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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

谷川貞治は言われた。「この大山倍達に、たばこを1本くれませんか?」(水道橋博士のメルマ旬報)

編集長:水道橋博士
発行:WEB本の雑誌 BOOK STANDプレミアム
http://www.webdoku.jp/premium/merumaga/
発行日:2013年2月25日

格闘技通信』の創刊。しかし、初代編集長の杉山さんは極真空手を全面に押し出さなかった。
「谷川、極真はゴングのものであり、『パワー空手』という機関誌まである。我々が後追いで極真を扱っても雑誌は売れないよ。むしろ、極真に変わる新しいオリジナルの空手団体を扱うのが売れる雑誌の作り方だよ」と……(略)極真の敷居はますます高くなる…極真から独立した大道塾や佐藤塾、士道館正道会館、誠道塾などの団体を扱った雑誌を喜んで受け入れるはずがなかった。
(略)
そんな中、第4回世界大会の前に、大山倍達の取材許可が下りた…(略)…緊張で喉がカラカラだった。…いったい、どうなるんだ?
 
(略)

「まぁ、お掛けなさい。……うん? ベースボール・マガジン社? 谷川さんね………」と、大山総裁はしばらく僕の名刺を眺めていた。
そして、何をいうかと思いきや、いきなり「谷川さんはタバコを吸いますか?」と聞いてきたのだ。
「た、タバコですか? あ、はい。す、すみません。僕も辞めたいと思っているんですが……何分情けないことに意志がですね、弱くて……」
「この大山倍達にそのタバコを一本くれませんか?」
「えっ、タバコ? は、はい、どうぞ」僕はポケットからセブンスターを一本取り出し、大山総裁に手渡した。何か空手の演武でもするのだろうか? すると、大山総裁は・・・(略)

ここから先はかなりいい話なのだが、「この大山倍達にそのタバコを一本」という言い方がつぼにハマッた。これは当然、「おれは天下の大山倍達だぞ」という自負が最初にあってこその言い方になる。謙虚を価値とする日本においては、これをやってウケる、納得される人と、「なに大物ぶってんの?」と反発や失笑を受ける人は確実に分かれる。間違いなく前者でもトップクラスに位置する…あとは勝新や、談志か、富野監督かな……。そういう人だからいかにも!!の感じで、なんか嬉しい。

「このXXに○○をくれませんか」か。
一生に一度ぐらいは使ってみたくもあり、絶対に似合わないとも分かったり。