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■特集
「歴史に挑む」。☆『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』著者と、
『1976年のアントニオ猪木』著者による、特別ロング対談が実現!
増田俊也氏×柳澤健
「1951年の木村政彦と2012年の柔道」を語り尽くす!
ちょっとこのブログのタイトルは煽りで、対談は終始和やかに進む(笑)
だが、じゃあ巌流島なテイストはないかというと、4段組11ページ(!)の対談において、そういう火花の散るシーンも確かにある。
付録にDVDをつけて、佐藤大輔の煽り映像を入れておくべきであった。
このふたり、対談中の文章によれば、この対談が初対面だったのだそうだが…
このリンクから表現を借りれば、もとより二人は
18世紀の「人力検索はてな」。建部清庵と杉田玄白(「風雲児たち」関連)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20070927#p5
「天涯相隔て、御一面識も御座なく候得共、実に吾党の知己」でありました。
一寸面白い挿話を。
増田 (略)…実は、編集長にも言っていたんですけど、「僕が倒れて死ぬようなことがあったら柳澤さんに連載を書き継いでもらってください。僕の草稿も渡してください」と頼んでいたんです。
http://kanbun.info/keibu/rongo0806.html
「曾子曰く、以て六尺の孤を託すべく…(略)…君子人か、君子人なり。」
(幼い子供を預け、その子の将来を安心して頼める人。(略)──こういう人こそ、ほんとうの人格者といえる)
いや実際にあれだけ心血を注いだ原稿の、いざというときの続編の書き手に指定されていたというだけで、面識の無い柳澤氏を増田氏が、上に書いた<実に吾党の知己>であったと見做していたことがよく分かるではないか。同じ木村政彦に興味を持つライターでも、吉田豪氏にはこの場合頼まんよな(笑)。
柳澤氏も、実は
僕は木村政彦のことをずっと書こうと思っていたので、先を越されて悔しい、という思いはありますけど。こういう本が完成してしかも売れたことはよかった、と心の底から思います。
と。
なぜ二人が、特に増田氏が柳澤氏を認めたかというと、小野安一とか三角絞めとかいろいろ多肢に渡るのだが…こんな一件も。
増田 そうそう。岩釣(※岩釣兼生)先生が「この前アントニオ猪木の本を書きたいっていう人が来たんだよ」って仰っていたことをふと思い出したんです。ああ、そういえば昔言ってたなあって。「1976年のアントニオ猪木」が出版されてから、あ、これだったんだって。
柳澤 間違いなく僕のことですね(笑)。僕は猪木さんの本ではなく、木村政彦のことを書こうと思って岩釣さんにお時間をいただいたんです。そういえばその時、岩釣さんは「名古屋の人が木村先生のことをずいぶん調べてるよ」って教えてくれました。そうか、増田さんのことだったんだ。たった今思い出しました(笑)
うーむ。世に「神保町の決闘」と称される野田昌宏と伊藤典夫の出会いがある。http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080611/p3
また、それより一段進んだ「神保町戦争」と称される井上ひさしと司馬遼太郎の、乃木希典の資料を廻る争奪戦がある。
http://1st.geocities.jp/ica7ea/sr/sr_03.html
井上ひさしがどこかで書いていたが、「しみじみ日本・乃木大将」を書くために、神田の古書店に資料を求めたところ、すでに、「神田の古書街から乃木大将の史料がすべて消え失せた」状態となっていた。古書店のおやじさんの話によると、司馬遼太郎が総ざらえした後だったらしい。
古書の争奪戦もたいへんだが、貴重な証言を得るインタビュー合戦というのも、また本物同士が争うと大変な名勝負となるという一節である。そういえば大槻ケンヂと一番初期のころのkamiproならぬ紙プロも、そういう取材合戦をしたことがあったな。
それが
「清 水 伯 鳳」
をめぐる争奪戦であるということがあれだが(笑)
=================
・大槻 この人がすごいんですよ(本を出す)
・紙プロ んあーーー!この人に、この前インタビューしました!
・大槻 えっ、聞いちゃった?もう? チクショー、僕が話聞こうと思っていたのに!
・紙プロ ええ、そこらへんのつばぜり合いではうちにかなうものはいませんから(笑)
==================
われながら、一緒にすんな(笑)
そして、今お気づきの読者もいるだろうが、このエントリはこれだけ字数を使い、引用しておきながら、ちっとも対談のメインテーマに踏み込んでねぇのである(笑)。
仕方ないんだよ、11ページもある対談で、しかもすべてが興味深い内容なのに一回で書ききれるか!!(逆切れ)
詳細は次回の講釈にて。
はいはい本日は店じまい、飴買って帰った帰った・・・。って紙芝居屋のおじさんか。
しかしそれじゃあなんなので、タイトルにうたった予告編を。
「柔道指導で、大事故を起こした指導者からは黒帯を剥奪せよ」(フランス柔道界の大物の提言)
特に、この「はてなダイアリー」界隈では柔道をはじめとする武道の必修化、それにまつわる安全性の問題に興味を持つ人がいて、ブクマなどでもその記事には言及される数が多い気がする。
そういう方と、ゴン格など格闘技専門メディアの知見や情報をつなげるのが当方の役目だと勝手に思っているのだが、今回、この二人の対談ではその問題についても、実に大きな分量を割いて語られているのだよ。
両方とも一般メディアの知名度もある人だし、
この武道必修化・柔道の安全性の問題に興味のある方は、普段は買わなくてもこの対談のためだけに購入・熟読する価値があるんじゃないか、と真面目に思います。
このブログもそこだけに特化して紹介すれば良かったんですが(笑)、なにせ長くなるのがうちのスタンダードでしてね。
ようやく仮見出しに至る。
いまや柔道の本場はフランスに移行している、という話を柳澤氏が話し、そこでフランスのボルドー大教授、ミシェル・ブルッス(国際柔道連盟メディアコミッショナー・オフィシャルリサーチャー)といろいろ意見を交換しているのです(彼の話題、実は私たちが柳澤さんを囲んでお話を伺ったときにも出ていました)。
んで、彼は講道館にてこのたび、「フランスでの初心者の柔道指導」について講演したのだそうです。あちらは少なくとも、記録上は死亡事故ゼロ。それに講道館がようやく学ぶ姿勢を見せた・・・のはいいとしても、全柔連の上の人は、この講演会をマスコミに対して(むろん柳澤氏に対しても)非公開にした!!!というのだ!!!!
柳澤 …「見たいんですけど」ってまず内々で聞いてみたら「ごめんなさい。全柔連の上の方針でブルッスさんのレクチャーはマスコミには公開しないことになっています」・・・(略)内輪の勉強会にしてしまった。それは大きな問題だという気がするんですよね
┐(-。ー;)┌ヤレヤレ. ┐('д')┌ヤレヤレ. ┐(´-`)┌. ヤレヤレ ┐(´ー`)┌ マイッタネ.
マイッタネ. ┐( -"-)┌ ヤレヤレ... ┐('〜`;)┌. ヤレヤレヽ(~〜~ )ノ.
…・・・もうこの時点で、講道館の安全性向上の、意欲の程度がよくわかりますね。
だけど。
転んでもただでは起きない、柳澤健。こんな重要提言を引き出した。
ブルッスは僕に言いました。
「子供を殺したり、大怪我させたコーチは、十年刑務所に放り込め。黒帯も剥奪しろ。」
その通りだと思います。
講道館は柔道事故を検証して、「こういう暴力は講道館は絶対許しません」と大きな声で言って、コーチの黒帯を剥奪してしまえば、柔道事故はあっという間に激減するはずです。
ふ・・・・・・む。
リベラル派が一般的には眉をひそめ、タカ派が拍手喝采することが多い「厳罰化」だね。でも、柔道指導者がだ、黒帯を剥奪されたら確かにまず指導が(おそらくは)できなくなり、経済的に困窮化するし、また自分の意識の中でも「黒帯」はアイデンティティを占めていると思われる。ムチャな指導や不作為で大事故が起きたら、その黒帯が剥奪される。またそれが記録に残り、不名誉が長く伝えられる・・・
これが指導に慎重さ、丁寧さを促し、事故も減らせる、ということはありえそうである。
黒帯の剥奪制度自体は存在しているらしい。
柳澤 オウム真理教の麻原彰晃の段位を剥奪したのであれば、深刻な柔道事故を起こしたコーチの段位も剥奪してほしい。講道館がそういう毅然とした態度に出れば、それだけで絶対に事故は激減します。
たしかにそんな報道、あったような気がするな。
ああウィキペディアの「麻原彰晃」にもその記述がある。
それではまずこのへんで。
次に気力が充実したら、この対談での「武道必修化」「講道館の諸問題」「裏柔道史」などについてを紹介しましょう。もしくは、だれかが、代わりにやって・・・。

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