会員制雑誌「選択」より。
野田首相の格闘技好きは筋金入りと言っていい。日中韓三国首脳会合出席のため北京入りした野田は、五月十三日夜、宿舎で随員と懇談した。酒も入った席で野田は伝説のプロボクシング世界ヘビー級タイトルマッチ「キンシャサの奇跡」を話題にした。1971年3月。ザイールの首都キンシャサで史上最強のハードパンチャーと言われたチャンピオン、ジョージ・フォアマンと挑戦者カシアス・クレイの激闘だ。試合は七ラウンドまでフォアマンのワンサイド。クレイはロープを背に防戦一方のように見えた。しかし、八ラウンドになって打ち疲れで体力を消耗したフォアマンをクレイは見逃さなかった。一発のパンチでフォアマンをマットに沈めたのである。野田はこう付け加えたという。
「もちろん私がクレイです」
野田が頭に描く「フォアマン」は誰か。小沢一郎なのか、輿石東幹事長なのか。