過去の記事もまとめて紹介したかったが、とりあえず最新ニュースを
http://www.tkfd.or.jp/blog/sasaki/
・・・・・・当然のことながら、アラブ各国の国民は、自由な選挙を実施して欲しいと願っている。しかし、政府はそうはしてくれないのだ。そこで、今回イラクで自由な選挙が行われたことが、アラブ各国の国民に少なからぬ影響を、与えることになったと思われる。
もし、自由な選挙がアラブ各国で実施された場合、どのようなことが起こるのであろうか。第一には、立候補者には知性や教養というよりも、土地の名士が選ばれるということだ。もし、彼に対抗馬がいれば、金やモノを配って、買収するのは当然のこととなる。
そして結果が出た段階では、落選者側の部族やグループが、当選者側のメンバーに対する、武力攻撃を行うこともあるのだ。あるいは、選挙の投票が行われる以前の段階から、武力衝突が起こることもあるのだ。共和国ではこうした事情から、指名による候補者の選出と、その後の選挙といた、パターンが生まれてくるのだ。つまり、政府は混雑や武力衝突を避けるために、事前に候補者を整理したうえで、選挙活動をさせ投票させるというものだ。
残念だが、アラブ諸国では部族や血族の結束が、いまだに非常に強く、それが直接的に選挙に影響を及ぼすことになる。したがって、政府が薦める手法は、あながち間違いではない、ということになってしまうのだ。
それでも、国民は自由選挙を希望する。したがって、今回のイラクの自由選挙は、アラブ各国政府にとっては、全くもって迷惑な話ということになる・・・
そういえば、新谷かおる「エリア88」で、理想化肌の弟王子が「この国の王制を廃止しましょう、そして選挙を」と提案したら、主人公側の兄王子が「この国で自由な選挙をやってみろ。国が外国に売り飛ばされる」と拒否するという一節があったな。
自由選挙否定を主人公側が否定する、というのが「きれいごとでは終わらない部分を描いた漫画」として、当時はかなり画期的だったかと思う。それがミレニアムも10年をへたこの時期に、ふたたびリアリティをもって迫ってくるとは。
- 作者: 新谷かおる
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2003/09
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 135回
- この商品を含むブログ (48件) を見る