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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

楽しさと教育を優先し「先発はじゃんけんで、GKは志願者に」というチームが決勝まで勝ち進んで…あるtogetterから

■テツヲさんと、ある少年サッカーチームの話
http://togetter.com/li/184443

という話。書き手はフォロー者710人(2日現在)の、市井のかただが、書かれたツイートをまとめたこのtogetterは、ひとつの短編ノンフィクションとして実に完成度が高い。
テーマはこの記事のタイトルに無理やり盛り込んでいるが、

・・・クラブチームとは違い、心身の成長や仲間意識、団体行動などを身につける場として、何よりもサッカーを好きになってくれることを目的とした団の方針が気に入ったから承諾したので、その通りに実践した。

「あのコーチはいつも試合の先発メンバーをじゃんけんで決めているが、本気で勝つ気があるのか。子供たちは勝つことが励みになり、サッカーを続けていこうという気持ちを強くするものなのだ」と。判らなくもないが、公平な出場は譲らなかった。

ある時、転校生の男の子が入団してきた。ケンシロウという小さな小さなその子……技術の差に加え発育も遅めの体であることもあり、まともにプレーする事は難しく試合に出させても端っこで…

……我がチームは勝てば優勝という好機を迎えていた。緊張感に満ちた父兄らが背後で見つめる中、僕がいつものように「はい、先発じゃんけんするよー!最初はグー!」と言った時に背後から「え…」というようなざわめきが…(略)…「はい、GKやりたいひとー?」周りを見渡す子ら。しばしの沈黙のあと、ケンシロウが手を挙げた。GKなどした事もなく・・・…

さあどうする、というお話であります。
自分に漫画を描く技術が無いのが非常に残念。あれば漫画化したいところだ。
(いや あることはあるけどさ。ちょっとスタイルが違うというか

ただ、こうやって紹介しているのはストーリー・テリングが優れているというだけではありまへん。
この指導者の判断はすべて正しい。間違っているところなどひとつも無い。
しかし、この正反対の判断とポリシーをもってチームを運営する指導者も、また(やり方にもよるが)間違いとは全く言えないと思うからだ。
 
すべては能力次第。チームの勝利にどう貢献するか。勝つことを目指し、優秀な選手は出られる。能力が足りない選手は出られない。
出たいのならがんばって練習しろ。そして考えて、工夫して強くなれ。
その競争の中から、真の相互の尊敬と友情も生まれる。

これが間違いなスポーツもまた、無いだろう。

おいらの画像倉庫から今引き出せないが(例によって書棚の所在不明)
おおきく振りかぶって」1巻には女性監督の
「本気でやった人間だけが、本当に野球を楽しめるんだよ!」みたいなセリフがあるし、
スラムダンク」ではキャプテンのゴリこと赤木が本気になればなるほど、「おれは楽しくやりたかったんだ…」と退部する仲間が出るという話があった。
「柔道部物語」では、発奮してもっと厳しい練習を!とお願いした部員に、顧問のほうが「今のままでも十分じゃないか?楽しくやったほうがいいんじゃないか?」「おれが本気を出すと つらいぞ…」と念を押す場面がある。
帯をギュッとね!」「やったろうじゃん!」も。
いま連載中の「ふでかげ」も。
枚挙に暇が無いな。
練習がハードという意味の厳しさなら、まだついていく子が正義でついていけない人が脱落者、的に扱えるが、誰もが一生懸命やっているのに、レギュラー・先発の選定という形で、誰かが落とされ誰かが残るという意味での「厳しさ」は、また別の意味がある。
これを大きく描いたのが

だ(※これは短編集なので、全体を通したテーマではない。そういうテーマの回があるということ)


おそらくは、これらが「教育の一環」だと見るなら、相手によって判断が違う…というかスタンスが正反対になることも、ままあるのだろう。
http://www.chonmage-eigojuku.com/magetan/rongo11.html


子路(しろ)が尋ねました、
「指示を聞いたらすぐに実行すべきでしょうか?」
孔子は、
「父親や年長者がいるだろう、まず彼らの意見を聞きなさい。」
と答えられました。次に冉有(ぜんゆう)が尋ねました、
「指示を聞いたらすぐに実行すべきでしょうか?」
孔子は、
「すぐに実行しなさい。」
と答えられました。
これを聞いていた公西華(こうせいか)が困惑した様子で、
「二人とも同じ質問をしているのに、先生は別々の答えをなさっています。どうしてでしょうか?」
と尋ねたところ、孔子は、
冉有は引っ込み思案だからうながしてやった。子路は積極的すぎる面があるから抑制してやったのだ。」
と答えられました。

どこにもマニュアルや注意書がない中で、ある振る舞いが「毒」か「薬」かを瞬時に見分ける。教育というのはなかなか簡単にいくものではなく、おそろしいものだ。
だから立川談志

「どうやったら俺が喜ぶか、それだけ考えてろ。患うほど気を遣え。お前は俺に惚れて落語家になったんだろう。本気で惚れてる相手なら死ぬ気で尽くせ。サシでつきあって相手を喜ばせられないような奴が何百人という客を満足させられるわけがねェ」


形式は優先しないのです。俺にヨイショする暇があるのなら本の一冊でも読め、映画の一本も観ろ

赤めだか

赤めだか

というのも、その時々での正解であるのだろう、

はっ!??
では、前田日明

(⇒青木真也)「大晦日に家族団欒で格闘技観ようといってさ、腕の骨折らせてどうすんの」
 
(⇒宮田和幸)「どさくさにまぎれて脚を折ったりとか手折ったりする面白い技がいっぱいあるから、そっち教えてやるからそっちやれって」
※同じ雑誌の同じインタビューです。

も、孔子のような深い教育的観点からのものだったのか!!!!!!
た ぶ ん。
前田は、論語の朗読テープとかもむかし作ってたな。

闘う為の論語~ブレードランナー世代のこどもたちへ

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最初のtogetterに戻ると

読んでもらって感想を聞きたい人が3人。
水道橋博士@s_hakase、遠藤浩輝@hiroki_endo、増田俊也@MasudaToshinari の3氏である。子どもの親として、また「スポーツ」「競争」に臨む人たちを近くで見ていた、描いた、体験した人として。