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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

KIDがダメならミノワマン!・・・しかし今思う、DREAMが確立したハルク路線とは何か?

KIDが厳しいので「あの男」と谷川さんが言った、あの男、とは誰だろう?
ミノワマンはその前から別の参戦予定選手なので、KIDの代役というのもヘンなのだが、それならそれで、ミノワマンの試合は誰なんだっ。
噂の噂レベルではジェームス・トンプソンなんて声もあがってたな。
http://ameblo.jp/gold-impact/entry-10630566548.html

さて、最近ぐうぜん、ミノワマンの試合をまとめてみる機会があったのだが・・・あらためて、思うことがいろいろとある。
その思うことって何かというとーーーー。
まあ、まずはミノワマンの戦績を見てもらったほうが手っ取り早いわ。
ミノワマンの戦績(ウィキペディア下)
なんだこのでたらめな勝ち負けは(笑)。

それは最近の、美濃輪の本来の階級・ミドル級の戦績にある。
金泰泳船木誠勝柴田勝頼田村潔司桜庭和志・・・。
それぞれ熱狂的なファンもいるだろうけど、コンディションや年齢も加味するとここ数年、少なくとも世界のベスト30に入りそうな選手はだれもいない。彼らに、負けている。
とするなら「ミノワマンはB級にも勝てないCランク選手なんだな」・・・と納得できるかというと、まがりなりにもギルバート・アイブルやソクジュ、チェ・ホンマンボブ・サップなどを倒しているわけです。どれもこれも前に立つとびびらずにはいられない巨漢。さらにいうとそのくせ、よりによってキム・ミンスとズールに負けている(笑)。


いったいコイツなんやねん、と思ったりするのですが、ちょと冷静に考えると、レッグロックにだけぬきんでた技術と情熱を持ち、その他は並み・・・という選手がこういう相手たちと闘い続けたら、そういうふうにスタイルは特化していくかもしれない。
決まり手の統計をとってみるともっと分かってくると思うけど、印象論で言えばやっぱり足関節自体が現在、あまり頻繁には出てこない技で、技自体に奇襲のような部分がある。
アメリカで、特に巨体とパワーを生かして闘うような選手は、足関は知識としてはあっても本当にスペシャリストがそういう技をかけてくるようなスパーリングは通常してなかったのではないだろうか。
ムリヤリ彼の戦績を理論付けしてみました。
 
で、だ。
そういうふうにミノワマンが対ハルク兵器に特化したとして、そーゆう試合が組まれないと真価の発揮のしようもないですわな。そういう点で、実はマッチメークが偉い!スーパーハルクトーナメントの企画者が偉い!という話になるしかない、と。
以前、アメリカの格闘技界に学べ!的なテーマで雑誌などが盛り上がった時、「UFCは黎明期ならいざしらず(※実際「ダビデvsゴリアテ」と題し、体重差のある試合だけで興行を組んだことも)、いまやアスレチックコミッションの傘下に入った。アメリカのコミッションはこういう体重差に厳しく、まず認可しないだろう」・・・といった記事を読んだ。さらにコミッションは、経験や技術面でもつりあう・つりあわないとクチを出すそうだ。Dynamite!USAでは「メルヴィン・マヌーフvsユン・ドンシク」という団体の推薦をみて「ウムこれはいいマッチメークだ、激闘必至だ」と褒めたそうだから見る目はあるのだろうけど(笑)。
 
ただ、ミノワマンが実際にホンマンやサップの足首をくいとひねってタップを奪う光景を見続けていると、こういうのもアリかもしれん、と少しずつ思うようになったわけ。
「そこそこできるけどそれ以上のものも無いちっこい選手」と「ずうたいはでかいがスローモーで。スタミナ、技術はロクでもない(あるいは本職K-1など偏りまくる)ウドの大木」を、絶妙のさじ加減で調和して戦わせる。
これ、ありかなしか。
・・・・ついに私は洗脳され、ミノワマンに限らず、「そういう形の”互角さ”に基づいた試合はおもしろくてアリ、かな」と、スーパーハルクに冷笑的だったことも含め谷川貞治氏やササヤン、加藤浩之副社長らマッチメーカーに敗北を認めるのであった。
  
もちろん、安全性についてはよく知らん。つーか考えてはない。考えては言えない部分もあるし。
実はそういう、デクノボーで偏った巨漢と闘う・・・という路線に関して「それの元祖は僕vsバタービーンです!」と須藤元気はひそかに自負しているらしいのだが、けっこう楽そうに見えたこの試合でも、高島学氏は「一発のパンチ力とそれへの耐性は、階級が違えばどうにも補えない部分がある。小が大に、強い打撃を受けたときの危険性が段違いだからこういうカードには反対だ(大意)」と言っていた。

検索してみたら、これはホセ・カンセコ出場の時だけど、もっとすごいこと言ってたね。
http://www.fnlweb.com/column/2009/05/fightlifemay_2nd.php

数字を稼ぐために、格闘技を使って何をしてもいいのなら、
もうどっかのお姉ちゃんが、ミニスカートでパンツを見せたり、
胸を出したままで、グラップリングの試合をすればいい。
 
もちろん、それが格闘技だとは自分は思ってない。
ただし、体重差の大きなMMAを行うより、安全だ。
放送コードや放送倫理にひっかかるというなら、
体重差のある格闘技こそ、倫理にひっかかると思ってほしい。
下ネタのほうが、体重差のある格闘技より、ずっと品格がある。
 
格闘技で、分かっていてより危険な方へ踏み出すほど、下品で破廉恥な行為はないはず。
加えていうなら、胸丸出しのお姉ちゃんが
真剣勝負でグラップリングにこうじても、世間はそれを格闘技だとは受け止めない。
ただし、体重差のあるファイターが真剣勝負で総合ルールに挑むと、
それは世間的には格闘技として捉えられてしまう。
 
体重差を認めたファイトを売りにするなら、格闘技でもなんでもない。


さらに競技的にみたら、それをどう戦績・実績として位置付けるかも問題となる。体重の無差別マッチのほか、それぞれの体重契約が個別に変わるキャッチウェイトという試合もあるが
http://d.hatena.ne.jp/memo8/20100529/p1

キャッチウェイトで行うこと自体は、妥協の産物として、確かに仕方がない面もある。が、それが、前日計量の場まで発表されないって、どういうことなのという話であって。勿論、65キロの戦績と、60キロの戦績が、果たして63キロのベルト争奪の過程に、どれだけ意味あるのかという話もある。キャッチウェイトはあくまで妥協の産物であって、それ以上ではない。(略)ここまでMMAが成熟してきたら、もう無差別だとか、そういうのはファンタジーでしかないのであって(勿論、ミノワ級というのは、あっていいと思うが、あれは彼一代限りの階級だろう)、興行性とか競技性とか、そういう話を超えた「当たり前の大前提」であることは、もう少しファンも含めて理解すべきなのではあるまいか。

というふうに、例えばミノワマンボブ・サップチェ・ホンマンに勝利しても、もっとリアルディールなソクジュをKOしても「そんな実績がある異常、彼はDREAMのミドル級タイトル戦線に浮上した!メイヘムやジャカレイとの王座決定戦候補だ!」という声はあんまりもりあがんねー。ニック・ディアスは「おお、体重差を気にしないで闘うってのはクールだぜ!!俺もミノワマンに挑戦するから、試合を組んでくれ!!」とか言ってるけど、こいつの発言はどうせ薬でラリってのものだと思うんで除外(笑)
まぁよくも悪くも、それが競技性ってもんなんだろうな。

ミノワマン本人談

では本人はなんて言ってるのか。
ミノワマンの場合は、脳内の天然麻薬でラリっているのでこの人の発言も除外するべきなのだが(笑)、まあ参考までに聞くことも必要なりよ。
現在発売中(まもなく次号出るけど)のゴン格。

GONG (ゴング) 格闘技 2010年 10月号 [雑誌]

GONG (ゴング) 格闘技 2010年 10月号 [雑誌]

無差別というのは、今はまだ危険性も含めて実験段階だと思うんです。だから、僕がやっていることは見るものがすべて新しく感じられるでしょう。だから今は「無差別級をやってもいいのか」という考えがあることも理解しています。事故が起こってしまったり、あまりにも周りの人が危険性を感じるものであれば、確立できる階級ではないと思います。だから、まだ実験段階なんですね。

ボクシングの階級ですと、86.16kgからヘビー級なので、自分はもうヘビー級だと思っているんです。マイク・タイソンは100kg以下の小さい体で120kgの選手を倒しています。

ライトとかミドルとかっていう体重制は、『その体重にあわせてやろう』というルール。だから無差別級というテーマがあってもいいと思います

・・・あれ?? 一巡してけっこう論理的なコト言ってるぞ。ミノワが論理的なことをいうとなると、やはり尿検査と毛髪検査をしたほうが(笑)。


実は個人的には、競技てのは二つの意味があると思っている。徒競走をするにも、トラックの円周や土の硬さ、記録が参考となる風速、靴の基準まできっちり決めて、世界中で記録を競うのも競技かもしれないけど、
「よーし、階段の下まで競走だ!勝ったほうはアイスクリーム!」といきなり言い出してやっても、両方が真面目にやればそれもまた競技、なんじゃないかなあと思うのです。

 
実はこの論点、フルコンタクトKARATEの編集長・ザンス山田こと山田…なんだっけ?(笑) 山田編集長が90年初頭の「格闘技死闘読本」で”計測可能・不可能”という用語を使って論じている。山田氏はもちろん否定派で、プロレスの”計測不可能性”の否定はトーゼンながら、「自衛隊では砂袋を担ぎながらの競走もあり、軍は手ぶらでは走らないからそっちのほうが実戦的かもしれない。だけど世界が最速と認めるのは、オリンピックの100メートル走の勝者だ」とも言っていたな。


・・・えーと、この後議論を煮詰めてこうかと思ったけど、正直長く書いたんで、あきた(笑)。

最後に、後世に残す資料としてミノワマンの発言を残しておこう。

「(ドラゴンボールの)舞空術ができないかと本気で考えたりしていました。けっこう頑張って練習してみたんですけど…」
−−練習したんですか!?
「本気で信じてやってみたんですけど、やり方が分かりませんでした(苦笑)」

ミノワが「かめはめ波」「スタンド」(JOJO)を練習していたことは既出だが、舞空術もでしたかあ。


以前、ミノワ陣営のセコンドだったか、しきりとコーナーから「スタンドで勝負!」「スタンドキープ」とか声をかけてたことがあって、あれは可笑しかったなぁ。どっちの意味で??と。