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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「新興覇権国家vs世界的IT企業」の”戦争”勃発か・・・グーグルの検閲解除で思い出す、韓国の新聞の或る物語。

http://www.cnn.co.jp/business/CNN201001140005.html

中国のグーグル検索に「天安門事件」登場、オフィスは厳戒
「中国でのネット検閲はもう続けない」と宣言した検索大手のグーグル



北京(CNN) 「ネットの検閲はもう続けない」と宣言した米検索大手のグーグルが13日、中国の検索サイト「Google.cn」に天安門事件ダライラマ法輪功など従来は出て来なかった検索結果を表示するようになった。

これまでは同サイトで「天安門」を検索しても、天安門の写真が出てくるだけだったが、13日以降は1989年の天安門事件について解説したサイトへのリンクが表示されるようになった。ただし部分的に検閲された状態と検閲されていない状態が入れ替わるなど、不安定な表示が続いている。

グーグルは同日、中国でサイバー攻撃の被害に遭い、何者かが人権活動家の電子メールに不正アクセスしようとした痕跡があると発表し、「検索の検閲をこれ以上続けるつもりはない」と言明。今後の成り行きによってはGoogle.cnのサイト閉鎖や同社の中国からの撤退もあり得ると表明した。

ただし今回のサイバー攻撃について中国政府の関与を直接明言したわけではなく、検閲なしの検索サイト運営の可能性について当局と話し合うとしている。

北京にあるグーグル中国法人のオフィスでは、この発表から間もなく従業員に有給休暇が出されたと伝えられ、いつになく厳重な警備が敷かれた。米カリフォルニア州の本社が運営する社内のシステムなどにもアクセスできなくなっているという。

オフィス前にはグーグルのユーザーやファンが集まって言論の自由を守る姿勢に支持を表明。同社には大量の花がひっきりなし届けられており、現地のブログはこれについて、グーグルの中国撤退を見越して哀悼の意を表するものだと伝えている。

巨大国家にこれだけ正面切って喧嘩を売れる企業は「東インド会社」ぐらいまでさかのぼるような気が(笑)
まあ、なんにせよ、今までグーグルが掲げていた「don't be evil」というスローガンに、「でも矛盾しているじゃん」と突っ込まれる一番大きな弱点として中国での妥協があった。なんだかんだといってもそれに忸怩たるものを感じていたのだろうか。



「発表から間もなく従業員に有給休暇が出された」というくだりで、思い出したエピソードがある。
これは原文を読んだのではなく、そのエピソードを毎日新聞の1面コラム(憂楽帳)が紹介、それが本にまとまったときの書評記事(丸谷才一の評だったと思う)を読んだという形だからなんともひどい伝聞形であり、実際の話より単純で分かりやすくなっているかもしれないが・・・


■うろおぼえです。

多分朴正煕の軍事政権時代だったと思う。

これから韓国社会がいっせいに夏休みになろうというある時期、やはりなんとなく浮き足立つ社内。午後にひらかれた編集会議で、ある新聞の論説主幹はこう宣言した。


「今日の社説は、私が自分1人で書くつもりだ。テーマは『夏休みを前に、レジャー客のマナーについて考える』。だから今日はもう、みんな解散していい。はやく帰って休暇の準備をしたまえ」

幹部も一般社員も喜んで、通常より早く帰る。もちろん、行楽先でのマナー向上を訴えるその社説原稿も活字が組まれた。
そして夜、だれもいない社内で。
その論説主幹はひそかに、ふだんは職工しかいない部屋に入り、一字一字の鉛活字を拾った(当時の製版・印刷はそういうものだった)。そして降版の直前、あとは輪転機でだれも内容をチェックせず印刷されるだけの段階で、彼は社説部分の版下をそっくり入れ替える。


そして翌日、韓国社会全体が驚愕した。
厳しい言論統制が敷かれたその国で、、軍事政権が抱えるある問題に対して当局の責任と説明を正面から問う社説が堂々掲載されているではないか・・・・


もちろん軍事政権の憲兵・秘密警察がその新聞社にすぐ乗り込んできたが、経緯をいくら調べても、責任はその論説主幹一人だけということで、他の記者や職工たちは累を免れたという。


この軍事政権がおそらく朴正煕時代のことだとしたら、同政権の歴史的意義ついては十分承知しているつもりだ。
結局この論説委員も命はながらえたりしていて、いわゆる全体主義とはまた違う。


だが、朴正煕大統領の歴史的な意義があろうが、上のエピソードが微妙に俺その他によって脚色されていようが(笑)、韓国社会の「士大夫」の伝統をほうふつとさせるこのエピソードは、「人類の星の時間」「正気が人をして為さしめた」といわれるに足るものだろう。

今回の「グーグル戦争」がこれに匹敵する英雄叙事詩を生み出せるだろうか。


参考
■おまえらいい加減にせんと無検閲のgoogle.com見せちゃうぞ!
http://d.hatena.ne.jp/essa/20100114/p1

ところで上の、うろおぼえ引用の基ネタを確認したいのだが

たぶん90年代−ゼロ年代に単行本としてまとまった中に収録された、毎日新聞の一面コラム・・・で、この話が紹介されていることは間違いないと記憶しているんだが、だれかご存知の方はいませんでしょうか。
ハイチに寄付したので、「はてな検索」では質問できません(笑)。

【追記】コメント欄でお答えいただきました!!

盗塁王赤星 2010/01/15 19:58
>この論説委員
金大中拉致事件に韓国中のマスコミが沈黙する中、唯一政府に対して穏やかながらも
批判の声を上げた鮮于莩さんですね。
司馬遼太郎さんが追悼文の中でわりと詳しくこの件について触れています。
本人は拷問の末の死も覚悟していたそうですが、結局政府も輿論を無視できず1ヶ月の拘束で解放されたとか。


http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100115#p6 に続きます)