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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「正当性」が正統性を超えた例…が北条泰時の「御成敗式目」だった

正統性と正当性についてちと余談。
あっしがこの二つの用語を初めて知ったのが山本七平北条泰時と「御成敗式目」を論じた本だったと思うが、氏は「北条泰時という人物は、もっと日本史の中で注目されていい存在だ」という。というのは彼こそ、日本で実質的な”革命”を起こした人であり、しかもその革命が鮮やか過ぎ、革命に付き物の抵抗がなく、後世の歴史からも「革命万歳」とか「正当政府に逆らった反逆者め」とかの賞賛・非難を受けることも無かったがゆえに注目されない…というのだ。

もちろん革命の一番派手な部分は、旧体制の(実質的な)エンペラーである後鳥羽上皇打倒の革命戦争に勝利し、エンペラーを追放・幽閉した軍事的成果にあるが、その後、「御成敗式目」の公布によって立法権をも彼は旧政権から奪取した。
革命なれり!!
だが、その法の制定と公布の正統性について聞かれると…「いやまあ、常識ですよふつうの。その常識を念のためにメモしたようなもんでね、ははは」で終わらせちゃった。京都朝廷の律令ももちろん尊重と口ではいう。口だけは(笑)

さてこの式目をつくられ候事は,……たゞどうりのおすところを記され候ものなり。……かねて御成敗の躰を定めて,人の高下を論ぜず,偏頗なく裁定せられ候はんために,子細記録しをかれ候ものなり。……武家の人へのはからひのためばかりに候。これによりて京都の御沙汰,律令のおきて,聊かもあらたまるべきにあらず候也……

しかし「道理」「常識」に沿った人格者が、けっこう混沌の中ではそのまま押し上げられ、最後の覇権を握ることもあると。
とまあ修斗騒動につなげておしまい。
「革命家としての北条泰時」についてはこちらもどうぞ
また、

日本的革命の哲学 (NON SELECT 日本人を動かす原理 その 1)

日本的革命の哲学 (NON SELECT 日本人を動かす原理 その 1)

という本もあります。