上の話にひっぱられて、愛蔵版の「オバケのQ太郎」について語りたいもろもろのことから、これをチョイスした。
この作品はかつての「オバQ傑作選」にも収録され、今回も3巻の巻頭だから傑作の評価は高いのだろう。

- 作者:藤子・F・不二雄
- 発売日: 2009/11/25
- メディア: コミック
ものがたり
たくさんの貝殻を前にした正ちゃん・Qちゃんの会話から、ストーリーは始まる・・・・。
(1)
おいおい、すごい無政府的なご議論ですぜ。正ちゃんは革命家の素質アリ。
(2)
武力、暴力によって格差は生まれる。万人の万人に対する闘争。
(3)
しかし、平和的な交易によって、武力による収奪のし合いではない、価値の交換が生まれる。
(4)
そしてフリーマーケット、自由市場が誕生する。共同体内部ではなく、異なる人々がさまざまな商品を持ち寄る。
(5)
貨幣価値が統一されることが、経済活動をスムーズに保つ条件。
(6)(7)
しかし、流通する貨幣の量が増えれば、あっという間に物価は急上昇(インフレ)。マーケットから商品も消える
(8)
そして、勝手に独自の貨幣を流通させることは、国家への大反逆であった。政府の圧力によって「貝殻コンミューン」は崩壊する。さくらんぼの実る頃。
・・・いや、紹介する人間(俺)が経済学はよくわからんから誤解があるかもしれんが(笑)、それでも子ども時分に、こういうぐらいのことを、例えば小学校の先生のちょっとした解説も含めて教えてあげれば、インフレ・デフレとかお金の性質を後から学ぶとき「あ!このことか!!」とピンとくる、いい階段になるのではないか。
もちろん、藤子・F・不二雄さんがそういう啓蒙、うんちくの話としてこれを描いたわけではない(最後のオチは経済学とは関係ないネタだし)のだし、そういう薀蓄漫画に堕してはいけないのだが。
※オバQをはじめ藤子漫画に興味のあるはてなユーザーは http://d.hatena.ne.jp/koikesan/ もご覧ください
ここから約10年後、これの元ネタは谷崎潤一郎かもしれない、という情報を得ました
谷崎潤一郎の短編「小さな王国」は『架空のごっこ遊びが暴走する』ホラー話として秀逸らしい
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そういえば何の漫画だっけか?ただの解説漫画になっておやおや、というやつ
最近、自分がけっこう、新しい知識を得られるという点「でも」評価していた漫画が、1話まるごと解説、絵解きになってしまっていたことがあった。その知見は面白かったんだが、そういう路線じゃまずかんべとも思いました・・・でも肝心な、何の作品かが忘れてしまったのだけど。
【付記】「面白かったけど薀蓄、絵解きになりすぎてないか?」と思った作品を、今思い出しました。最近の「とめはねっ!」です。あとで書いてみましょう