正統性と正当性についてちと余談。
あっしがこの二つの用語を初めて知ったのが山本七平が北条泰時と「御成敗式目」を論じた本だったと思うが、氏は「北条泰時という人物は、もっと日本史の中で注目されていい存在だ」という。というのは彼こそ、日本で実質的な”革命”を起こした人であり、しかもその革命が鮮やか過ぎ、革命に付き物の抵抗がなく、後世の歴史からも「革命万歳」とか「正当政府に逆らった反逆者め」とかの賞賛・非難を受けることも無かったがゆえに注目されない…というのだ。
もちろん革命の一番派手な部分は、旧体制の(実質的な)エンペラーである後鳥羽上皇打倒の革命戦争に勝利し、エンペラーを追放・幽閉した軍事的成果にあるが、その後、「御成敗式目」の公布によって立法権をも彼は旧政権から奪取した。
革命なれり!!
だが、その法の制定と公布の正統性について聞かれると…「いやまあ、常識ですよふつうの。その常識を念のためにメモしたようなもんでね、ははは」で終わらせちゃった。京都朝廷の律令ももちろん尊重と口ではいう。口だけは(笑)
さてこの式目をつくられ候事は,……たゞどうりのおすところを記され候ものなり。……かねて御成敗の躰を定めて,人の高下を論ぜず,偏頗なく裁定せられ候はんために,子細記録しをかれ候ものなり。……武家の人へのはからひのためばかりに候。これによりて京都の御沙汰,律令のおきて,聊かもあらたまるべきにあらず候也……
しかし「道理」「常識」に沿った人格者が、けっこう混沌の中ではそのまま押し上げられ、最後の覇権を握ることもあると。
とまあ修斗騒動につなげておしまい。
「革命家としての北条泰時」についてはこちらもどうぞ。
また、
日本的革命の哲学 (NON SELECT 日本人を動かす原理 その 1)
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