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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

三省堂辞書が改訂され「チキン南蛮」も登場…さて辞書の「結婚」を「男女」とする記述は、どこが最初に改訂するか??

http://www.asahi.com/articles/SEB201311160014.html
 【伊藤あずさ】宮崎のご当地料理「チキン南蛮」が、来月に改訂される三省堂国語辞典に登場する。昭和に地域のレストランで賄い料理として生まれ、新語・現代語の収録で定評のある辞書から「全国区」のお墨付きを得る形だ。地元・宮崎県延岡市のチキン南蛮ファンから喜びの声が上がっている。

 ・――なんばん【チキン南蛮】(名)【料】(1)あげたとり肉にタルタルソースをかけたもの。(宮崎県延岡市の名物)(2)とり肉を使った南蛮づけ。

 12月発売の第7版、「ち」のページの「チキン」の項目の一つだ。

はっきり言ってまだ記述は不十分だね。
とりの「もも肉」か「むね肉」か、はっきり辞書に記述しやがれ!!!!
宮崎県内での、この詳しい論争…というか内戦については東村アキコ
ひまわりっ 健一レジェンド
に詳しい。
http://umanga.blog8.fc2.com/blog-entry-51.html

ひまわりっ ~健一レジェンド~(7) (モーニング KC)

ひまわりっ ~健一レジェンド~(7) (モーニング KC)

宮崎名物・チキン南蛮の林家秘伝レシピも大公開ですっ!!

いや、チキン南蛮の話はどうでもいいねん。しょうゆとかつければいいのに、タルタルソースなんかを使うクマソの末裔どもの話はほっておけ。


問題は、12月に三省堂の辞書が改訂されるということで・・・
もう、以前に議論の骨子は書いてたっけ。

■日本の辞書における「結婚」の定義・・・いつ、どの辞書が「男女」の限定をはずすんだろうね。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121102/p2

上のリンク先にありますが、調べた限りどこの辞書も数年前の版では「男女」となっていた。

今回改訂される
三省堂の国語辞典、そのままかどうかは分からないがネットでも見られる。

 http://www.sanseido.net/User/Dic/Index.aspx?TWords=%E7%B5%90%E5%A9%9A&st=0&DORDER=&DailyJJ=checkbox&DailyEJ=checkbox&DailyJE=checkbox

けっこん [結婚]〈スル〉 夫婦になること.婚姻.

「夫婦になること」ね…「男女」よりは広いのかもしれないが「夫」と「婦」じゃ、やっぱり同性婚まで語釈に含まれているかというとアウトだろう。


なんでこれが気になるかというと、再掲載するけど、最初に同性婚の法的有効性を争い、そして却下された裁判では、逆に「辞書にこう書いてあるから」が理由だったんですよ(笑)。

https://www.dropbox.com/s/smt6kosxwfs3xc0/SHIMIZU_LegalConstruction.pdf
アメリカにおいて提起された世界初の同性婚訴訟として有名なBaker v. Nelson148において,ミネソタ州最高裁判所は,ウェブスター辞書の結婚の定義を引用しつつ149,「男性と女性の結合としての婚姻制度は,唯一家庭内での生殖および子の養育をともなうものであり,それは,創世記同様,長い歴史を有するものである」などとし,婚姻とはその定義上男女の結合であること,ほぼそれのみを理由として,原告の請求を退けている


いや、笑ってはいけない。
同性婚を制度として認めない議論として、「つまり『結婚』というのはそういうもの(男女間の制度)である。仮に同性パートナーに同じ様な権利を得られるにしても、それは例えば『連帯市民』とか、別のなにかだろう」というのがあって、これはたしかに論理としてはかなり強靭なものだと思う。
上のリンクでも自分は「お汁粉」と「雑煮」のたとえで書いているね。


しかし、今は実際にかなりの国、州で同性婚が制度上認められてる以上、純粋に中立的な語釈としても「結婚とは、男女が夫婦になること」というのは正しい語釈ではすでに無くなったと思われる。
んで、最初に辞書として「結婚」の定義から「男女」をはずしたら、「リベラルなことをした」という名誉を得られるだろう。そうすると日本リベラルの総本山、日の本根本道場(延暦寺かよ)たる岩波書店の「広辞苑」ぐらいがその皮切りになるのには、一番おさまりがいいかと思うのだが、まあこりゃ改訂のタイミングですから仕方ありませんな。

おそらく、7、8割の確立で、今度の改定版三省堂国語辞典の「結婚」の項目は、…おそらく日本の辞書史上はじめて(※じゃ無かったらすいません)、同性婚にも目配りされた記述になるでしょう。…ならないかな??

まあ、そこに注目してください、と。
上の「チキン南蛮」記事みたいに、すでにこの改訂版辞書の記述を先行してチェックできるところもあるのかな??先行して見られる人がいたら、どうなってるか教えてください。

最近、こういう新書が出て話題になりましたね。

辞書の仕事 (岩波新書)

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いま、辞書に注がれる視線が熱い。数多あることばから何を項目として選び、有限のことばでどう説明するのか。地道な作業ながら、考えようによってはドラマチック。でも実際、どんなドラマがあるのか、ないのか? 辞書づくりにかかわるあれこれのエピソードを、『広辞苑』『岩波国語辞典』などその道30年の元編集者が楽しく語る。

そしてあの映画。

舟を編む 通常版 [Blu-ray]

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