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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

パキスタンの「預言者冒涜」問題、閣僚暗殺にまで発展

3月2日の話だが、本来は世界的に大反響が巻き起こってもいい話題なのにとくに日本ではなじみの無い問題ゆえ、扱いはそれほどでもなかった。
資料が無くなる前に記録を保存。

http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20110304k0000m030067000c.html

パキスタンキリスト教徒の閣僚射殺 宗教議論を封じ込め
 
 【ニューデリー杉尾直哉】パキスタンキリスト教徒で、少数民族相を務めるシャバズ・バッティ氏(42)が2日、首都イスラマバード市内を車で移動中、武装勢力の銃撃を受けて死亡した。犯行声明によると、「イスラム教の預言者ムハンマドマホメット)を冒とくした者は死刑」と定めた国内法の改正を同氏が訴えていたのが動機だ。同国では同じ理由で今年1月にリベラル派の州知事が自分の警護官に殺害される事件も起きている。国民の95%以上がイスラム教徒のパキスタンでは、イスラム急進派の伸長を背景に、宗教を巡る議論が暴力で封じられる傾向が強まっている。

 武装勢力が潜むパキスタンは、米国主導のアフガン戦争のもう一つの主戦場だ。だが、急激なイスラム意識の高まりは、米国が「対テロ戦」への協力を得る上で大きな支障となっている。

 AP通信によると、殺害現場には、国際テロ組織アルカイダと、地元の組織「パキスタンタリバン運動」の犯行声明がまかれていた。バッティ氏を「異教徒」と非難し、同様の主張をする者の殺害を予告した。

 同国では昨年11月、キリスト教徒の女性が預言者冒とく罪で死刑判決を受けた。女性が住むパンジャブ州のサルマン・タシール知事(66)は、冒とく罪を「黒い法律」と呼んで廃止を訴えたが、今年1月4日に反発した警護官に射殺された。警護官は、急進派から「英雄」とたたえられ、一般市民の間でも「知事の不適切発言が問題」との声が広がった。

 バッティ少数民族相は、タシール知事殺害後も「法改正」を訴え続け、武装勢力から殺害の脅しを受けていたという。知事殺害後、バッティ氏は警護官の護衛を拒否し、この日も運転手と2人だけで出かけていた。

 オバマ米大統領は、バッティ氏が「言論・信教の自由という普遍的価値の犠牲になった」との声明を出し、殺害を非難した。ローマ法王庁や、英国教会、潘基文(バン・キムン)国連事務総長も相次いで非難声明を出した。

 だが、パキスタン国内では、国民の2%以下のキリスト教徒が猛反発したのが目立つくらいで、多くの政治家やイスラム教指導者らは沈黙している。「宗教を語るのは危険を伴う」(政治アナリスト)からだ。

 ザルダリ大統領とギラニ首相は事件を非難し、宗教的少数派の代弁者だったバッティ氏をたたえたが、国民の反発を恐れ、欧米諸国が求める「冒とく罪廃止」には応じない方針だ。