2013年10月の毎日新聞「発信箱」より。筆者は布施広氏。
樋口季一郎や杉原千畝は有名だが、この人物のことは知らなかったので記録する。
http://mainichi.jp/opinion/news/20131002k0000m070129000c.html
俳優の山田純大(じゅんだい)さんが書いた「命のビザを繋(つな)いだ男 小辻節三(こつじ・せつぞう)とユダヤ難民」(NHK出版)はいい本である。山田さんは人気のドラマ「半沢直樹」でタブレットを離さない嫌みなエリート社員を好演したが、この本はネット情報ではなく生の取材に基づいている。
1940年代初頭、神戸は迫害を逃れたユダヤ人の一大居留地になっていた。…だが、滞在期間が切れれば、彼らはまた過酷な運命に直面する。そこで彼らの救済に奮闘したのが、後に日本人初のユダヤ教高位聖職者(ラバイ)になる小辻氏、アブラハム小辻博士(1899〜1973年)だ。
- 作者: 山田純大
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2013/04/23
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氏は借金をして・・・滞在ビザの延長に成功……多くのユダヤ人が日本から米国など安住の地へ渡ることができ……エルサレム近郊の墓地へ行くと、そこに小辻氏の墓があった。
http://mainichi.jp/opinion/news/20131016k0000m070133000c.html…氏は日本初とされるヘブライ語の文法書を出版し、第二次大戦前に満州(現中国東北部)で開かれた「極東ユダヤ人大会」では流ちょうなヘブライ語で演説した。満鉄総裁・松岡洋右のブレーンとしても働いた。こうした経験を生かし、杉原ビザで日本に来たユダヤ人のビザ延長などを助けたのだ。
大戦前、ナチスドイツは同盟関係の日本にもユダヤ人迫害で同調するよう求めていた。日本は…(略)迫害せず、公正に扱う方針を打ち出した)。
今思えばこの決定は大きかった。ナチスに付和雷同していれば日本は世界中のユダヤ人から敵視され、戦後の対米関係にも障害が生じただろう…(略) こうした経緯は氏の自伝「東京からエルサレムへ」に詳しい。