山本小鉄が亡くなった時、それほどプロレスに興味が無い人からもわざわざメールをもらい、昭和プロレスの一般浸透ぶりをあらためて実感した。
多少、その人とはすでにおしゃべりしたことだけど、書くのが遅れたまままで、昨日「kamiproツイキャス」で出演者が喋ったことと多少かぶってしまう。
http://www.ustream.tv/recorded/9281390
(私は生では冒頭部分を聞き逃したのですが、出演者が最初(冒頭6分)、前田日明と山本小鉄の物まねで寸劇をやっている。これは一聴の価値がある)
ただ、一応文字にしておこうと思う。
「山本小鉄イズム」とは
・がっちりと道場で、手を抜かずに稽古する。それで主に体格、体力を養う。
・それで「俺は強い!プロレスは強い!!」という自信を(根拠なく)持つ。
・その上で、大衆には「プロレスはガチ」で押し通しつつ、”仕事”はきっちりこなす。
こういうのが「小鉄イズム」だと思う(笑)
私たちが小鉄を知っているのは、基本的にはワールドプロレスリングの解説とレフェリーとしてだと思うけど、この小鉄イズムがすごい「プロレス文学」を生んだのだ。
わたしのつぶやき
http://twitter.com/gryphonjapan/status/22699790673
「かすっただけの延髄切りのほうが効くんですよ」とアントンの空振りをフォロー(笑)
小鉄氏はこの種の、プロレスをフォローして技術的な用語で、リング上で発生したアレやアレを説明する技術に極めて長けていた。
ツイキャスで別の方が書いていたが
「リングは梁の入った固い場所に落としたほうが効くんです。」
という言葉、今から思うと「だからそこは避けてパイルドライバーとかやれよな」という教えだったんだろうが、そういう細かい技術を口で言うと、実例一名だが文字通り「こどもだまし」にはなっていた。
こういう”プロレス文学”では、フィクション作成の専門的な修行をしていた梶原一騎や「プロレススターウォーズ」の原作者に負けないものがあった。
ツイキャスの中では
「小鉄さんがかわいがった選手から、なぜか格闘技に行く者が出てきた」
「小鉄さんはボディビル出身。ボディビルの影響というのはもっと考えられていい」
「道場の中ではスパーリングを熱心にやる派と、ウエイトを熱心にやる派に分かれた。ウエイト派は『俺より重いものをあげられるやつはいない』という、そういうプライドを持っていたからスパーしなくても平気だった」
といった話も聞き、興味深かった。
宮戸優光のちょっといい話。
ツイキャスの中で、もっとも受けた話。宮戸はUインターで、昭和新日を再現しようとタイトルマッチ時の国旗の位置にまでこだわったことは有名だが、解説の仕事では小鉄も大いに参考にしたらしい。
本気なのか盛り上げの演出なのか、小鉄はリング状で乱闘などが発生すると「古館さん、ちょっとすいません」とヘッドフォンマイクを外してリングサイドに向かい、古館伊知郎が「いま、小鉄さんが慌ててリングに向かいました!」と絶叫・・・・・・というシーンが「ワールドプロレスリング」では名物だったが、同じような光景をUインターのテレビ中継でも解説を務める宮戸は再現させて、「すいません、ちょっと!」とマイクを外して解説席を外れた。
ところが、その中継は録画を見ながらのアフレコだったという(爆笑)