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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

千葉景子法相問題。落選した大臣をそのまま「民間人」として閣僚起用できるか?

これは憲法上は、別にダメって書いているわけではない。
だから起用を拒むものは別にないのだが…ただ慣習、「憲政の常道」的に「選挙で落選したということは国民の不信任を受けたということであり、それを(引き続き)閣僚に起用するのはよくない」という主張もあるらしい。
続投ではなかったが、たしか大平政権の中でそういうふうに落選議員を閣僚に起用したことがあり、それを批判する文章を読んだ記憶があります(リアルタイムでそのトピックを知っているわけではないので、やや自信なし)。


ま、これは「憲政の常道」論の一環ですので、是非は護憲政党社民党に聞いてみたいところですね(笑)。憲政の常道って破るときはいつでも破れるものではあるけど。

【付記】インターネットで相変わらずすごいねえ・・・上に挙げたかつての例に関して「大平内閣 落選 大臣」などで探すと判明したよ。昔だったら曖昧な記憶があっても、絶対見つけられなかったな。
大来佐武郎氏でした。

# 1977 年 – 新自由クラブから参議院議員選挙に全国区で立候補するも得票順位59位で落選。
# 1979 年 –第2次大平内閣にて外務大臣として入閣する。特にこれまで等閑視されていたEC諸国との関係の緊密化に務めた

2年後の起用なのに、批判されたのか。

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以下、29日に書いた追記

【追記】あとから頂いたTBなので、気付くのが遅れて失礼しました。
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20100724

憲政の常道」とか根拠レスで寝言言ってるとんでもない人(http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100713#p4)もいますが。「憲政の常道」と言ってる人間がいるというのなら名前上げてみろよ(嘲)。

上に書いたように、私は上のような議論が存在するということを、大平正芳内閣で、やや間を置いた上で前回選挙で落選の元議員「大来佐武郎」氏が起用され、それに批判の声が挙がった…という文章を読んだという、記憶に基づいて書いています。
記憶に基づいている以上、詰めきれてないことは認めます。認めた上で聞くのですが貴方の説は(A)「大来の閣僚登用への批判は当時、存在しなかったと私は知っている」ということですか?(B)「そういうことがあったか、なかったか全く把握していない。ただ『あった』という確定的な資料、証拠がないので現在、無いとみなしている」という意味ですか?
Aなら貴兄のそういう調査結果を聞いて、納得できれば「じゃあ当方の記憶違いですかね」となるし、Bならじゃあお互い、余裕があれば調べましょうかね、ということで。
ただ、状況証拠としては、大平内閣の閣僚なんて、あまりに古くてマイナーな例をそもそも記憶していて今回出せたってこと自体が、「そういう部分を話題にした文章が過去に存在していた」という、可能性が高いことのひとつの傍証じゃないですかね(笑)。
まあ先方がそうは思わない、というならそれはそれで。読んでいる第三者向けのひとつの判断材料として。

憲政の常道」とは「衆院第一党が与党になるべき」と言う戦前のルールですが?(ウィキペディアはてなキーワード参照)。何故、戦前「憲政の常道」が叫ばれたかというと、戦前、首相を任命するのは天皇で、少なくとも法的には衆院第一党から選ばなきゃいけない義務はないからです。

さて、こういうときに実際にそのキーワードを見に行く人が何人いるか。
多ければ有難いのだが。
はてなキーワード憲政の常道
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B7%FB%C0%AF%A4%CE%BE%EF%C6%BB

いやしくも憲法(より正確には議院内閣制)の施行されている国家ならば遵行すべきとされている道。

第一次護憲運動?のときに超然主義に対抗して唱えられた語で、少なくとも当初は「議会の第一党が内閣を組織すべきこと、また、その内閣が信任を失った場合には、野党の第一党が政権を継ぐべきこと」と解されていた。

太字化は引用者。
少なくとも当初は
少なくとも当初は
少なくとも当初は
少なくとも当初は
id:bogus-simotukare さんは、このへんは見逃されたんですか?わざと?
まあ、それはいいや。
一段落目も、戦前限定、与野党交代限定と言うよりは一般化したものとして扱ってますね。→「いやしくも憲法(より正確には議院内閣制)の施行されている国家ならば遵行すべきとされている道。」

ウィキペディアの「憲政の常道」
小見出しに、「日本国憲法下での憲政の常道」があったりします(笑)

んで、当の国会議員らの議会の論戦の中でも
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/002017420100616040.htm

 会期途中で内閣が交代をしたとき、予算委員会を開かなかった事例はありません。まさに、このことは、国会の常識、憲政の常道とも言うべきことであります。

「会期途中で内閣が交代したら、予算委員会を開くべし」といった細かい明文以外の慣習や「かくあるべし」という考え方も「憲政の常道」の範疇のようです。


さて、もう一回リンク先の文章にもどりましょう。

何故、戦前「憲政の常道」が叫ばれたかというと、戦前、首相を任命するのは天皇で、少なくとも法的には衆院第一党から選ばなきゃいけない義務はないからです。

これも答えとしてはちょっとマルはあげられませんね。
だって、「衆院第一党から首相を選ぶ義務」なんて戦後もないんですよ(笑)。
【問題】
細川護煕
羽田孜
村山富市
かれらが首相に就任した際、第一党の党首だったでしょうか?
違いますね。
・・・・といっても、法律や憲法でそういう選出の仕方を明確に禁止しているわけではないから、「憲政の常道」に反していても実際にはやれるし、現に彼らは首相に選ばれました。


で、これははっきり記憶しているから断言するけど、細川内閣成立当時も「比較第一党は自民党なのだから、過半数を割っても自民党から首班が出るのが『憲政の常道』だ」という議論はあった。単にそれは無視されただけだけど、当然その批判は、自民が村山氏を担いで与党に復帰したときにもちゃんと「自党からではなく社会党からとは、以前言ってた主張と矛盾している」と、彼らを攻撃する役割も果たしていました。そーいうもんなんです。


同様の例が、議長をめぐる争いです。
正副議長職には…これはそんなに長い伝統ではないのですが−正議長は与党第一党から、副議長は野党第一党から、という慣習がありました。
もちろんこれも法的に決まっていることではなく、少数政党が一致して協力すれば、小さい党からも議長を出すことは可能。現に1993年、土井たか子氏が議長になったのもそういう手法ですね。

そして今年2010年、野党が結束して参院議長を取ろうと言う声もありましたが、http://research.news.livedoor.com/r/48456 結局、断念しそうです。
この際、
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100714/stt1007141137005-n1.htm

自民党谷川秀善参院幹事長は14日午前のテレビ朝日番組で、参院議長選出に関し「憲政の常道は守るべきだ」と強調した。慣例通り第1党の民主党から選出すべきだとの考えを示した発言だ。

憲政の常道」は”当初はともかく”「与野党交代」や「戦前」に留まらないことはこれでお分かりいただけたでしょうか。

【余談1】
ちなみに土井たか子さんは憲法学者として書いた著書の中で「第一党から議長が出るべきだ」と書いていたそうで、1993年にはずいぶんつっこまれてました(笑)。
【余談2】
この話の発端となったブックマークで、私は参院議長に関して
http://b.hatena.ne.jp/entry/sankei.jp.msn.com/politics/policy/100715/plc1007151629006-n1.htm

一方で慣習尊重なら参院議長はなお一党の民主

おれ、フェアだねぇ。このへん、bogus-simotukareさんにも見習ってほしい(笑)

【余談3】
近年のねじれ国会で、当時野党の民主党らの強力な武器になった閣僚への「問責決議」も、別にそれが通ったら辞職しなければならないという法律上の根拠はない。ただ「民意の代表である院が不適格と決議したのだから、当然やめるべきである」という慣習的な「かくあるべし論」に依拠しているだけで、意味合いは千葉法相の落選批判と同類。
福田首相問責決議賛成討論(民主党簗瀬進
http://www.dpj.or.jp/news/?num=13490
憲政の常道の破壊者としての自責の念を感じられない。まさに憲法体制の破壊者として問責に値する」」

【余談4】
憲政の常道、という言葉は直接使っていないが、法の専門家の一人の言。
http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000724.html#more

法的には法務大臣であることに変わりがない…(略)…政治的に落選によって正統性が傷ついた状態である

【余談5】
平野貞夫
http://www.kunidukuri-hitodukuri.jp/web/koso7/koso7_column_tosa_15.html

政府与党は、法的根拠のない問責決議で国会を紛糾させることは、 よくないと批判しているが、これは間違っている。 この国会(※2008年)を総括して言いたいことは、政治は法令よってだけ動くものではない。 「憲政の常道」という国民の常識によって動くことが原点である。 これを忘れてはならない。

<総括>
再度、リンク先を見てみましょう。

議員を落選したら大臣を辞める義務があるなんてのは、その人の勝手な価値観に過ぎません。そう言う価値観を持つことは否定はしませんが、他人に押しつけることが出来るような、法的な、あるいは政治的な根拠のある話では全くない。

以前から面白がって、各種の「憲政の常道」(この言葉がいやなら呼称は単純に「議会の慣習」でも何でもいいが)を集めてきたのは
「比較第一党が首相を出すべきだ」
「与党第一党が議長、野党第一党は副議長」
「正副議長は党籍を離脱し無所属になるべし」
「会期中に内閣が変わったら予算委員会を開催」
参院選も民意。負けたら内閣は辞職すべし」
「いや第二院なのだから辞職の必要は無い」
といったさまざまな議論も、明文規定のない以上は「その人の勝手な価値観」と開き直って無視することができるからです(現に時折あった)。だからこそ、このテーマは面白かったりする。


この続編です。不本意ながら、さらに追い詰めてしまった。

非常時日本、国会の「慣習」「べき論」のどれを守り、どれは無視するか? -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110608/p2