2014年2月4日「編集手帳」より引用、孫引き。
めしべとおしべだけでは受粉できない。風や虫が仲立ちをする。先日、87歳で亡くなった吉野弘さんに『生命は』という詩がある。
<生命はすべて
そのなかに欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ>
(中略)
<私も あるとき
誰かのための虻だったろう
あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない>
これを、何に関連して紹介しているかというと、ローザンヌ国際バレエで日本人の高校男子が優勝したことについて。
7歳でバレエを始めたきっかけは「好きな子がやっていたから」という。風は受粉を手伝おうと吹くのではない。・・・少女もたぶん、自分が大輪の花を咲かせる手伝いをしたとは気づいていないだろう。えにしの糸の不思議さよ。