http://kinbricksnow.com/archives/51852758.html
■習近平タクシー事件
2013年4月18日に中国ネット界を騒がせたのが「習近平タクシー事件」(関連記事:習近平の水戸黄門的パフォーマンス=タクシー事件と削除祭りの真相とは―中国)。日本メディアももちろん、各国のメディアが取り上げる騒ぎとなりました。
香港の親共紙・大公報の記事が発端です。両会直前の3月1日のこと、釣魚台国賓館まで客を乗せたんだが、それが習近平だった、サインももらった嬉しいと喜ぶタクシー運転手。という内容。その後中国国内メディアも争って転載し大変な騒ぎに。
新華社は昼すぐに、「北京市交通部門の確認が取れた。タクシーに乗ったのは事実である」と記事を出したのですが、夕方には一転して「虚偽の報道である」と報じ
・・・(略)・・・
微博でも習が運転手に送ったサイン、「一帆風順」(順風満帆の意)やタクシーや乗車を表す「打的」「打車」「習近平」「大公報」といった単語が軒並みNGワードに指定されています。なかったことにしたいのがヒシヒシと伝わってきますねえ。
これ、まず最初の話題からして「ちょっとした話題(美談?)」であり、なのになぜかいきなり誤報だといって話が消えるという・・・実に不思議で、しかも世の中の情勢に特に関係の無い(笑)・・・つまり
いわゆる
「日常の謎」
のような展開を見せた事件でした。
そもそも習近平はタクシーに乗ったのか?乗ったとしたら、なぜそれがニュースとして報じられたあと、誤報だといって打ち消したり、統制したりされたのか??
・・・安楽いす探偵が、「ふむ おもしろいね」とパイプにタバコをつめていすに座りなおす展開ではないか。
で、この続報が出てきた。
http://aquarelliste.269g.net/article/17567082.html
■やはり習近平タクシー事件は実話だった
習近平はやはりタクシーに乗っていた、と異議作家の高瑜が発表。どれくらい異議を持っているかといえば、間もなく訪れる六四天安門事件に関連し、出国を制限されるレベル。タクシーに乗ったのは間違いないと思っていたので、後はその理由が分かればと待っていたのですが続報が来ました
(略)
どうやら対外的に情報を発信する中央対外宣伝弁公室の四局副局長が話を聞きつけ、「これは良い話だ」と思ったのか大公報に教えてしまったというのが真相なのだそう。良かれと思って下っ端が勝手に上の意図を組んだつもりが、全然見当外れだったというのはちょくちょく起きています。
そんなこととは知らない新華社は、報道を見るや中央弁公庁に連絡・・・
これにて、この小さな「日常の謎」の謎はおおまかにとけた。
そして悪いニュースといいニュースがある。
・悪いニュースとしては、
「美談というプロパガンダ」を中国政府は意図的に出したり引っ込めたりする体制がいまなお続いていて、主要メディアはその道具であるということ。
・いいニュースは、
いまや中華人民共和国の国家主席も、アメリカの大統領や日本の首相なみに”大衆人気”を気にする「大衆政治家」のひとりでなければならないところまで来ていること(もちろんマオの時代から創作美談まみれではあるけど、やはりちょっとベクトルが異なっている感じがするのよ。ファーストレディーの扱いなんかも含めて)。
また統制したつもりのメディアがあまりに数が増えすぎ、また国外から容易に情報が入ってきて、もはや統制が完全には効かないこと。
そんなことをちょっと考えることになった、中国における「消えたタクシー乗客」という『日常の謎』でした。