きのう書いた
「宗派紛争」という名称の改名提案から、41歳の新鋭中東学者・池内恵氏が、既存のイスラム・中東学者を火のような勢いで批判中 -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140808/p3
は、単なるhttp://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-167.htmlの紹介記事だったのですが、こんなにブクマをいただくとは思わなかった。
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/gryphon/20140808/p3
これは自分もついつい、その話題には興味が惹かれる「新語の提案」だったゆえなのか、それともそこから発展した「既存の日本中東学」批判に興味を持つ人がいたのかはわかりません。
ただ…自分も上の記事UP後に気付いたのだが、既存の中東・イスラーム学者批判ということなら、もっと過激で、ダイレクトで、非常に読ませる、考えさせる文章がその前にUPされていたのですよ。
なぜはてなアンテナに同ブログを登録している俺が見落としたかといえば、彼のブログが有名学者のブログとしては特A級の更新頻度を誇っているからだ。寄稿や番組出演報告もあるとはいえ、そこにも何か感想などを書かれているしね。
というか、8月8日だけで3本、8月9日にも記事を一本更新してる(笑)。
そんな理由で危うく読み逃しかけたが、非常に重要な一文をあらためて紹介する。
日本の中東論のパラダイム転換(人間社会は進歩しない─ただ変わるだけだ) http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-146.html
以下、引用。
思い出せば、2001年の当時は、中東・イスラーム学会の大部分の人は、「イスラームは寛容だ、テロなんてない」と現実の認識を拒否し、「対テロ戦争」をやるブッシュ政権・アメリカの方に問題の原因があるのであり、アメリカに非がある……ところが今は、「アラブの春なんてない。デモは欧米の介入だ、実際に存在する反体制派はジハード主義のテロリストだ。テロリストの掃討をやっているアサド政権を批判するアメリカは間違っている。アメリカに非がある」という論理が中東研究者から盛んに出てくる。
…01年当時は、中堅以上の中東研究の人はたいてい左翼だった。年代的には、団塊の世代より下の、東大や外語大に入って極左の先生にオルグされて、他の大多数の学生たちは政治離れしている時代に、ある種のマイナー文化のサークルのようにして遅れてきた学生運動をやっているような人たちが、私の一回り上の先輩方だった。そういう人たちがなぜ中東研究を選んだかというと、欧米中心主義への対抗軸のよりどころとして「アラブ」や「イスラーム」に期待をかける、というのが表面上の論理…
(略)
ところが、2011年以降は、私と同じぐらいか、少し下の世代の中東研究の人たちが出てきた。その世代はかなりネトウヨ的な性格を帯びた人たちが多くなっている。こちらは反米右翼的な立場から、アラブ世界によりどころを見出そうとする。そこではアメリカから発せられる民主主義とか自由主義の説教には虫唾が走る、といった感情的な反発が見られる。
外見上は、「反米」というところで私の上の世代と下の世代は一致している。両方とも結論としては「テロとの戦いの破綻」といった言辞を掲げるので、私の上の世代も下の世代も『世界』『朝日新聞』の覚えがめでたい。私の方はというと、ほぼ出入り禁止になっている。
(略)
私の上の世代の中東研究者の主張は「イスラームはテロではない。だからアメリカの対テロ戦争は間違っている」という論理だった。ところが私の同世代の一部や下の世代になると「イスラームなんて言っている奴はテロリストだ。それを掃討してくださるアサド様の対テロ戦争は正しい。それを支援しないアメリカは間違っている」という論理になっている。
時代は変わりましたな
両方とも結論は「アメリカは間違っている」なんだけど、まったく違う話しているよね?『世界』『朝日新聞』の編集者さんたち、ここは気づいたうえで誌・紙面に載せているんだよね?もしかして気づいていない?そうだとするとリテラシーにかなり問題ありますが?
そして今、カリフの治めたもう「イスラーム国」に、あらたなる十字軍(?)たるアメリカが「限定空爆」を開始した。これへの反応、寄稿者などを見るとき、この記事はさらnに重要となるかもしれない。
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しかし、この前の記事の話を繰りかえすすけど、41歳っていったら、学界には上に大御所とか実力者とかがたくさんいるんじゃないかね。よくまあ、これだけ激しい物言いができたものだ。
既存勢力をこれだけずけずけ批判するといえば「黒髪のロベスピエール」と呼ばれたあの男とかしか連想できないぞ(笑)。それとも天龍革命のほうかな?