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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

このところ、読売新聞「編集手帳」の末尾段落が特におもろい。

ぼくがそう認定したのは早かったのか遅かったのか「新聞の1面コラムでいま一番面白いのは読売新聞『編集手帳』だ」という認識はすでに圧倒的多数派の、一般的な見解になっている……ような気がする。
コラムの末尾は前振りとの関連付けも重要だから、末尾だけ紹介するというのも意味がないっちゃないんだが、まあ趣向でやってみましょう。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/

17日付 自民党離党の鳩山邦夫氏が、自分を「平成の坂本龍馬」としたことについて

自民党を離党した弟の鳩山邦夫・元総務相は、党内の執行部批判勢力を融合するべく、みずからを「薩長連合」の坂本龍馬に重ねているらしい◆“見立て”に税はかからないから、べつに文句をつける筋合いはないが、与党、野党を問わず、政治家諸氏の丈夫な神経がうらやましい。

18日付 白熱電球の生産を東芝が中止

東芝が電機業界の大手では初めて、白熱電球の製造をきのうで中止し、120年の歴史に終止符を打った(略)…◆かぐや姫は『赤ちょうちん』(詞・喜多條忠、曲・南こうせつ)で〈あのころふたりのアパートは/裸電球まぶしくて…〉と歌った。向田邦子さんは随筆やドラマで、切れた電球に靴下をかぶせてほころびを繕う母を描いた。夕日のような淡いオレンジ色を帯びた白熱電球はやがて、人々の記憶のなかに灯(とも)ることになる

19日は…あまりに面白いので全部載せちゃう

3月19日付 編集手帳
 坑道を両方向から掘り進む。中間地点でつながるはずが、地層がずれていたか、うまくつながらなかった。測量技師ニコライ・ミーコフは逮捕される。刑法58条〈工業、運輸の破壊〉により、懲役20年の刑に服した◆旧ソ連の反体制作家ソルジェニーツィン氏がスターリン独裁下の暗黒政治を描いた『収容所群島』(新潮社)のひとこまである。地球上にはかつて、恐怖によって統治される国があった◆と、過去形で語るのは早計らしい。北朝鮮朝鮮労働党の朴南基(パクナムギ)・前計画財政部長が処刑されたと、韓国の聯合ニュースが伝えた。昨年実施したデノミネーション(通貨単位の切り下げ)の失敗をとがめられ、銃殺されたという◆閉鎖的な国のこと、例によって真相はよく分からないが、もともとが無理筋の政策であり、報道の通りならば気の毒な話である。独裁国家の失政である以上、全責任の所在は独裁者その人をおいてほかにはあるまいに◆わが永田町には、閣僚や与党幹部であった昔の失敗をほろ苦く思い出し、身震いした人もいるだろう。「身命を賭して」が使い捨ての修辞で終わる国のありがたさよ

(2010年3月19日01時44分 読売新聞)

おー、先月最新版が出たのか。17巻目、よしよし

読売新聞朝刊一面コラム「編集手帳」〈第17集〉 (中公新書ラクレ)

読売新聞朝刊一面コラム「編集手帳」〈第17集〉 (中公新書ラクレ)