本当は昨日紹介したかったのだが、時間が無くてねえ。一日遅れになりました。
毎年恒例。
「D坂の226事件−−乱歩を巡る昭和史幻想」
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050227#p1「勝利だよ勝利だよ ついに見つけたぞ 盲点を
幾千万の節孔を欺しおおせた大トリックも、完全犯罪ではなかったのだ
ひとつの国家にふたつの仮面を使い分けさせる一大トリック・・・(中略)
・・・おまえこそ天才なり、伊藤博文!!・・・・・・完全犯罪の
唯一のほころびを逆手に取った私(北一輝)の犯罪…」
(作:浅羽通明…メルマガ「流行神」にて発表)
二二六事件の夜、昭和天皇の直接の電話に応対した一巡査がいた
これ、ネットを検索すれば書くまでもなくどこかに引用されているだろう・・・と思ったのだが、ちょっとキーワードで探した限りでは情報なかったので。
でも本日は、手間を惜しんで写真画像で。いつかはネット上のどこかに情報として残したくはある…結局いま、ウィキペディア「二・二六事件」にこの電話事件の概要を書いてみた。
麹町署の署長室に備えてある宮内庁直通の非常電話のベルが鳴ったのは夜八時だった。(略)…たまたま受話器をとったのは二十八歳の巡査だった。…(略)…
「ヒロヒト、ヒロヒト…」と言っている。
「もしもし……。どなたでしょうか」
返答はない。電話はいったん切れた。再びベルが鳴った。
「これから帝国でいちばん偉い方が訊ねるのでそのつもりで聞くように」
別の説明の声が入り、すぐにしり上がりのイントネーションの声に代わった。
「鈴木侍従長は生きているか」
「はい、生きてます」
「生きていることは間違いないか」
「昼間、確認してまいりました…(略)」
(略)
受話器の向こう側で「チンは誰と連絡をとればよいのか…(略)」とつぶやきが聞こえる。
巡査は、瞬間、全身に冷水を浴びせられたように躯がぶるぶると震えた。「朕惟フニ我カ皇祖皇宗…」のチンだと気づくのである・・・(後略)
もとは自分、週刊文春「ニュースの考古学」(『木村政彦は「力道山を呪い殺した」と僕に語った』というコラムが書かれたのと同じ枠)で自分は読んだのだが、その後、この本にその挿話は引用された。
東條英機 処刑の日―アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」 (文春文庫)
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見逃してしまったのだけど、先週のNHK大河ドラマ「八重の桜」には孝明天皇から松平容保がありえない「直接のご宸翰」をもらうシーンが出てきたのだってね。
司馬遼太郎「王城の護衛者」にもクライマックスとして描かれている。
薩長両藩が暗躍し、攘夷派の浪士たちが横行する、無政府状態に近い幕末の京。新たに京都守護職を命じられた会津の青年藩主・松平容保は、藩兵千人を率い、王城の護衛者として治安回復に乗り出すが、複雑怪奇な政治の術数に翻弄され…。表題作の他に、「加茂の水」「鬼謀の人」「英雄児」「人斬り以蔵」を収録。
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https://twitter.com/Yae_Sakura_Bot/status/292196276202782720
八重の桜
@Yae_Sakura_Bot
「御宸翰(ごしんかん)」 孝明天皇から京都守護職を務めていた容保公に宛てた手紙です。そこには、幕末の動乱の中で難しい任務を引き受け、力の限りを尽くした容保公への感謝の言葉がつづられています。#八重の桜 ツアー http://yfrog.com/1x2v7rj
スケールや情況には似ているところも違うところもあるけど、「身に余る光栄」というのも本当に余り過ぎると困るものだ。
巡査にはその後直接の第二電話、第三電話もなく、忘れ去られたエピソードになったのは、本人にとっては幸いだったのかもしれない。