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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

評論家・浅羽通明が「涼宮ハルヒの憂鬱」を論じたよ(メールマガジン「流行神」)

いまだに紙で、郵送でやってくるメールマガジン流行神(はやりがみ)」を。評論家で「見えない大学本舗」を主催する浅羽通明氏が出していることは以前何度も書いた(このブログのタイトルはそのパロディ)。
 
今回ひさびさに最新版が届いたのだが。何のスイッチが入ったやら計7枚(A4裏表に小さい活字でぎっしり、と思いねえ)の今回分のほとんどを費やして「涼宮ハルヒ」シリーズを論じている(笑)。「SF仕掛けの赤い糸」という3章仕立ての大論文と、その他に派生の書評や小論文もあるのだからね。
もともと氏はSF畑の人であり、SFについて語るとけっこう長いのだが、それにしても、「流行神」内でもけっこう異例の分量だと思う。

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

前座として、自分が読んでみた「ハルヒ」感想

今までだったら内容を知らないままで読むはめになったのだが、何と幸運なことにほんの2週間ほど前、最初の巻である「涼宮ハルヒの憂鬱」と、その次の…タイトル失念、映画をSOS団が撮影するという話を読みました。
ただ、自分の読み方は特殊もいいところです。
このブログを昔から読んでいる人は、こうやって読む前から断片的な知識だけで「涼宮ハルヒってのは、21世紀バージョンの『女鳥坂さん』じゃないか?この作品は今現在の青少年のための『究極超人あ〜る』なんじゃないか?」という仮説…これを参照

■弊衣破帽のバンカラ→ 「むわーかして!」→「ただの人間に…」の系譜
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090116#p4

そういう仮説を立て…検察ふうにいえば「筋読み」をして(笑)、それから捜査ならぬ読書に当たった。
その結果、まさかフロッピーはいじんなかったけど、この筋読みに沿うところだけが印象に残り「うむ、見立ては正しかった。まさに俺にとってのエカケイ素(http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080919#p1参照)だ!」とどや顔になって終わった、ような気がする。もちろんあの、過剰にして愉快な「キョン」という語り手のレトリックなどは興味深かったけど。(あれだけ内面の独白で、辛辣かつ饒舌に突っ込みを入れるという「ワトソン君」キャラはそうはいなかったと思う)

ここから浅羽評論紹介

さて、前座はおしまいで、ざっくり、適当に浅羽通明的「涼宮ハルヒ」論を紹介しよう。

・「ハルヒ」シリーズは一般的な紹介としてよく「学園ドタバタSF」(読売新聞)とか「ボーイ・ミーツ・ガール」のようで「本格ハードSF」(オトナアニメ)と称される。だが他の類似策と違うのは、それら「学園もの」「ボーイ・ミーツ・ガール」がSFと結合することの必然性をメタ的に描いているからだ。
 
・語り手(主人公)のキョン君は「ものすごい普通人」と自認している。感情移入を誘うため、視点は平凡な子−−というストーリーは普通だが、その「平凡・普通」が変わってきている。実はライトノベルや漫画文化の読み手の変化に合わせて、主人公は(中高生の中での)インテリ化している。キョン君も、設定としての中堅高校に通うとか成績とかとは別に、彼は「インテリ」なのである。
 
・ひねくれ、つっこみ、諦観、傍観・・・そしてそれを表現するボキャブラリーを支えるだけの雑学知識を溜め込み、自由に使える。こういう少年が主人公のライトノベルがヒットしているのだ。
  
・一方でキョン君は恋愛に疎い。そしてそれは涼宮ハルヒも同様なのである。しかし、結局のとこキョン君は、一般とは別の意味で?ハルヒに”一目ぼれ”したのであり、それを認めたくないけど一緒にいたいという正当化のためにあのSF設定がある、と考えてみてはどうだろう。それはハルヒにとってのキョンも同じだが、少し違う(※この後「笹の葉ラプソディ」というシリーズ後半?の作品とアニメが引用されているのだが、私は未読・未見なのでよく分からなかった)。
 
・登場人物の多くが、読者の志向を反映してか、恋愛それ自体を恥ずかしがっているのである。そのクライマックスが4巻「涼宮ハルヒの消失」であり(※これも未読だがあらすじがかなり詳しいので分かる)、SF的な中で安定した「セカイ」と、みんなただの高校生の「世界」とどちらを選ぶか、という選択で前者が選択される。
 
キョンが選択したセカイは、みくる、長門、古泉の3人がいることで安定している。というのは、普通の恋人に求めるようなこと(セクシーさとか母性的な問題解決とか)をこの3人が果たしてくれるので、逆にキョンハルヒの関係は純化されるからだ。
 
・しかし、それがシリーズを重ねると変わってくる。例えば後半から登場する「佐々木」は・・・・

この後は引用者がよく分からないので(以下略)としよう。
その他、この長編論文以外では
「なぜ『長門』は『みくる』より人気があるのか」
「戦闘美少女の人気とは何か」
「『ハルヒin USA』という本の書評」

ハルヒ in USA

ハルヒ in USA

などの論文が今回は収録されていた。やっぱり分量すごいな。

流行神」を読みたい人は連絡先の…あれ?

うーん…今回は紹介したいんだけど、実は別の文章に「最近引っ越した」と書いてあり、封筒の表書きと、メルマガに書かれている連絡先が一致していない。あとで調べてみます。
また、今から申し込んだ時にこの回を送ってもらえるか、それとも次回からの送付になるかもちと不明です。私がかなり前に申し込んだときは「過去の文章は残念ながら送れません」という仕組みだったので。、
 
流行神は今回の配信で、何気に通算250号を突破した。
過去の流行神から傑作をまとめたのが

天皇・反戦・日本―浅羽通明同時代論集 治国平天下篇

天皇・反戦・日本―浅羽通明同時代論集 治国平天下篇