左のアンテナで浮上していた山本弘氏のブログを読んだら。
http://hirorin.otaden.jp/e82346.html
新春早々に買ったのが、有川浩『シアター!』(メディアワークス文庫)。これを読んで考えさせられた。
小劇団シアターフラッグの主宰をやっている春川巧(脚本の才能はあるけど実務的なスキルは壊滅状態)が300万円の借金を抱えてしまい、劇団は解散の危機に陥る。泣きつかれた兄の司(芝居のことはさっぱり分からないけど実務の才能は天才的)が、300万円を肩代わりし、劇団の再建に乗り出す……というストーリー。(略)
・・・この『シアター!』も、無駄な部分が徹底的に削ぎ落とされ、最初から最後まで面白い場面、面白いやりとりの連続。テンションが落ちる間がないのだ。・・・(略)・・・登場人物の思惑の交錯が見事である。Aという人物はBから見るとこうで、そのAとBの関係をCから見るとこうで、でもAがこういうことを言うからCはこうせざるを得なくて……といった複数の視点からの描きわけが実に上手いのだ。
この小説の中に、こんなくだりがある。どんなジャンルであっても、客層を広げる可能性を持っているのは玄人好みの商品ではない。素人がカジュアルに楽しめる商品だ。カジュアルな商品こそそのジャンルの間口であって、それを軽んじる業界は廃れる。新規の客を弾くからだ。
とまあ、こういう引用・紹介をしたのは、当然ながら・・・
格闘技やプロレスのミニ?団体の運営者から「また黒魔術かよ」「競技性はどこへ行った」と集中砲火をあびるメジャー団体のトップまで、そちらの業界の人が共感して読めるかも、と思ったからだい(笑)。
しかしジェール・ベルヌの「月世界探検」を紹介した文章もそうだが、山本弘はストーリーの紹介が小林信彦ばりにうまいな。
ぼくも面白い本のあらすじを、ひたすら面白く紹介するのが実は一番やりたいジャンルなのだが。
(※上の「山本弘の、ヴェルヌの古典の紹介ぶりがうまい」というのはいちど紹介しています)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050126#p3
19世紀浪漫−−山本弘、古典SFを紹介す
この本
- 作者: 山本弘
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ま、そもそも日本だと「ミニ劇団」の運営と、プロレスや格闘技のミニ団体、中小ジムの運営ってすごく似ている気はするんだよね。当たり前か(性質上、プロレスのほうがより劇団よりだが)。
3百万の借金というのは、DREAM規模に換算すると・・・ZST規模に換算すると・・・
でさ、ここでわし「有川浩」という作家のあれこれについてざっくり知りたいのだが、はいコメント欄にてよろしくお願いします。
(※べつに「某出版関係者」を名指ししているわけではないが)
こいつおもろいの?有名なの?
- 作者: 有川浩,大矢正和
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その下の、柴野拓美氏追悼「この人がいたからファンジン、コミケ、コスプレは今の形になった」
http://hirorin.otaden.jp/e81385.html
どんなカルチャー運動でも、サブカルチャー運動でも、黎明期をささえた巨人はいる。そうか「日本コスプレ史」というものだってあるのだ。それこそだれかが、日曜民俗学としてまとめてほしいもの。