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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

こんな簡単な発明(工夫)が、世界を変えた?「鉄条網の歴史」という本が出た…「コンテナ物語」にも似て。

朝日新聞の先週の書評から。

http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013041400014.html
鉄条網の歴史―自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 [著]石弘之、石紀美子
[評者]荒俣宏(作家)  [掲載]2013年04月14日   [ジャンル]歴史 

鉄条網の歴史 ~自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明

鉄条網の歴史 ~自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明

■家畜用から新たな環境の囲いへ

 鉄条網は西部劇を終わらせた。その発明者グリッデンが後妻に「花壇が家畜に荒らされるので、何とかして」と頼まれたことから誕生したこの家畜フェンスは、家畜を制御するカウボーイを失職させ・・・(略)・・・、農地と家畜を守るのにガンマンと鉄条網を持ちだし、19世紀末にはジョンソン郡戦争のような衝突となる。名作西部劇「シェーン」も、この時代と場所の話である。
 家畜の侵入と脱走を防ぐ鉄条網は、次に人間をも束縛する。戦場や強制収容所では人間が鉄条網に囲い込まれ・・・朝鮮半島軍事境界線では、逆に自然が復活し動物が異常に殖えだす・・・

自分はむかし、こどもむけの「君も発明をして一攫千金を狙おうお!」という本が結構好きで読んでいた(今思うといい趣味だったと思う。すべての子供に学校で「簡単な工夫で特許を取れば一攫千金もあるで!」と教えれば、柔軟な頭脳をそのまま新産業に動員でき、起業マインドを育てるのではないか)時期がある。
その中で「実に簡単な工夫なのに発明者が大もうけした」例としてこの鉄条網(有刺鉄線)が取り上げられていたなあ・・・ただ、「怠け者の羊飼いの子供が、横着できるように考えた」みたいなちょっと盛った伝説になってたぞ(笑)。グリッデンさんが、奥さんに頼まれて発明したのか。

えーと・・・まだウィキペディアに項目はないのか。「有刺鉄線」には英語版「ジョセフ・グリッデン」へのリンクがある。これも知ったからには、俺がつくる義務があるか・・・
http://en.wikipedia.org/wiki/Joseph_Glidden
しかしそれが、社会を変えるインパクトがかくもあったとは・・・

そういえば西部劇やスタン・ハンセンによってカウボーイというのは子供でも知ってるが、カウボーイのお仕事自体はあんまりよくわからない子も多かったはずだ。酒場で銃を抜いて撃ち合うお仕事ではなかった。牛を誘導し、草のあるところをたどりながら移動させる仕事だ。迷われたり、盗まれたりしないように。

羊での描写だけど「狼と香辛料」というライトノベル原作の漫画(アニメもあるのかな?)で、所詮けだものであるこの家畜を、犬を操ったりなんなりで思うままに誘導、一匹も迷わせない・・・というのが既に職人芸、特殊技能であるという描写があったな。(自分が漠然と「経済を扱うライトノベルがあるらしい」と覚えていたのは、この「狼と香辛料」らしい)日本ではどうしたって、感覚的になじみが無い。
宗教者やリーダーシップの比喩で外国では「よき羊飼い」とか「牧民官」=民を牧するという表現が出るのも、そういうのになじみのある民族ゆえなんだろうな


自分は漫画版しか知らないが、この人だよね?3巻だか4巻に出てきたんだっけか。

狼と香辛料 3 (電撃コミックス)

狼と香辛料 3 (電撃コミックス)

狼と香辛料 4 (電撃コミックス)

狼と香辛料 4 (電撃コミックス)

しかし有刺鉄線、鉄条網はそんな技能の居場所を小さくした、のだろう・・・


こういう「アイデアとしては簡単、シンプル。しかしその普及は社会を変えた」という話(そのことを書いた本)で、いまでも印象に残るのはコンテナの話。
これも新聞書評で読んで興味を持っただけで、未読のまま今に至るのだが・・・1、2年前に、はてなでこの紹介記事がホットエントリにはいってたような・・・

■「コンテナ」を考えた人は偉い
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20070312/p3
 
■コンテナのウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%8A

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

20世紀最大の発明品の1つといわれるのがコンテナ。コンテナの海上輸送が始まったのは1956年3月のことだ。アメリカの陸運業者マルコム・マクリーンは、コスト削減と交通渋滞回避のため運賃の安い沿岸航路に目をつけ、トラックから「箱」だけ切り離して船に載せるアイデアを思いつく。
陸上、海上輸送の兼業を禁止する規制当局と戦い、さらには埠頭を牛耳る沖仲仕の組合の抵抗を押さえ、1956年3月、コンテナの海上輸送が世界で初めて実現する。天性の企業家マクリーンは次々に船会社を買収し、ベトナム戦争では軍事物資の輸送に食い込み、世界最大級の海運業者に飛躍する。日本、韓国、シンガポールなどアジアの国々は、巨大なコンテナ専用埠頭を設置し、欧米との貿易で巨額な黒字を溜め込み世界経済への影響力を増していく。グローバルな経済の成り立ちを「箱」に焦点を当てて振り返ったノンフィクション。

 
さっき書いた「『コンテナ物語』紹介のはてな記事」はこのうちのどっちかかな?
■「孫の代までの仕事」が10年で消えたケース
http://d.hatena.ne.jp/repon/20121030/p1
■『コンテナ物語』
http://d.hatena.ne.jp/founder/20090414/1239677063

そんな面白さを、「鉄条網の歴史」という本からは書名だけで(笑)、そして一本の書評だけで感じました。