昨日偶然カーラジオで聴けた、TBSラジオ「荒川強啓デイキャッチ」の内容がすごかった…レギュラー出演している北丸雄二という人が、アメリカNBC放送の内容をそのまんま紹介しているのだ。
期間は一週間だっけ?ここで聴ける。
番組公式サイト
http://www.tbs.co.jp/radio/dc/
2013年06月07日(金)
北丸雄二
テロ戦争。無人機ドローンが変えた戦い
(音声)
http://podcast.tbsradio.jp/dc/files/clip20130607.mp3
ついでに語り手のtwitterアカウント
https://twitter.com/quitamarco
ただし、音声にリンクを張っても忙しくてあんまり聞く人がいないのは知っている。
だが、これは一人でも多くの人の目に(耳に)とまってほしいので、はい文字化しましたです。
ただね…読むと気がめいるのは間違いないので、その点は断っておきます。
(司会)は荒川強啓氏。
(無人機で民間人の誤爆が多い、という理由を聞かれて)
わかんないですもん、だってコンピュータのように画面から見てどこにだれがいる、だれかが棒を持っているか、バズーカ砲を運んでいるみたいだ、ぐらいはわかるんですが、サーモグラフみたいなものでみるだけなんですからね。
―(司会)ということはですね、アメリカ本土にいて、無人の攻撃機を操作するオフィスがあって、そこに車で乗り付けて、ようこんにちわ、今度は交代だよって、そこのいすに座ってそれでまた無人の操作をするって攻撃するっていうような、そういうイメージなんですかね。
それがクリップ3(※持ち時間を3つの「クリップ」に分けており、その三番目)なんですけどおとついですね、NBCって放送局がブランドン・ブライアントさんという27歳の・・・2006年から2011年で5年間 このドローン機・・・無人機の操作をやっていた青年のインタビューを放送したんですね。もう引退したんですけど。
彼はこういってるんですよ無人機を操作していても飛行機が旋回するGを感じることは無い
エンジンの騒音も聞こえない
コンピュータが低くうなる音だけだ
それは戦場にいる感覚とは全く違うその一方でドローンから送られてくるイメージ…画面の鮮明さはすごく本物、現実的です
みんなドローン攻撃は遠くへ向けって撃つ迫撃砲の攻撃のようなものだろう、というけれど
それも違う
砲兵隊は自分たちの砲撃の結果をみないだろう
でもぼくは全部見るんだ・・・って言うんですよ
ネバダの基地から地球の裏側のアフガンで、道を歩いている3人の標的へ向けてミサイルを2発撃ったことがあるんですって
コンピュータースクリーンにはサーモグラフの映像が映っているんですが
そこに熱い血が広がっていくのが見えた
一人の男は前に行こうとしている、でも右足がなくなっている。そして倒れる
血(の熱をモニターが感知した赤い色)が広がり…でもそれは地面と同じように冷えていく
赤い熱の色が、地面の緑の色とおんなじになる
今でもこうして目をつぶれば、僕にはコンピュータスクリーンの小さなピクセルの一つ一つが今でも見える
彼らが実際に殺害すべきタリバンのメンバーだったのかはいまも分からない
―(司会)うわー…。そうか、画面だけを見て…コンピュータ操作をして爆撃しているわけなんですね。
最初はね、テレビゲームの感覚なんですがそのうちなんていうのかな、命へのリスペクト、敬意を失っていくことに気づいていくんですね
で、
退任するときに司令官が彼に紙を渡したんですって。「お疲れさん、よくやった」と。
そこにですね
「あなたが関係した作戦で殺害された人数は1626人」って書いてあった。
これねえ……
関連の当ブログ過去記事を読んでいただければ幸い。
■米軍無人機をめぐる2題。/戦果を上げた操縦者に勲章”ニンテンドーメダル”が贈られる?/「プレデター」おもちゃの反響
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130329/p5
■無人機での戦果を表彰する…通称”ニンテンドー勲章”やっぱり見送り
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130503/p3
とくに下のリンク記事で、こういうのを書いた。
既に今や「一流ゲーマー」=「そのまま優秀な無人機操縦者」なのか?
もしそうなら”ハイスコアガール勲章”と呼んだほうが通りがいいのかもな(笑)。ガンダムのアムロやエリア88の風間真じゃないけど、いきなりプレデターかなんかの操縦席に乗り込んでも、ゲームセンターで鍛えたゲーマー達は大戦果を挙げることができるのかもしれない。
もちろん、まず細部の操縦が純粋に全然ちがうのかもしれないし、またさすがに道徳観が邪魔をして、「やっぱり両者の才能は別物だわ」という話になるかもしれない・・・
・・・だが、やっぱりつらつら考えるに「高校レスリング部で有望な子はMMAでも強い」というぐらいには、両者(シューティングゲームの才能と、実際に無人機を操縦して"テロリストの根拠地”に爆弾の雨を降らすこと)の才能は地続きかもしれない。
だとしたらねえ・・・少なくともゲーマーに新しい”就職先”が出来た、のかもしれないけど・・・。
「ハイスコアガール」の主人公も、これから10年程度あとの近未来が舞台なら、<少なくとも軍隊に進めば超優秀な無人機パイロットになる未来が拓けているエリート予備軍>というキャラクターになっちゃうわけだぞ??ハイスコアガール(1) (ビッグガンガンコミックススーパー)
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【追記】リンクからさらにリンクをたどると読めるけど、直リンクします。
■「正しい戦争だからセーフ」と考えたブッシュさんと、「戦争じゃないからセーフ」と考えているオバマさん
http://d.hatena.ne.jp/maukiti/20120912/1347381192
軍事的合理性というのはすさまじいものがあるから、あと5年で自衛隊も…いや自衛隊はむつかしいのかな、米軍ではほぼ間違いなく…
「シューティングゲームの名人的な腕前=優秀な軍事力」という基盤が固まるだろう。
つまり…
良くも悪くも軍事的な肉体的訓練の優秀さや、また自らを死地においたときに冷静かつ勇猛でいられる、という従来型の兵士の価値は無くなる事は無い。
だけど、それとは平行して「肉体はもやしっ子でも『ピザでも食ってろ』的体型でも、遠隔操作で飛行機を操縦して確実に当てることがうまい優秀なソルジャー」は実在するようになる。
しかし・・・・・・・・・・。
このへん、日本では「SF」「漫画」…広義の”文学”のほうが、ジャーナリズムより一歩先を行くと思う。
実は最新号のアフタヌーンで、それを思わせる漫画の新連載が始まっている…
http://kc.kodansha.co.jp/content/top.php/KB00000945
マージナル・オペレーション
原作:芝村裕吏
漫画:キムラダイスケ
ああ!実は連載第一回では、確実にそうと分かる根拠が無かったのでいままで紹介しなかったんだけど、これは原作があるのか!!そしてそのまんまのテーマを描いているのか!!!
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30歳のニート、アラタが選んだ新しい仕事(オペレーション)、それは民間軍事会社──つまり、傭兵だった。住み慣れたTOKYOを遠く離れた中央アジアの地で、秘められていた軍事的才能を開花させていくアラタ。しかし、点数稼ぎを優先させた判断で、ひとつの村を滅ぼしてしまう。モニターの向こう側で生身の人間が血を流す本物の戦場で、傷を乗り越えたアラタが下した決断とは──?
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ものすごくネタバレになるかもしれないが、ウィキペディアの「マージナル・オペレーション」も充実しているね。
実際の、あまりにも生々しいアメリカの退役者の回想談と、こういうエンターテインメントを一緒に紹介するのもわれながらどうかと思うが、日本では幸いにも”まだ、かろうじて”フィクションとして考えたほうが思考の幅が広がる問題である。
「自分も戦場に行って、敵に撃たれるリスクが高まれば人道的なのか」
「ナイフより槍、槍より弓、弓より鉄砲、鉄砲より大砲…となっていったのと意味は同じ」
「同胞、われらの仲間である自国軍の兵士がより安全になることはいいことじゃないか。兵士やその家族の立場に立ってみろ。」
といった反論にも、簡単には反論できないし。
再度このコマを貼らせてもらう。
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追記 ブクマに関連っぽい作品名が言及されている
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/gryphon/20130608/p6
id:hobbling 「エンダーのゲーム」が今映画化されるのもそういう時代だからなのかもね。id:Dersu 即座に「エンダーのゲーム」を連想するのが教養ってもんだろうが、ぼかー80年代の映画「スター・ファイター」を思い出したよ
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id:mikanyama-c 自分が思い出すのはジョー・ホールドマンの『終わりなき平和』かな…このSFの設定は湾岸戦争の時に「リアル」だと言われたみたいだけどむしろ現代になってリアリティを増している気がする
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id:outalaw 元アメリカ陸軍中佐デーブ・グロスマンの書いた『戦争における「人殺し」の心理学』を読めばアメリカが無人戦闘機にたどり着くのは必然だと考えられる。id:medihen 陰山琢磨『センチュリオン急襲作戦』(2000)の頃はもっとお気楽だった。
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(複数の人が言及)「バーチャロン」
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さらに追記
はてブで教えてもらった。ほぼ半年前の先行記事
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-8b67.html