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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

シリア〜イスラエルの関係を示した、山内昌之の名言

これも読売新聞2012年5月13日から引用する。山内昌之氏の寄稿した「地球を読む」。

イスラエルにとってアサド体制は「最愛の敵」ともいうべき存在である。40年以上にわたり軍事的に衝突していないシリアは、イスラエルと平和条約を結びながら体制の変革と民主化要求で揺れるエジプトやヨルダンよりも安心できる存在なのだ。

以下、シリア情勢の「手詰まり」について山内氏の論考を箇条書きにする。
・本来国民全体の生命と財産を守るべき国防軍が人口12%のアラウィー派、アサド家の私兵になっている。
・ロシア、中国が拒否権を使うことで国連は完全に機能不全。
・ロシアはリビア、シリアに対し計200億ドルの武器輸出をしていた。リビア政変で40億ドルをすでに失う。
・ロシアは地中海に面したシリアのタルトゥス軍港の使用権の問題もある。
・シリアは「上海協力機構」とNATO、そしてイスラエルの勢力圏が交錯する地帯。ロシアはアメリカのイラク撤退を受けて、ペルシャ湾での影響力回復を狙っている。
・シリア体制崩壊は、アメリカとロシアの”新冷戦”の引き金を引きかねない。
・イランは(山内氏の見立てでは)失敗した。アサドと距離を置けば「アラブの春は、イラン革命の延長線上にある」という主張に説得力を持たせ、中東民主化をリードできたかもしれない。
・しかしシリアの主要4銀行の預金額が2011年、前年比35%に。中央銀行の外貨準備100億ドルに落ち込んだ。シリアポンドは1ドル=47シリアポンドだったが、蜂起後は68ポンドに下がった。
・トルコは北シリアに侵攻して緩衝地帯を作るか?作るならそこを反政府軍が拠点にするかもしれない。
・アサド政権はいざとなれば拠点をアラウィ派の多い海岸部や北部山岳地帯に移しての「国家分裂・割拠」をやるかもしれない。