたのだった。

そのころから、フランスの人工的ともいえる政教分離、については興味があったのだけど、こういう基本理念が明確に文章化され、その下に運用されているとは知らなかったのでした。



このuni (ジャスミン男)さん
https://twitter.com/echinodermes

のツイートはフランス滞在経験がながく、観察眼も秀逸。
私は最近フォローして読みはじめたばかりなのだが、
マルセイユ北アフリカのほう)名物ごみ収集スト」や「息子が通うフランスの学校ではどうシャルリー事件を教えられているか」などの秀逸な連続ツイートは、極めて水準の高い物だった。どこかの雑誌やサイトが、正式にフランスルポを依頼すればいいのに、と思った次第です。

こんな視点は、「自由のために戦うフランス」を別角度から見ればこうなるよな、という、1ツイートにして見事に同国の社会を切り取ったものでした。

uni (ジャスミン男) ‏@echinodermes
https://twitter.com/echinodermes/status/557282660763324416
あーちなみに、イスラムに限らず「よそでは女性の人権が抑圧されてる」って話は大方のフランス人好きなので、日本人だと言うと、「日本の男女差別はひどいんだろ? 君、フランスに来られてうれしいだろ?」ってワクテカしてくるフランス人時々います。とくにアジア女好きの男。


「学校のライシテ」については、
https://twitter.com/echinodermes/status/558569100310749184
からが綺麗に連続ツイートになっていて読みやすいかも。



いくつかはtogetterまとめをしたいぐらいでした。今後させてもらうかも。

とりあえず今回は、フランスの事件を論じるのにどう考えても必読と言える「ライシテ憲章」の日本語訳の存在を紹介。