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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

オオトカゲが凶暴化し、村を襲う(毎日新聞)

http://mainichi.jp/select/world/news/20110117ddm012030057000c.html

インドネシア:村襲うオオトカゲ 「餌付け」やめ、崩れた共存−−コモド
 
 世界最大級のトカゲ、コモドオオトカゲが唯一生息するインドネシア東部のコモド国立公園で、人間や家畜がオオトカゲに襲われる事件が続発している。政府が「人間との共存」をうたう生息地で何が起きているのか。現地に入った。【リンチャ村、コモド村(インドネシア・東ヌサトゥンガラ州)で佐藤賢二郎】

 「コモド(オオトカゲのインドネシア語名)が歩いた跡です」。人口約900人のリンチャ村。ムフタル村長(45)は小学校横の砂の上に残る曲線を指さし、「いつ子供が襲われるか心配だ」と語った。約30メートル先の斜面にはオオトカゲの巣穴があった。リンチャ島と近くの小島ではこの2年間で計4人が襲われ、1人が死亡している。

 村の古老、サマイラさん(76)によると、オオトカゲが村に出没し、人間や家畜を襲うようになった契機は90年。「オオトカゲの主食である野生のシカやイノシシなどが減少するから」と、政府が住民の狩猟を全面禁止したことだという。

 オオトカゲについて、生息地の住民は同じ祖先から生まれた「兄弟」と信じて殺生を禁じ、手厚く保護してきた。かつて海での漁とシカ猟が主な収入源で、森の中で解体したシカ肉の一部をオオトカゲに残す「餌付け」の慣習があった。これがオオトカゲを集落から遠ざけ、結果的に「すみ分け」ができていたと住民は考えている。
 ◇飢えて家畜や人狙う

 しかし禁猟により、人間が残すシカ肉に依存していた一部のオオトカゲが飢え、容易に捕まえられる家畜のヤギを狙って村に下り、人も襲うようになったという。古くから続く人間とオオトカゲの共存関係を無視した政府の「保護策」が、裏目に出た結果というわけだ。

 リンチャ村には今もほぼ毎日、ヤギを狙うオオトカゲが現れ、昨年12月中旬には同時に6頭がヤギを襲った。「本来は臆病だったコモドを攻撃的に変えてしまった」とサマイラさん。身長130センチほどの男の子を示し「一口で食べてしまうよ」と真顔で言った。

 実際に子供が犠牲になる事件が07年、人口約1400人のコモド村で起きた。草むらで用便中に狙われたマンスール君(当時9歳)の母ハビバさん(30)は「村はずれに行かないよう注意していたのに」と、1枚だけ残る、遺体となった息子の写真を手に語った。

 コモド村でも禁猟後、村にオオトカゲが出没するようになったという。アダムス村長(45)によると村は00年、オオトカゲの襲来を防ぐため、シカ肉などをオオトカゲに与えるよう国立公園側に提案したが、反応はなかった。村を守るフェンスの設置も求めたが、「コモドを閉じ込めるようで好ましくない」と拒絶されたという。「我々は先祖伝来の知恵でコモドと共存してきたが、無知な規制がすべてを破壊した」とアダムスさんは憤る。

 こうした住民側の主張に国立公園や地元政府の関係者は「事故は住民とオオトカゲが互いの領域に誤って入った時にだけ、偶発的に起きている」と強調し、禁猟の影響を否定する。地元環境NGOの関係者は「国立公園になる前、コモドを守ってきたのは住民たちだ。餌付けが人間や家畜をコモドから守るために有効ならば、ルールを作って実施すべきだ」と話す。

 国立公園によると74年以降、生息地全体で計5人が死亡、13人が負傷した。うち14件はシカ猟が禁止された90年以降に発生。記録に残っていない事故もあり、犠牲者はもっと多いと住民たちは主張している。
 ◇観光政策の恩恵なし

 インドネシア政府は、コモド国立公園をボロブドゥール遺跡(ジャワ島中部の世界最大級の仏教遺跡)やバリ島と並ぶ国際的観光地に育てたい考えだ。全世界対象のインターネット投票で今年決定される「新・世界七不思議」の候補地にも選ばれている。

 観光客数は増加傾向にあり、昨年初めて年間4万人を突破した。しかし、生息地の住民の多くは「恩恵はほとんどない」と不満を募らせている。

 コモド村は80年に政府が生息地一帯を国立公園に指定する前、オオトカゲ観光の拠点だった。多くの観光客が訪れ、ガイド料収入で潤った。だが、80年以降は管理体制の整備が進み、観光客は村を素通りするようになった。政府はその後、観光収入の一部を村に還元すると約束したが、アダムス村長によると、いまだに果たされていないという。国立公園のススティヨ園長は「生態系を守ることが観光客の増加、ひいては住民の生活改善につながる」と強調し、「世界唯一のコモドのため、住民がある程度の変化を強いられるのはやむを得ない」と話す。

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 ■ことば
 ◇コモドオオトカゲ
 ◇体長3メートル

 体長3メートル、体重100キロを超す世界最大級のトカゲ。速い潮流に囲まれたコモド、リンチャ両島と周辺の小島に生息。91年にユネスコ世界自然遺産に登録された。登録時に推定約5700頭だった生息数は現在2550頭に減少、絶滅危惧種に指定されている。

コモドオオトカゲはこどものみかただと思ったのに。