図書館に返す前にメモシリーズ、その2
内容(「BOOK」データベースより)
- 作者: 赤木かん子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/05/07
- メディア: 新書
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誰でもタイトルは知っているけれど、ちゃんと読んでいなかったあの名作も。現代的なテーマで今こそ読みたい、図書館に埋もれたあの作品も。物語の世界にひたれて、どんどん読めて、読後感がいい―そんな児童文学の選りすぐりの百冊を紹介します。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
赤木/かん子
児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1981年、法政大学英文学科卒業。1984年に、子どもの頃に読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介・書評などで活躍している。図書館の改善運動にも積極的で、近年は特に小中学校の図書館の活性化に努めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
写そうかと思ったが、それはたいへんなので、さらに要点をメモする形で
コウノトリと六人の子どもたち
- 作者: マインダート・ディヤング,モーリス・センダック,遠藤寿子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1967/11/20
- メディア: 単行本
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・オランダが舞台です。この村の学校には子ども6人
・幸運の印であるコウノトリを、村に呼ぼうと子どもたちが思いつく。そのため、昔コウノトリを見たというおばあさんに話を聞いたり、屋根に工夫をしたり…
・そうやって子どもが動くことにより、脚を無くして自暴自棄になった元漁師や、ひ弱であることで漁師村でバカにされていたインテリなど、孤立していた人々が、村の中で新しい関係や役割を得ていく…
魔女ジェニファとわたし
・周りの大人たちに不満だらけ、でも何もいえない「いい子」のエリザベス。
- 作者: E.L.カニグズバーグ,E.L. Konigsburg,松永ふみ子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/05/18
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・そんな彼女がかっこいいと思うのは、いつも一人ながら泰然といているジェニファ(黒人)。
・彼女は自称「魔女」。エリザベスに「課題をこなせば貴方も魔女見習いにしてあげる…」
(評者赤木氏は語る。「あとがきには浮いているジェニファを健全なエリザベスがまともにした、と書いてあるけど逆! 自分を縛っていたエリザベスを賢いジェニファが解放してあげたんですよ」)
バレエダンサー
- 作者: ルーマゴッデン,Rumer Godden,渡辺南都子
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 1997/07/01
- メディア: 単行本
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・一流のバレリーナを目指し挫折した女性は、一人娘をバレリーナにしようと奮闘する。厳しくバレエを仕込み、夫も、その子の弟も目に入らない。
- 作者: ルーマゴッデン,Rumer Godden,渡辺南都子
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 1997/07/01
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・ところがその弟、男の子こそバレエの天才だった。
・だが自分の代償行為としてのバレエだった女性は、娘でなく弟が天才バレリーナであることを受け入れない。娘自身は頭がいいので、そのことに気付いたのだが…
・母親に無視された弟だが、彼の才能を認めた街のバレエ教室で…
マツの木の王子
・森の「松の木の王子」はシラカバの娘と身分違いの恋に落ちる。
- 作者: キャロル=ジェイムズ,セビン=ウネル,猪熊葉子
- 出版社/メーカー: フェリシモ
- 発売日: 1999/12
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・彼らは「駆け落ち」する。といっても木は動けない。で、一緒にきこりに切られて町へ出る。同じ木工所で、王子(マツ)は木馬に、娘(シラカバ)はシカの模型になる。
・ずっと同じところにいられれば幸福だったが、哀れ二人はメリーゴーランドの木馬として変われる。一緒にいられるといえばいられるのだが、二つは正反対の側に設置された(笑)。来る日も来る日も、相手をちらっと見ることしか出来ず…
・それでも長い年月、その愛はさめることはなかった。そして…
(※私が要約すると、なんかギャグみたいだね(笑))
光草
・中近東のある領主の息子は「光アレルギー」で外へ出られない。
- 作者: ロベルトピウミーニ,堀川理万子,Roberto Piumini,長野徹
- 出版社/メーカー: 小峰書店
- 発売日: 1998/10/01
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・その息子のために、領主は画家を雇い「息子のためにいろいろな絵を描いてくれ」。
・しかしその画家はただの絵を描かなかった。極めて利発なこの子とともに、「物語」を描こうとする。
・二人は一心腐乱にこの作業に没頭し、一部屋だけでなく次の部屋、また次の部屋へと物語は広がっていく…
(赤木氏評「人間にとって物語とはどういう存在なのか…一度読んだら忘れられない独特な余韻)
パティの宇宙日記
・ある星に地球から移住することになった宇宙移民。
- 作者: ジル・ペイトン・ウォルシュ,小野かおる,岡本浜江
- 出版社/メーカー: 文研出版
- 発売日: 1991/09/01
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・荷物制限のため、本は一人一冊のみだった。みな厳選して本を選んだ
・しかし、パティという子の「本」は真っ白なノート。その時、人々は笑った。
・だが移住後、人々はその本を貸し借りしていくが…移民たちにすべての本は読みつくされ、飽き飽きするようになった。
・しかし集会場で、パティはそのノートを開く。そこに移民の記録が書かれることで、誰も読んだことのない「自分たちの歴史」が始まる…
(赤木氏によると作者ウォルシュは「人はなぜ物語るのか」というテーマが得意らしく
「死の鐘はもう鳴らない」という本も、それを描いた傑作とのこと。)

- 作者: ジル・ペイトン・ウォルシュ,喜多迅鷹,岡本浜江
- 出版社/メーカー: 国土社
- 発売日: 1985/01
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ぬすまれた宝物
・ガチョウのガーウェインは、尊敬する王様のために宝物蔵の番人を引き受け、鍵の管理をしている。まじめに勤務をしていた。
- 作者: ウィリアム・スタイグ,金子メロン
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 1977/12
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・それなのに!宝がいくつも消えていく。ガーシェインは逮捕され、裁判になる。
・彼は身に覚えが無く、無罪を確信していた。だが、有罪宣告を受け、後ろを振り向くと、今まで自分の友達だと思っていた仲間がすべて顔をそむけ…
・ガーウェインは絶望し逃走する。その一方で真犯人も、ここまで大事になると思わなかったのでびっくりして…
ねずみ女房
・あるお屋敷にねずみの夫婦がいた。妻はいつしか「こことは別の世界があるらしい」と思うようになるのだが、だんなねずみは「チーズさえあれば幸せなんだ」と、その妻の好奇心を抑圧する。
- 作者: ルーマー・ゴッデン,ウィリアム・ペン・デュボア,石井桃子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1977/03/20
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・そんな折に、家には野生の鳥が飼われるようになった。ねずみ奥さんはその鳥から「外の世界」の話を知る。
・ねずみ奥さんは、「自分はここに一生いて、話を聞くだけで幸せだけど、この鳥にとっては檻の中は不幸なのだ」と気付く。
・彼女は、自分の危険を顧みず、その檻をかじって鳥を助けようとするが…
(なんだこの不倫ラブストーリー…と思いきや、赤木氏「これを不倫物語なんて、程度が低い!わかっちゃいないよ!!」と(笑))
白銀の夜をこえて
・冬の大陸横断鉄道にひとりで乗りこむ少年ポール。
- 作者: S.フレミング,金森達,百々佑利子
- 出版社/メーカー: あかね書房
- 発売日: 1980/11/30
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・お母さんを亡くしたこの少年は遠くの親戚が引き取ることになったのだった。見捨てられたという思いや不安からふてくされるポール。
・ところがこの列車、大雪のためロッキー山脈で立ち往生。明かりは消え、暖房もなくなり、食べ物もなく…
・そんな中、たまたまポールは持っていた脱脂粉乳で赤ちゃんを救えた。それをきっかけに、守られる側から守る側に。少年が危機に際し、一人の男になっていく…
(何か、いろんな作品に影響を与えたっぽいね)
ニュー・モンゴメリ・ブックス
赤木氏の感想から書いてみよう。
- 作者: L.M.モンゴメリ,Lucy Maud Montgomery,赤松佳子
- 出版社/メーカー: 篠崎書林
- 発売日: 1988/12/01
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・自分はアン・シャーリーってあんまり好きではない。バランスに欠けてる気がする
・なので、アンが出てこない、短編集「アンの友達」がむしろ好きだ。
自分が意固地で若い頃恋人を失った「ロイド老淑女」
バイオリンの天才なのに、牧師のおじいさんにそれを禁止された少年「めいめい自分のことばで」
有名歌手が、ひと夏かわいがってもらった人に会いに行く「小さなジョスリン」
男嫌いの女が女嫌いの男性とひょんなことで暮らす「隔離された家」ーーー
わんぱく天使
ブラジルの作家の自伝的作品。
- 作者: J.M.デ・ヴァスコンセロス,岡本浜江
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1974/12/10
- メディア: 文庫
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・七歳ながら、あまりに彼は頭がよく感受性も豊かでありすぎた。
・家の家族は愛情豊かだが貧乏。それより何より、そんな子の「感受性」を理解できない。
・そんな子はある日、ポルトガルから来たお金もちの教養豊かな人と知り合う
(赤木氏評「知的好奇心は食べものと同じで、必要分量はこどもごとに違うのです。彼は知的に飢え、やせて、絶望している子だったのです。知識に飢えている子には、本や知的な出会いが必要なのです」)
イーカロスのつばさ
・赤木氏評「発明家ダイダロスの息子イカロスが、太陽に近づきすぎて翼が溶け、海に落ちてしまったという話は誰でも知っていると思います。
- 作者: ハンス・バウマン,山村昌明,関楠生
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/09
- メディア: 単行本
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・ではなぜイカロスはそんなことをしたのか?と考えたことはありませんか? 近づきすぎたら蝋が溶けるぞ、とお父さんに言われていたのに…(略)その謎への、痛ましい答えです」
橋の下のこどもたち
・アルマンじいさんはパリの橋の下にすむ”自由人”。
- 作者: ナタリー・サベッジカールソン,ガースウィリアムズ,Natalie Savage Carlson,Garth Williams,なかがわちひろ
- 出版社/メーカー: フェリシモ出版
- 発売日: 2002/05
- メディア: 単行本
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・ところがある日、「自分の場所」である橋の下にいくと、知らない3人の子が…
・以前の家を追い出されたこの子たちは、当局の福祉に頼るとばらばらに収容されることが嫌で逃げ出した。
・困った爺さんがだが、なにやらそんな縁で孤軍奮闘することに。しかも季節はまもなくクリスマス。「クリスマスにはおうちがほしい。サンタさんに頼んで」と言われたじいさんは…
(とつぜん子どもの面倒をみることになったXXXX、という作劇はよくあるね。)
なるほどクリスマス降誕劇
・とある教会は毎年クリスマスに、キリストが生まれる降誕劇をやっていた。だけどもはやマンネリで、みんな飽き飽きしていた。
- 作者: バーバラ・ロビンソン,たかはしえいこ
- 出版社/メーカー: すぐ書房
- 発売日: 1983/11
- メディア: ?
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・ところがこの年はクッキーに釣られ、近所で浮いていた一家が参加。しかもその長女が「わたしがマリア様をやる」と。弟の世話で、子どもについての経験が豊富だとか。
・ところが劇のストーリーを聞いたこの娘、「えっ?生まれたばかりの子を馬小屋に?」「民生委員は何をしていたの?」とつっこみまくり。
・かくして聖なる神の子の誕生劇が、「周囲の無理解と冷酷さに負けず、若夫婦が必死になってはじめての子を産む物語」になっていく…
(がはははは。こういうの好きだ)
後半部には、誰もが知っている名作の再読、という章もあり、三銃士や若草物語、海底二万里なども紹介されている。
ピーターパンの話の紹介もあるのだが、実はあの海賊・フックは有名私立学校出身のインテリエリートで、訳あって海賊になったあとはむしろ「自暴自棄で危険に身をさらしていたことが勇敢だと誤解されて」海賊の頭首となったんだそうだ。
しかし、まわりの粗野な海賊とは話があわないのでフックは気がついたときには絶対的な孤独のなかにいる羽目になり、絶望している男なのです…
頭が悪いのでフックが何をいってもわからない、気立てのよいスミーにだけフックが本音と弱音を吐くところは、おもしろうてやがて哀しき…場面です
- 作者: J.M.バリー,F.D.ベッドフォード,James Matthew Barrie,F.D. Bedford,石井桃子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2003/06/20
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