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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「よかった、年齢と妊娠について知らず機を逃す女性はいなかったんだ…」女性手帳、配布中止について

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130528-00000025-mai-soci

政府は28日、若い女性向けに妊娠・出産の知識を広めるため導入を検討していた「女性手帳」(仮称)の配布を見送る方針を固めた。女性を中心に「国が個人の人生の選択に口を挟むべきではない」などとの批判が起こったことを考慮した。

さて、「科学的事実であっても『教える』こと自体がメッセージになってしまう」という問題は、もとから想定されていた話だった。というか、もともとその懸念があるから、あまり教えられていなかった、という経緯がある(後述でリンクを紹介)。けっきょくそのジレンマが払拭できなかった、という一件でありました。

「女性は既に知っている」。なんだ、あの話は統計的に無視できる例外だったのか…

医師で昭和女子大客員教授海原純子さんは「若いうちに産んだ方がいいことぐらい女性は既に知っており、手帳配布の見送りは当然だ(後略)」

自分がこの記事につけたブクマ(一部補足)

ただまあ「女性は前から知ってる」という主張に毎日新聞が同調すると「我々の企画こうのとり追って』は、超例外的な話をフレームアップした煽り記事でした」ということになるけど(笑)

再紹介「こうのとり追って」のとある回

こうのとり追って:第2部・不妊治療を知る/1 「閉経まで望める」と誤解
毎日新聞 2011年01月31日 東京朝刊
 ◇30代後半妊娠率下降、卵子老化、学ぶ機会少なく
http://mainichi.jp/feature/news/20110131ddm013100046000c.html

主婦は通っていた女子高の保育の授業で子育ての魅力を知った。だが「高齢になると妊娠が難しくなることは教わらなかった」・・・(中略)主婦は「高齢での出産は難しいだろうと思っていても、40代で出産したタレントなどのニュースを見ると、自分も大丈夫だと錯覚してしまう」と話す。
 不妊治療歴4年の奈良県の主婦(37)は治療を受けながら、自分でも不妊について調べ、30代後半になると妊娠率が下がることを知った。「治療を始める前は、閉経まで赤ちゃんを望めると思っていた。治療を受けたことがない人が、誤解や偏見を持つのは仕方がないと思う」

まあ、どんなものにも血眼で、鵜の目鷹の目で捜せば例外というのは出てくる。そして個別の例で考えればたいへんにお気の毒な話で、幸多かれと祈るしかない。
ただし個別の、超例外的な話はどこまでいっても例外で、とくに最大多数の最大幸福を求める政治とは相性が悪い。
海原純子昭和女子大客員教授が「女性は既に知っている」と太鼓判を押してくれたところで、上の女性たちは個々には同情にたえないとしても巨視的に見れば無視しえるレアケース。
一般的には「既に知っている」ということであるから、政策問題としては「ハイ撤収」(パンパン)・・・ということでおしまい。

最後に
「教えることがメッセージになる」という話を上のリンク記事から。

国の学習指導要領には、小中高校で妊娠しやすい年齢や不妊治療について教える規定はない。文部科学省は「早く産んだ方がいいというメッセージになりかねず、不妊についてどのように教えるかは難しい」(学校健康教育課)という。