gryphonjapan
猪瀬直樹がブログを開始。
http://www.inosenaoki.com/
格闘技に絡めると、彼は生前の木村政彦に力道山問題でインタビューした一人だ。木村は「力道山は私が呪い殺したんだ」と語ったとか・・・
これ、昔記録したなあ。あとで自分のファイルを探して見ます。
【追記】ありました。
「禁忌の領域・ニュースの考古学2」に収録。
枯れない「殺意」について
誰でも小さな挫折を繰り返しては開き直っていく。受験や就職や昇進など、一、二度失敗しても取り返しがきくし、人生のー部であってすべてではない。
では、もはや立ち直れないほどの打撃をこうむり人生の敗者として屈辱にまみれたら……。しかもそれがだまし討ちによるものであったらどうするか。
「そいつを殺すつもりだった」
ある人物が、僕にそう打ち明けた。
眼の前に、抱いた殺意を隠そうとしない老人が坐っていた。元柔道日本一の木村政彦が死んだ。七十五歳だった。ニュースを耳にして、あらためて思い出した。
多摩川に近い京王線沿線の住宅地を駅に向かって戻りながら、「あんたも殺されたいのかね」と厳しい口調で切り返してきたときの木村の顔の輪郭を、幾度も幾度もなぞっていた。四年前の夏だった。〜(中略)〜
「あいつは卑怯な男ですよ」
と木村は僕にいった。
「だから、殺したんだ」
しかし、彼はあなたに殺されたのではなくヤクザに刺されて死んだんですよ。
「いや。殺した」
どうやって?
「ここですよ」
と木村は額を指さした。僕は意味がわからなかった。
「ここに”殺”と書いたんです」
書く? ああ、イメージで前頭葉のあたりに字を描いたわけですね。
「そうだ」
そんなことをしたって人は死にません。
「いや、死ぬんだ」
念力ですか。納得できませんね。
「信用しないのなら、あんたについても”殺”を書こうか」
しばらく気まずい沈黙がつづいた。
木村は、眼を閉じ昔話をはじめた。
「柔道の選手権の前夜、座禅を組んだ。何時間も、ずっとだ。すると額のところに〃勝〃
という字が浮かんできて黄金色に輝きはじめる」・・・(略)
※引用はこの本から

- 作者: 猪瀬直樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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