INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「小泉劇場アンコール」?トリックか、遺言か、政局か〜。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131112-00000104-mai-pol

 自民党小泉純一郎元首相は12日の会見で、安倍晋三首相に「即時原発ゼロ」の政治決断を迫った。「脱原発」を唱える小泉氏がこの日、狙い定めたのは、安倍首相ただ一人。自民党の慎重論に抗し、持論の郵政民営化を実現させた自らの経験を引き合いに出しつつ、「首相が決断すれば、原発ゼロ反対論者もだまる」と説いた。

これじゃない…とは思うけど、念のために紹介しておく。

この前、小泉だ安倍だという話とはまったく別に、「三谷幸喜の映画が始まったけど、それに関連して…という文脈で、この作品を紹介した。

本日三谷幸喜清洲会議」初日。会議漫画の超傑作「鈴木先生」や「雪の峠」(岩明均)を超えられるか?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131109/p5

雪の峠・剣の舞 (講談社漫画文庫)

雪の峠・剣の舞 (講談社漫画文庫)

あらすじも再掲載しておくね…。

戦国末期、常陸国を領土としていた大大名・佐竹家は、関ヶ原の戦いで西軍の石田三成方についたため、敗戦後、当時の僻地である出羽国に追いやられてしまった。
そこで新しい城の築城に取り掛かることになったが、築城場所を決める際、当主の佐竹義宣は渋江内膳ら若い家臣の意見を優先し、高齢の重臣たちを蔑ろにする素振りを見せる。
それに反発した老臣たちは、大軍略家と名高い梶原美濃守を立て、自分たちの居場所を守るために対抗案を出すが……。

リンク先の文章でも詳しくは述べなかったけど、事実はこの話の中で現藩主・佐竹義宣と、前藩主・佐竹義重が出てくる。偶然ながら(笑)。
んで、上に書いているように、この話は佐竹家の新領土における築城場所をめぐる、実におもしろい「会議漫画」なのだが、実はここで現藩主と旧藩主は”対立”する…偶然ながら(笑)。
以下は、コマのよりぬきで展開を感じてもらおう。
←現藩主・義宣とその側近・渋江内膳。
←老臣派の代表・梶原美濃守。
←前藩主・佐竹義重

独断専行がすぎる…と老臣団が思っている現藩主の提案に異を唱える老臣代表。そして前藩主も、現藩主案に反対する独自論をぶつ。
会議は翌日に持ち越しとなったが、
議論で押しまくった老臣派は、別案とはいえ「広い面積を囲う山城」「米の産地をまず押さえる」などの共通点が多い前藩主案も「我らとほとんど同じ」「広い意味ではお味方くだすった」と喜ぶ。
だが、老臣団の代表格であり、今回の山城案を発案した当事者は…


よくある、よくある。
勢力A vs 勢力B の対決の際、勢力B’が出てくると、 それが援軍になるどころかBとB’の間で戦力が分散し、個別に撃破されていく…。

実際、いまや反原発のリーダーは、何も具体的な案がなく、具体的な政治行動もこのあと起こすか起こさないか分からない、ひとりの民間人になりつつあるではないか。(少なくとも、そういうふうに感じる一派がいることは事実だ)


まあ、この連想はついつい偶然シチュエーションの類似があった、ってだけで、ガチで判断しろと言われたら個人的な見立てでは、こういうことはないと思うよ。
 、
小泉は良くも悪くも、そこまで安倍政権に協力しようというほど義理堅いというか、後輩への情愛厚いとは思わない。反原発が、かなりのところで本気というか、良くも悪くもエキセントリックといっていいほどの彼の情念が反映されていると考えて差し支えないとは考える。


だが…小泉氏のやることだから、「結果的に」そんな形になってしまうのではないか?という疑いを、すべて払拭できるかというと、これも個人的にはできない。実際、今回小泉氏は、脱原発の方向での野党や市民運動との”共闘”とは距離を置くようだ。

その場合、個人としていかに本気でも、上の作品での大殿(佐竹義重)のような役目を将来、全体状況としては果たす・・・・ような気はしますな。

「動けば雷電のごとく、発すれば風雨のごとし」…なぜにこんなにも「影響力」があるのか。

平均的に見れば高支持率を維持したまま退陣したから。
与党内の首相、幹事長、政調会長、チルドレン…を含め、恩を受けた連中が多いから。
ハンサムな風貌によるアイドル的人気があったから。
ばっと議員を辞めて、ご意見番的地位にあるから。
普段は露出が少なく、希少価値があるから
 
いろいろ仮説は浮かぶけどねえ…何なんだろう。それにさ、今回ざっと見聞した印象論でいうと(統計的な根拠は無いです)、今回小泉純一郎脱原発論者だという話がひろまった時、確かに多少の議論はあったが「あの小泉だ、信用ならん、許さん」という人より、やっぱり「転向受け入れ派、容認派」のほうが多かったイメージがある。それも「日本軍と戦うには国共合作しかない」「敵の敵は味方」的なやむを得ず、より「”あの小泉さん(さん付け)”がこうなったぜ!」という、パアァァァっとした華やかな雰囲気、を発していた、ような。
やっぱり、数百人単位で議員でもない元首相の会見に集まるというのは、この男のスター性と、タイムリーな話題をぶち上げるニュース性に尋常でないものがあると認めざるを得ない。


アメリカ大統領も、はっきり言って皆こういうふうに「もし自分が現在の政策について一言いえば、メディアがわっとそれを伝える」的なポジションになりたいと思って苦労して、そう簡単にいかない。
一番いま、影響力と尊敬を受けているのはジミー・カーター氏だけど、「最低の大統領、最高の元大統領」という表現で言われてたりね(笑)。鳩山由紀夫氏は…けっこうダイタンな提言を彼もしてるのにね(笑)。
ちなみにジョージ・ブッシュ・ジュニアのほうは、地元テキサスのご近所さん付き合いと牧場の仕事で完全に満足していて、別に歴史的評価であれこれ批判されてもあんまり気にならないらしい。

なぜ「小泉脱原発論」はコラムニストが伝えたのか。

これ昔、「石井慧UFCへ行くのか」というよく分からない話題で論じたことがあった

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130926/p1
この前、毎日新聞の政治コラムで突然「小泉淳一郎元首相が原発関連企業の幹部と一緒にドイツなどを視察し、しかも幹部から『原発の意義を、どうか再評価を』と要請を受けたのに『ますます脱原発が必要だと思った』と言っている」という情報が浮上し、さまざまな反響があったが…アメリカでも、時々重大情報をストレート・ニュースでなく、コラムの中にさらっと書いてしまう「スクープ・コラムニスト」という人がいる。

まあ、実に大きな意味があるわけでもないか。
普通に、スクープコラムニストがスクープした、ということなんだろうな。もともと小泉純一郎脱原発論はこれが最初の発言ではなかった。ただ単に「Aという人はこういう意見がある」というのは、ストレートニュースにはしにくい類のものだったのだ。
しかし「電力会社の関係者と一緒に欧州を視察し」「脱原発を見直してほしいとアプローチされ」「それでも逆に思いを強くした」というのはニュース価値があった。
そこを、たまたま接触したコラムニストがスクープとして書けた、ということなのだろう。もともと現役時代から「小泉にオフレコなし。しゃべったことはすべて書いてOK」といわれていたそうだ
では、これをインタビュー記事か何かにしたほうがよかったのか。
しかし質疑応答があると、ツッコミどころも多くなる。あれは「コラムで一報が流れた」ことに意味があったのかもしれない。



さっそく、今回の新ファン層を挑発するようなこれは…

・・・冷え込んだ日中関係に関し「今の安倍晋三首相の対応で良い」と述べ、中国側の歩み寄りを求める首相の外交方針を支持した。また……「それで日中関係が良くなったか」と疑問を呈した。靖国参拝日中関係を阻害しないとの立場を強調するとともに、暗に安倍首相に参拝を促した

ううむ。