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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

漫画界の思想的リーダーとり・みきが、震災2周年を前に「ギャグと不謹慎」を再度語った

日経ビジネスオンラインに連載されている(それがすごいだろ)「とり・みきのトリイカ」最新作

■不謹慎なギャグマンガ家は何をなすべきか
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130306/244621/

自分は以前から
■「東日本大震災を直接描いた漫画リスト」
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110810/p3
というのを作り続けているけど、「とりったー」もリストに入れているね。
このときの作品を描いた心境がつづられている。

・・・・・・現実に大変なことが起きているのに、こちらはそれをずっとテレビで見ているしかない。ツイッターでもみんな震災のことをつぶやいていて、ものすごい速さでTLが流れていく・・・(略)

 いつもの録画もなんだかうしろめたかった。(※とり氏は大事件発生時のテレビ番組録画コレクションが有名で、貴重な資料となっているものも多いという)
 あの日を境にツイッターも確実に別のフェイズに移行した・・・(略)・・・ 実務的な意味では、その効用が大きくクローズアップされたが、個人的にはけっして楽しいだけのものではなくなった。それまでのツイッターは(私には)まだどこか能天気で牧歌的で、いごごちのいいものだったのだ。

その日は「もうあと何年も心から楽しい気持ちになることなんてないのではないか」と思ったし、とてもじゃないが「当分はギャグマンガなんて描けないだろう」と思った

「いったい、いま何が必要とされているか」というプライオリティを頭に浮かべたときに、マンガというのはずいぶんと下方に位置しているよ(略)……と、マンガ家でありながらも、思ってしまった

しかしそこからどう、最終的に漫画にしていったか、その内容もどう変わって行ったか、ギャグがどのように日常に戻ってきたか、「チャリティ」への感覚がどのように変わったか・・・その変化が非常に興味深いので、読んでみて欲しい。

さらにいえば、
このテーマでとり・みき氏が書くというのに重みというかスペシャル感があるのは、かつて同氏は不朽の名言

「いいか、この世にはなぁ、ギャグにしちゃいけないことなんか何一つ存在しないのだ!」

といった言葉を、漫画の中で宣言した人だからだ。
(ここまで言い切っていいのか、その是非はまた要議論だが)。

ちなみにこの発言のシチュエーションはというと、その漫画が「不人気のため打ち切り決定」になったことをその漫画の登場人物自体がネタにしている・・・中での宣言だったから、説得力300%増しだった(爆笑)


もうひとつ、当時国論を二分したあるテーマに「わたしにとっては○○も反○○(※原文ははっきり書かれているけど)も、ギャグのネタとしては等価だ」と宣言したこともあったっけ。
あれもまた、あの時期、そしてアウェーのあのメディアの中で語るのには相当度胸が要ったと思うのだが。


そんな、とり・みきの苦悩と決断の軌跡は、やはり興味深い。