http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/archive/news/20100730ddm001070068000c.html
世界中の知識を思うままに閲覧できるようにしたい−−昔から多くの人が夢見たことだろうが、金と権力にあかして実行してみた王たちもいる。エジプトはプトレマイオス朝の歴代国王が作り上げたアレクサンドリア図書館はまさにそうだ▲それには荒っぽい蔵書収集法も用いた。アレクサンドリア港に世界からやってくるすべての船を調べ、一冊でも本があれば没収する。本は審査の上、蔵書に値すれば代価を払って書庫に加え、価値がなければ返還した。なるほど、これならば世界中の知識が手に入る▲これらの蔵書には「船舶版」というラベルが張られたという(「古代アレクサンドリア図書館」中公新書)。こんな力業を用いずとも、世界中に散らばる知識を思うままに利用できるのが今日のインターネット検索である▲先日そのネット検索事業で日本の最大手ヤフーと、世界最大のグーグルが事業提携を発表した。米ヤフーが米マイクロソフトと提携してグーグルに対抗する中、ソフトバンク率いる日本のヤフーがとった独自の提携戦略だ▲ 簡易型ブログ「ツイッター」人気で検索対象が急増するなか、この提携ではヤフーがグーグルの検索エンジンを採用する。利用者が楽になったその分、検索システムの「力業」が求められる今日である。これにより日本での検索エンジンは約9割の寡占状態が生じる▲アレクサンドリア図書館はその後、多数の蔵書と一緒に歴史から姿を消してしまう。無理やり貴重な原書を1カ所に集めたことを悔やむ声もある。やはり知識供給の一極集中はいかがなものか。いえいえ、古代の図書館の話なので、念のため。
うしろのほうの話題とつなげた結論はありきたりの感もあるけど、上のエピソードは面白かった。私は以前も書いたけど、井上靖の「敦煌」など、こういう「知識や資料を収集、後世に残そうとした人たちのロマン」が好きなのなのだ。そのための無茶も含めて(笑)。
つうか出展の中公新書「古代アレクサンドリア図書館」って持っているのに積読のままだよ。