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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

伝説の名作「俺節」(土田世紀)が太田出版から新装版で復刊

これもクイックジャパンで。版元が同じなのでパブリシティもかねているのでしょうが、そういうわけで名作「俺節」が復刊となるのは目出度い。

定本 俺節 上

定本 俺節 上

定本 俺節 中

定本 俺節 中

下巻の発売は2011年かな?

すべての希望と絶望を包み込み、湧き上がる永遠の演歌魂(うたごころ)。
今こそ必読!土田世紀伝説の作品が「定本」となって蘇る!
気弱でアガリ症の主人公・海鹿耕治(あしかこうじ)は、高校卒業を間近にして、演歌歌手を目指して単身上京することを決意する・・・・・・。流れ着いた果てに彼が歌に託すものとは?!
 
新井英樹「東北! 演歌! ロック! はぐれ者! 泥くさい純情! 愚直な叫び! 実感できるだけの成功、幸福! 土田世紀! だから信用できるんだ!」
 
日本橋ヨヲコ土田世紀ですか? 私にとって、でっかい虹のような人です」

田舎から上京してきた主人公は、いまだに飲み屋で流しのギターをやっているが実力は本物の師匠や、「おまえは歌、俺はギター。一緒にてっぺん目指そうぜ」とコンビを組む相棒。北島三郎がモデルの圓歌の超大物、ロックから演歌に転向したライバル。のちに同棲する不法滞在の女性……などと出会い、分かれていく。そこに名作演歌が絡んでいく−−−というストーリーだ。
今回のクイックジャパン記事では「ビッグコミックスピリッツの連載時はずーーーっと人気は最下位つづきだった」と作者は苦笑するが、しかしドラマチックに描くこの出会いと別れは、単なる人情ものではない、怒涛の迫力が確かにある、

演歌を自らの教養に!そのテキストになる

著作権料のの支払い大変だったろうな、とこっちが思うほど、既存の名作演歌を場面場面で引用している。
「演歌」になじみがある世代が、今再生産されているとはたぶん言いがたい。いろんなジャンルに共通の課題だが、若い世代がどんどん参入するジャンルなのか、あるときのブームの世代がそのまま年を取っていくジャンルなのか・・・そういう点があるでしょうが、演歌は後者かもしれない。

そして今からフェイバリット・ソングとして演歌をヘビーに聴く、というふうになる必要はないが、せっかくある時期に大きく育ったジャンルなのだから、ここのベストオブベストは、やはり宝石のように光るすばらしいものでありえる。
ひとつの「教養」として、その演歌の宝石、を聴いてみるのも悪くないし、1、2曲は持ち歌にするのも何かと役立つかもしれない。
あるシチュエーションの中で、名作演歌の歌詞を紹介するこの作品は、演歌の初級の手引書に十分なりえる。実際、私はこの作品に導かれてかなりの演歌を知ったし、実際に聞いたり歌ったりできるようにもなった。

この作品中に出る歌のリストがネットにないかな?と思ったら一般的なのは無かったな。自分で作ればよかった。
ただ、アマゾンを応用して作られたリストはある。
http://www.amazon.co.jp/lm/25Z23CW2PW9M8
この製作者の「俺節」作品レビューがとても熱いので、紹介したい。
http://www.amazon.co.jp/dp/4091826717

【しんのじ”軍曹”】
ばあちゃんと暮らした青森の小さな港町をひとり離れ、《演歌の星》をめざし七転八倒しつつ激走するコージの、絶望的なまでにみじめで(氷川きよしのようなわけにはいかず…)、けれど瞬間に輝いている、そんな青春の軌跡を描く『スピリッツ』連載作品。

他の土田作品の中にも絶版になっているものはあるのだが、これの場合、まがりなりにも9巻まで続いたにもかかわらず、かなり早い段階で入手が困難な状態になってしまったところが、異色というか異常であった。前半分の巻をバラで入手するのは比較的容易なようだが、全巻揃った状態のものを、しかも一度に手に入れるのは、プレミアがついている場合も多く、なかなか難しいのだ(逆にいうと、それだけ手放す人が少ない、ともいえる)。

それにしても、これをマンガ喫茶で何気なく手にして、はじめて読んだ時の衝撃と感動は忘れられない。ふだん演歌なんて見向きもしないような人でも、きっとこれを読んだら、誰かの何かしらを聴きたくなっている自分に気づくのではないだろうか。
まずは騙されたと思って、機会があったらこの第1巻だけでもぜひ、読んでみてほしい。

なお、題字は、―きわめて似た外見の、コージの人生にも少なからず影響を与える重要な登場人物、映像作品ではなくコミック自体の主題歌『俺節』のプロデュースと作曲を担当(作詞は土田世紀自身)など、通り一遍でなく、この作品に関わった―北島三郎である。

追記:2010年10月、『定本 俺節 上』として、待望の復刊がかないました(全3巻の予定。最終巻の下巻には描きおろし自伝漫画が収録されるとのこと)。

ここに出てくる歌で、俺が勝手に選ぶベスト。





くしくも昨日は星野哲郎氏の葬式があり、ワイドショーで故星野氏作詞の名曲が多数紹介されている。そこから調べてみるのもいいかも。
俺節」ではこの歌とかが紹介されている。