この話は以前から考えており「まあ何かきっかけがあれば。誰か詳しい人に聞ければ一番いいのだが」と思っていたのだが、偶然昨日その「きっかけ」があったので書いてみることにしよう。
これは是非、これに対して専門的な知識を持つ人が読者の読者とか、知り合いの知り合いにいてもらえればいいのだが、普通の人も大いに、こういう時代や状況になったらどうなる?という、いわば”SF的想像力”を発揮してご意見を賜りたい。
なぜ今回、これを書き始めたというと、たまたま昨晩twitterを見ているとき、タイムラインに「#聴覚障害者ブレスト」というハッシュタグが流れてきて(いまだに「ブレスト」ってどういう意味がよく分からない(笑))、そのでのお話が興味深かったことと、実際に体験や知識を持っている方が多かったので尋ねてみることにした、というころです。話題の中心はいわゆる読唇術(口話法)だったのですが、ある意味で関連しているので。
最初のつぶやきは無理に140字にしているのですが、まあ言いたい骨子は入っている。ちょっと修正。
偶然、#聴覚障害ブレスト のハッシュタグを見つけたので、以前からの暴論じみた、単純すぎる質問を詳しい人に聞きたいのですが…これだけ携帯・モバイルが普及した今・・・読唇術は別として手話の意味は低下していると思います。例えば手話教育の時間と予算を、モバイル所有への補助金や早い入力の練習に使うとより効果的では?.
gryphonjapan2012/05/13 20:49:45
その前後の議論は、ここにまとまっています。目を通して頂ければ。真ん中あたりから自分が会話に入ってきています。
http://togetter.com/li/302957
そこで伺ったモバイルの文字による会話ではだめな理由
・電池切れの懸念
・重さ、使いづらさ
・高齢者などは使えない
・スピード
などなど。どれもそれなりには分かりますが・・・
ケータイ普及の現状を前提にしていいのでは?
まずモバイルと電池切れや重さについては…実は昔、兄が買っていた「コンバットマガジン」って雑誌だったかな。銃やサバイバルゲームのことを紹介する雑誌に、なぜかアメリカで忍術道場を開いているというアヤシゲな先生の紹介記事が載っていた。
んで、「銃社会アメリカで忍術を教える意義」みたいなことを聞かれた一節をいまだに覚えている。
「他のいい加減な道場では『ブジュツは銃より強い』と宣伝するようなところもあるが(※それもたいがいだが・・・)、この道場主は合理的だ。『ガンは素晴らしいウェポンだ。しかし弾が無くなった時はどうする?だから体術や剣術も学びなさい』と語っている。刀が切れなくなった時には、敵味方双方がおなか減って闘いをやめているはずだ」と。
これも大概だが、一部の真実は衝いている。その一方で、「メインはやはり文明の利器(銃)の活用。それが無いときの準備は必要だが、あくまでサブ、オルタナティブである」ということを図らずも認めている一節だったと思う。しかしコンバットマガジンも、十数年後、こんなところでの妄想雑談の材料に記事が使われているとはおもわなんだろうな(笑)。
私も、もし今モバイル筆談というのが、みなが重量5キロ、価格20万円ぐらいの「文字表示機」を持ち歩き、入力すると「ピーピー、タダイマ文字ヲ表示中デス」とかいって、カタカタと印刷された白いテープが出てくる…といったスチームパンクな機械が必要だというなら、全然それが取って代わるとはかんがえへんです。
でも実際、今の日本においては「文字を表示する」機能がある機械を、ほぼ・・・例えば駅でも喫茶店でも、8、9割の人が持っていますよね。
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手話も一言語。ならば(だからこそ)「普及率」「通じるか」も視野に入るはず
togetterから、私の別の論点ツイートを抜き出します
これは受け手である私などの怠慢ゆえですが、町で手話によって「駅はどこですか?」と訊かれても理解・回答不能。だが同じ言葉をモバイルにパチパチと入力されれば分かるし、そこに「次の信号を右に曲がって・・」と答えることもできます。 @gendohki #聴覚障害ブレスト gryphonjapan
ここが一番の問題だと。
ここで反論を紹介します。
#聴覚障害ブレスト に「日本語なんて日本でしか通じなくて無駄なんだから英語の勉強だけしたらいいじゃん」並の暴論をかます人がさっそうと現れた.
honey_holic2012/05/13 20:52:09
GAMI@zakki_cho07
専門家でも当事者でもありませんが、穴は「母語としている人がいる」ということでは? RT @gryphonjapan 「手話」の役割を縮小していく・・・/たぶん専門家から見ると穴がある議論の筈。自分でもその穴を知りたい @naga_maki @gendohki #聴覚障害ブレスト
ふたつの反論は、どちらも筋がいい。手話母語論は後述するとして、まさに「英語の公用語論」からの類推を当方はしています。
そうそう、ウィキペにもあったのですが「手話は一つの外国語と考えるといい」と。だけど実は、自分はそれゆえに「手話衰亡論」を発案したのです・・・このへん複雑すぎ140字で書けないのでご容赦。「手話」のウィキペディア http://t.co/kOhc4Dw6
140字で書けないのでいま書いているのですけど、そもそもこのエントリの表題が
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%8B%E8%A9%B1
1960年にギャローデット大学の言語学者、ウィリアム・ストーキー(William Stokoe)は『手話の構造』を発表した。手話は劣った言語ではなく、音声言語と変わらない、独自の文法を持つ独立言語であるという内容だった。これをきっかけにして1970年代以降、手話を言語学としての研究対象とする学者が増えた。この時期に自然発生したニカラグア手話は「最も新しく発生した言語」と評価されている。現在では、言語学者の間で「手話が言語である」というのは常識になっている
手話もひとつの言語。と、考える。
だからいわゆる言語ナショナリズム的な象徴的な意味合いで表題の「亡びる」「滅ぼす」に反対し少数言語として保護する、という意味ならわかる。
ただ、逆に「手話も一つの言語」と考えることで「どの言葉をマスターするのが便利だろう?英語か、フランス語か、スペイン語か」とベルリッツのパンフを見ながら考えるのと同じレベルで考えられる・・・のだともいえます。
なんと言っても意思疎通のツールである言葉は「自分が話せる、聞ける」ことと同様に「相手が話せる、聞ける」ものであって初めて意味を成す。これは善悪ではなく、事実としてそうである訳です。理想としては健常者も聴覚障害者、ろうあ者のために手話を皆、一定水準マスターしたらすばらしい。ボランティアとして学んで知識を身につけた人は頭が下がる。
しかし、そうなる可能性は日本でも低い。自分だってかじったが「おはよう」だけだよ覚えている手話は。いまは歌詞に対応した手話を振り付けに入れるとか、えらい試みもあるが、せいぜい子どもたちに「この世には手話というものがある」という印象を残すぐらいで終わるでしょう。
その点、モバイルのディスプレイに表示された文字を読み、こちらが伝えたいことはそのモバイルか、あるいは自前のケータイで文章を書く・・・というスキルは、それこそそのへんの女子中学生でも…「でも」、どころじゃねえ圧倒的に我々より早いレベル。学校では教師どもに、彼女らが講師になって「なんでこんな短文30秒で打てないの? 超ダサイんですけど、マジヤバイんですけど」とか担任の中年教師をいじめることが可能だ。
なんだかんだとキーボードや携帯のキーを打つスキルはみな共通で持っている。日本語の読み書きもできる。
特に、先天性や幼少時の聴覚障害の方が、手話をもともと知識のインプットの源泉としていて、これを切り替えられないという話は一応知識としてはあります。ですが問題は、かなり後年になっての聴覚障害や発声障害です。
この場合、さっきの「手話も一言語」として考えるなら、「日常会話ができるまで手話を学ぶ」のと「スムーズに、高速で文章を表示できるようキーの早打ちを学ぶ」のでは、どちらが楽か?どちらがコストがかからないか?どちらが広い場面で使えて多くの人とコミュニケーションがとれるか? 自分はいずれも後者だと思います。 「ギリシャ語も素晴らしい言葉だけど、英語の方がより広い場面で使えるんじゃない?」というように。 英語でも「貴方はネットを通じたメールのやり取りが主なのだから、英会話の学校に通うより読み書きを磨いたほうが…」といったアドバイスのように。
健常者?側の都合。ポメラは少ない電池で長時間稼働する優秀な機械ですが、年配、平たく言えば老眼の方には見辛い大きさのようです。また返事する際に健常者側に入力させるとなればそっちにも修練が必要です。 #聴覚障害ブレスト >@gryphonjapan @naga_maki.
gendohki2012/05/13 21:15:19
成る程な理由ですが、これは「手話との比較」で考えてください。高齢者の問題も、モバイルが不慣れな人の対応まごつきも現状、手話で話してきた人に同様の対応をする時よりは「よりマシ」ではないかと。その解消に必要なコストも。
gryphonjapan
あなたは講演会の主催者。予算は一人分。「要約筆記者」と「手話通訳」どちらを選ぶ??
「両方呼ぶ」ことができれば一番いいのは大前提です。
■手話通訳
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%8B%E8%A9%B1%E9%80%9A%E8%A8%B3
■要約筆記
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%81%E7%B4%84%E7%AD%86%E8%A8%98
あたかも眼鏡のように。補聴器のように。
自分のツイートから。
アイザック・アシモフのコラムで印象に残っている言葉に「原始時代、狩猟で生活するしかなかった時は、近視は社会の役立たず、無駄飯食いの障碍者だった。しかしメガネというテクノロジーで、今は近視を障碍者扱いする人はいない。だからどんどん最新テクノロジーに頼りなさい」と。 #聴覚障害ブレスト.
gryphonjapan2012/05/13 21:32:51
幼少時から耳が聞こえない人は、手話を第一言語とする
これがさまざまな問題を知ることができて有意義な項目だと思う
■ろう文化
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%8D%E3%81%86%E6%96%87%E5%8C%96
しかし、もっとわかりやすいのが、ろう教育の黎明期の教師を描いた
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聴覚障害の問題に関心・理解の深く、また「感動」「泣かせ」のテクニックというのが決してイヤミでなく、純粋にスキルとして高い山本おさむ氏の、作品の中でも特にすぐれたものであり、分量的にもそんなに長くないから是非読んで欲しいと思う。
その中で、手話教育を重んじる主人公と、口話法(読唇術)を推進するライバルが後半、対立するようになる。
この口話法推進者も、豊かな財産をこの教育推進のために失うほど情熱的、献身的な人で、極めて立派な人だ。だが主人公とライバルは、共に無視、純粋、献身的であるからこそ、その信念に基づいて対立せざるを得ない。ひところ手話教育は、主人公のいる大阪の教育機関などでしかさかんではなく「大阪城は、まだ陥ちぬ」と皮肉られたこともあったとか。その後、手話教育は巻き返したが、それはそれとして、これはI-padもケータイも、影も形も無い時代の物語。
むしろこの作品からは「聴覚障害を補うツールは時代とともに日々進化していく」「つねに最新鋭の技術を」という教訓を読み取りたい。手話は近代がもたらした福音、モダンな新技術だったのだ。
単純化した上での「世界統一手話」の夢
さらに思いついていたSF的議論。手話を縮小した分「火事だ!」「右」「左」「腹減った」など単純な意思疎通限定用語として世界統一。複雑な話はできない分、世界中で単純に手話で通じる。健常者も必須授業に・・とか。 @naga_maki @gendohki #聴覚障害ブレスト.
gryphonjapan2012/05/13 21:09:51
これはそれほど突飛な話ではない。元ネタがある。
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kyuu-adv/suffocation.htm
チョークサイン 窒息を起こし、呼吸ができなくなったことを他の人に知らせる世界共通のサイン
ちなみに、だれがどう見ても下の3枚の画像は余計だと思います(笑)
ものが詰まれば否応無く、人はろう者と同じ状態というかしゃべれなくなるからな。それをポーズ、サインで表現する。そしてそれは世界共通である。・・・もともと身振りというものは、そうしやすいものなのだよね。
というか。理屈としては
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非常口(hijouguchi)や男性用(daiseiyou)女性用(joseiyou)と発音されたときには意味がちんぷんかんぷんな外国人であっても、みなが意味を認識し、英語の人は「男性用、女性用」を foa gentleman,for lady,と変換すればいい。
漢文もそうだな。ショウネンオイヤスクガクナリガタシ と話しかけても分からない ものが、文字を通じてなら違う言語の人がわかる。
そして、上で自分が書いたように、手話がもし、単純なことに関しては世界共通化し、世界のどこでも通じるなら・・・逆に一般の人も使うと便利なスキルとなり、皆が学校で英語と同様に学ぶ。街でも通じるようになる。そうすると結果的に、手話のみしか使えない人も利便もます。
複雑なやり取りはモバイル、単純なやり取りは手話というすみわけができると、逆に何も無くても、機器を取り出さなくてもすぐに始められる・・・などの手話の利点が逆にクローズアップされる。
だが、残念ながら手話は各国別々。まあ残念ながらも何も、手話で複雑な話をすることが必要だった時代、モバイルが無かった時代はそれが必要だったのは当然だ。
もし本当に、「必須用語限定・世界統一手話」が生まれるとしたら「必須な言葉とは何だろう?」を廻って大変な議論や調整が必要だろうが・・・その議論をちょっと見てみたい気がする。
想像だけでも・・・たとえば「その欠陥」の想像であっても・・・言葉や聴覚障害を補う政策、について考えを深める契機になるのではないか。
(了)