わたくしが読んだ中では
・ゴルゴ13
・創竜伝
に、ロックフェラーやロスチャイルドに擬した、「世界を支配するグローバル巨大資本」がまず悪役として登場、「しかし世界にはそれに対抗するもうひとつの巨大資本があった!!!」てな感じで敵の敵は味方、みたいな主人公のサポート役として華僑の大資本が登場します。
http://golgo.blog.ocn.ne.jp/blog13/2007/04/631_f405.html
- 作者: さいとうたかを
- 出版社/メーカー: リイド社
- 発売日: 1987/03/01
- メディア: コミック
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ゴルゴは、ロックフォードの力が及ばないのは中国だけだと知らされる。ゴルゴは華僑の頂点にいる「黄疆孫」を訪ねると、奇しくも黄から「デビッド・ロックフォード」殺害の依頼を受ける。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~hon-musi/takarabako94.html
- 作者: 田中芳樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/08/02
- メディア: 文庫
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ホテルを後にした時、4兄弟の祖父の親友の中国人(黄大人)が、彼らをサンフランシスコのチャイナタウンに匿います。もちろん、四人姉妹はすぐに追跡を開始し、とうとうサンフランシスコを舞台にして、ドラゴンたちの攻撃が始まったのでした。
それ以外にも手塚治虫「きりひと讃歌」雁屋哲原作「美味しんぼ」などに「中国系のお金持ち」が登場するのだが、日本は比較的華僑が目立たないことなどもあり、どこまで「世界を牛耳る華僑資本」的な描写がリアリティに富んでいるのかわからない。
漫画として、どこまでリアルな国際情勢解説になっているのか、それとも「落合信彦の正統後継者」なのか、という「勇午」シリーズは今現在、台湾が舞台なのですが。勇午といま闘う(交渉している)のがまさにその、グローバルな巨大華僑資本。
それも、そのグループの目的が非常に複雑で…リーダーは香港に基盤を置いているのですが
・香港は、このままだと完全に大陸の中共政権に支配される。やはり北京は信用できず、そのとき資本の安全は保てない。
・だから、台湾を独立国家にして、華僑資本の安全と安定を保つ拠点にしたい。
・そのためには一度、いまの台湾を国家的に破産させ、そこに乗り込んでいく。
・わたしたち(グローバル華僑資本)なら、破綻した台湾をそっくり”買い取れる”。そして北京ともすでに話を付けており、平和的に独立できる。
まあ漫画だし、こういう大構想が現実から離れた、とっぴなSF的想像力の賜物であっても何の不思議も問題もない。日本沈没や首都消失のように、大胆な「ありえない」想像が、リアルな社会の問題に光を当てることだってある。
しかしながら「グローバルなネットワークを持つ、中国(中華系)の大資本」というものの”実体”がよく分からん中で、「まあやつらを登場させれば話が展開できる」と安易に使われていくとどーなんかなーと。それはポリティカルスリラーの原作者もそうだし、ハッタリの興行師たちもそうだ(笑)。
「実は金持ち規模は、ドンキホーテの創業社長と同じぐらい」と言われたら感心していいのか失望していいのか。
探偵小説発足時、「アンフェアなことはしちゃだめだよ!」というルールのひとつだったノックスの十戒には
http://www5e.biglobe.ne.jp/~t-azuma/omake.htm
「5.中国人を登場させてはいけない。」というトンデモナイ条項が存在するが、ノックスが言いたかったのは当時、中国(人)は神秘の技法をいろいろ持っていると思われていたので
「犯人はどうやって密室から脱出したんだ?」
「どうやって被害者に気づかれずに毒を盛ったんだ?」
といった問いに
「ワトソン君、中国人の神秘の秘術だよ」といって説明したことにしちゃう…というのは無しよ、という意味だったという。
世界を牛耳る0r悪のユダヤ財閥と対決する大華僑資本……頭からダメだということもないが、もちっとリアルな部分を組みこまないかんかも。そして受け手の我々も、フィクションをより愉しむためにも、現実のグローバル華僑資本に対してもっと知識をもたないといけないなァ…と思ったりします。