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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

完璧な”勝ち逃げ”をした男の暴露本・・・「須藤元気のつくり方」

須藤元気のつくり方

須藤元気のつくり方

「格闘家・須藤元気」とは何だったのか?
マルチな才能を発揮する男の「原点」を辿る半生記。心に多くの葛藤を抱えながら、突然「世界最強」を志した少年時代。
レスリングで実績を残すうちに出会った、総合格闘技という目標。米国で修業し、「逆輸入ファイター」としてプロデビュー。
K-1でブレイクし、UFC、HERO`Sでも活躍、そして2006年大晦日に早すぎる引退……。
須藤元気にとって格闘技とは何だったのか、そこから得た人生の「気づき」とは何なのか、縦横無尽に語り尽くす。

これは事実談であり・・・  
       この男は実在する!!!

という、梶原一騎が「空手バカ一代」冒頭に書いたフレーズが、一番似合うのはこの人しかいない。

実際、この人の経歴を考えると、トータルでプラスを得まくりなのだ。
適宜ウィキペディアの「須藤元気」を見ながら、あらためて自分がピックアップするなら・・・

・学生時代のレスリングでは、短大1年で全日本ジュニア優勝
・平行してやっていた週末の手作りアクセサリー販売で月30万円の売り上げ
・日本の団体に入団しての「下積み」を避けるため、団体と繋がりのある外国人選手のジムに留学して入会。そこから逆輸入デビューするという作戦が大当たりでパンクラスのネオブラッドトーナメント出場枠を得る。3位。デビュー戦からの派手な入場パフォーマンスも、反対されながらも強行しトレードマークに。
パンクラス時代には東京ドームの「コロシアム2000」に出場。ネイサン・マーコートに一本勝ち。宇野薫グラップリング試合で勝利。
・リングスで2連勝、無敗。
UFCで、日本人としてはごく少数派の複数参戦・勝ち越し結果(2勝1敗)。負けも未だに「疑惑の判定」として語られる惜しい試合。
K-1MAXでは小比類巻ナントカ(当時の名前忘れた)に逆転負けを喫するも、ダウンを奪うなど評価を高めまくり。その翌日には映画の重要な役のオファー(狂気の桜)。
・K-1Dynamite!では、ミノワマンに先駆けて元祖・巨漢とのフリークマッチ(vsバタービーン)を実現。見事に一本勝ち。
グレイシー(ホイラー)からも勝利する。
・HERO'Sトーナメントでは準優勝に留まるものの、宮田和幸高谷裕之という、今では優勝者の山本KID徳郁より評価の高いファイターに一本で完勝。
・MMA16勝5敗で引退。現在目立った後遺症はなし。
・引退後に書いた本は20万部近いベストセラー。
・拓大レスリング部監督に就任するや、同部は2年で4冠獲得。最優秀監督賞5度。世界選手権で日本代表監督就任
ダンスユニット「WORLD ORDER」が世界的に評価される。


このジャンルを馬鹿にしているわけじゃないが…ラノベの主人公かっ、おまえは!!
これらの栄光を、一つだけでも得たいと思っている人が何人いたことか、いることか。
あるものはそこを目指しても途中で敗れてたどり着けず、
またあるものは、そもそも目指す舞台がいまは無くなった(笑)

表題の「勝ち逃げ」は上の須藤元気の歩みをみたら自然と出てくる表現だが、読み直すと同書にも出てくる。

先日、試合の解説で会場を訪れたとき、ある選手と立ち話をする機会があった。僕が現在行っている”WORLD ORDER”の活動について話すと、彼はこんなことをこぼした。
「・・・元気くんは、うまく勝ち逃げしたよね」

最初、元気は意味が分からなかったらしんだが、意味もなにもそのまんまだよ(笑)。

ただ、彼自身も、トータルでは上のように完璧といっていい成功を収めながらも、パンクラスの離脱や交通事故、K-1の判定への不満などなどの悩みや挫折を経ての歩みだという。また、日本デビュー戦では友人を動員しつつ、応援団ではなく会場全体からの人気のように見せかける為にわざとその友人を分散配置するなどの狡猾…いや綿密な戦略を立てていたという。


そしてそれぞれの場所での、格闘技人生の回想があるのだが・・・それが期せずして、表題のような「暴露本」的意味合いになっているのだが…上の「いかに元気は成功してきたか」一覧を書いたら疲れたんで、この部分はいいや(笑)。

というのは、今回この記事を書いているのは明日23日に発売される、

GONG(ゴング)格闘技2012年4月号

GONG(ゴング)格闘技2012年4月号

  • 発売日: 2012/02/23
  • メディア: 雑誌
の中で、予定通りなら吉田豪氏が「書評の星座」の中で同書を取り上げるはずなのだ。珍しく前々号で、取り上げる本の次回予告をしていたのだが、真樹日佐夫氏の急逝で追悼記事に差し替えとなっていた。そのスライドになるはずということ。
だから、内容では見劣りするから一応先回りだけはしておこう…というのが執筆動機だが、まあ詳しくはそっちを読んでください、ということだ。
 
もちろん書評の面白さで吉田氏と自分を比較しようなんて気は毛筋の先ほども無い。絶対無いのだが…だが、当方も「NHBニュース」の管理と投稿を無駄に長くやっている。
 
ある格闘技単行本の記述、雑誌記事、インタビューのやり取り、ブログに寄せられたコメント…の中から「ああ、この部分がニュース価値があるな」「全体の流れではスルーされそうだけど、ここをピックアップして強調したら注目を集めるだろうな」という点を切り抜くという一点では、吉田氏にもちろん及ばないものの、かなり興味の持ち方それ自体は共通している・・・と身の程知らずにもいう。
同じムックや単行本を読んで、その上で「書評の星座」に取り上げられた際の記事を読むと「やっぱり、ここに食いつきますか!それ同感!」とうなずくことのほうが多いからね。


今回でいうと、高校大学時代は置いておいて
パンクラスでのトレーニング風景、先輩たちとのやり取り
パン離脱の経緯と「幻のPRIDE参戦」
菊田早苗
K-1の判定をめぐる疑問と、バックステージでの風景

などに焦点が当たることになるだろう。特に最後とか。

その年のK-1MAX優勝者のアルバート・クラウスと戦った。実はこの試合については、自分がなぜ負けたのかわからなかった。映像を見直してもほとんど攻撃をもらっていないのだ。しかし結果は…(略)
あの試合後、僕は「判定になったとき誰が勝つか決まっているのでは」と感じはじえmた・・・もちろん、僕の想像にすぎない(略)…ただ、八百長なんて物理的に可能だし簡単だということは確かだ。(※元気はここで、恣意的な判定を下すことで主催者の希望にそった勝者を作ることも「八百長」と表現しているよう)
(略)…言えるのは、K-1の判定は明らかに変であった…HIROYA選手が負けそうになったとき舞台裏ではスタッフが「やばい、やばい。負けてるよ」・・・(略)変な判定でHIROYA選手が勝ったが、スタッフが安堵しながらも・・・(略)

ある選手は身内が亡くなったのを試合の煽りのネタにしたいと相談された。もちろんその選手は断ったという。しかしADが家まで来て泣きながら「僕の身内も死にまして」と土下座・・・(略)・・・「あれで佐藤(嘉洋)選手が勝っていたらK-1は潰れていました」と業界のお偉い方が試合後のパーティーで堂々と・・・

この本は佐藤嘉洋本人も読んでいて、それへのtwitterでの反応のひとつ

ちなみに魔裟斗戦の翌日、渋谷のスクランブル交差点にわざと立たされて、私に気付く人が何人か数えられていたのを告白しよう。そして「魔裟斗やKIDなら人だかりができる。これが今のあなたの現実だ。あなたにはスター性がない。もっとスター性を身につけろ」と言われた

yoshiHEROsato 2012/01/07 12:29:25 .....

この一連の書き込みは

■「2012年1月の青木真也」 (togetter)
http://togetter.com/li/239807

にゲスト収録しています。